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世界へ届け、八年後のキミたちへ(決闘歌劇と小波)

全体公開 遊戯王5D's(小波シリーズ) 1 12 1623文字
2022-11-20 09:21:25

「小波と5D's」シリーズ⑦。タッグフォース遊星ルートEDより、ジャックルートEDより、ずっと先の未来のお話。

①時間跳躍(タイムパラドックス)と小波→ https://privatter.net/p/9178215
②小波とDホイールと幽霊の話(遊星と牛尾さん)→ https://privatter.net/p/8527212
③小波の眠りと目覚めの話(チーム満足)→ https://privatter.net/p/9376810
④ジャックルートED→https://privatter.net/p/9504979
⑤ジャックルートEDその後(鬼柳やクロウと恋バナ)→https://privatter.net/p/9499062
⑥道化師よ波間で踊れ!(遊星とイェーガーさん) →https://privatter.net/p/9504979

ネオドミノシティで行われた、決闘歌劇 デュエルオペラと銘打たれたエキシビジョンマッチは、僅差で遊星の勝利に終わった。
世界王者ジャックアトラス、29歳。永遠のライバル不動遊星、28歳の出来事だった。

デュエルを終えた遊星とジャックが、笑って拳をぶつけ合う。
みんながこの街を出て、八年。デュエルは世界へ中継されていた。オレたちのデュエルは、世界中にいる仲間たちに届いただろうか。


(見ているか、みんな)


勝負を決めた一枚、シューティングスタードラゴン─テックジーナスエクスパンション。
このデュエルが未来まで届くように。全力を尽くした。
未来へのバトンは途切れていない。ネオドミノシティは、オレたちの街は。この八年でこんなにも素敵で素晴らしい街になった。

どうか未来で見ていてくれ、オレたちのデュエルを。

爆発するような熱気。浴びるような大歓声の中で。
清々しい気持ちで、空を仰いだ遊星の目に、ふっと赤い色が過ぎった。

「!!」

スタジアムの観客席に、赤い帽子、赤いジャケット。
装いこそ見慣れたものと少し違っていたが、目深に被った帽子の下で、あの頃とまったく変わらない笑みが、遊星に笑った。

遊星が瞬きしたわずかな間に、人混みに紛れて消えてしまった。

「っ!! っすまない、通してくれ!」

舞台袖からゆっくり退場するところを、駆け出した。スタッフを押し退けて走る。
反対側の舞台袖でジャックが、慌てた遊星に気付いたように振り返ったが、ジャックは動じることなく、先に退場した遊星の分まで、最後まで観客へのファンサービスを欠かさなかった。

! はぁ、はぁっ!」

観客席、退場口のどちらにも赤い背中はなかった。
小波が街を出て音信不通になって数年。小波を案じる声は多くあった。だが、誰も行方を知らなかった。

遊星が見たのは、あの頃から時が止まったような、まるで変わらない姿だった。

(見間違い? いや!)

遊星は、逆方面かもしれないと、スタジアムの反対側へ楽屋裏を走った。その途中で、ファンからの花束を抱えたジャックが、控え室の前にじっと、何かに目を落として立っていた。

「ジャック! 実は、今、客席に!」

駆け出すように遊星は口を開いたが、ジャックに制された。
たたらを踏んだ遊星に、ジャックは鋭く言った。

「見ろ」

ジャックが、ピッと、遊星の目の前に突き付けたのは、メッセージカードだった。

「!」

予感がして、遊星は、それを受け取った。



差出人の名前は無かった。

そこには、短く。こう走り書きしてあった。


────Thank you for The coolest Duel
(最高のデュエルをありがとう)




「アイツの字だ」

ジャックが、フッと口角を引き上げた。

遊星は、打ち震えるような想いで、そのカードをじっと見つめた。
安堵と、喜びと、震えるような懐かしさが、同時に強く胸に迫った。

目の端に浮かぶ熱さを堪えながら、遊星は「……そうか」と眉を下げて笑った。

「観ていてくれたのか」



西暦20××年、ネオドミノシティ。

あれから、八年。
みんなそれぞれの道を行き、どこかで夢に向かって走っている。
だが、今も確かに繋がるこの絆が、オレたちのデュエルを強く結びつけている。

どんなに離れても どんな世界にいても
決して途切れることはない。

「負けておれんな」
「ああ、そうだ。負けていられない!」

オレたちのデュエルは絆だ。
何年経とうが、今も確かにココにある。

たった今、全力でぶつかり合ったばかりなのに、今すぐ無性にデュエルがしたかった。


「見ていてくれ、これからも」


遊星は、デッキを握りしめ、顔を上げた。
その横顔には、まばゆい決意と希望が煌めいていた。


「オレたちの、絆のデュエルを!」




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