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眠れなくて2

全体公開 1493文字
2022-11-23 19:10:26
Posted by @uk_plus_



 「眠れない……

布団の端から顔を出してそう独り言ちてみても、やはり私に急激な睡魔は襲ってこない。サイドテーブルに置いてある時計を見たら時刻は十二時だった。というよりも私が眠れないのには原因があった。それは日中に見てしまったホラー映画のせいで、見たくもないのにテレビをザッピングしている最中に一番怖いシーンを見てしまったのだ。深く目を閉じて暗闇が視界を覆う度に、瞼に残る恐怖の残像が出て来てしまって睡眠に集中できなかった。

月光、まだ起きてるかな

一縷の望みに縋ってベッドから起き上がってリビングに向かい、慣習の読書をしているかもしれない月光に助けてもらおうと思った。

 ドア前まで行くとリビングに続くその隙間から明かりが漏れていて、どうやら月光はまだ起きているらしかった。私はゆっくりとドアを開き顔だけ覗かせて月光の様子を窺う。

「月光……
「どうした」

やんわりと声を掛けると月光はすぐに手にしていた本をローテーブルに置き、私に返事をしてくれた。嫌な顔一つせずに応対してくれる彼に安堵してほっと溜め息を吐いてから、私はドアを開き切って体を出しおずおずと口にする。

「あの一緒に、寝てほしい」

すると月光は首を傾げて私を一瞥し、不思議そうな声音で私に尋ねてきた。

「何故だ」
「その怖くて
「怖い?」
「昼間のテレビで……
「テレビ?」
「ザッピング中に映ったホラー映画が、怖くて、思い出しちゃって……

そこまで私が言うと先ほどまで静かに話を聞いてくれていた月光が、急に噴き出して肩を震わせ始めた。それはどうやら笑っているようで、くつくつという声まで聞こえてくる。私は恥ずかしくなり熱くなる耳を感じながらぎゃっと声を上げた。

「わ、笑わなくてもいいじゃん!」

そんなに笑われることだったろうか。月光は意外にも長く肩を震わせて未だくつくつと笑い、ひとしきりそうした後に
一息吐いてからこちらに顔を向けてひとつ頷いた。

「わかった、今そちらへ行く」
「ありがとう……

 寝室へ行き布団に潜ろうとすると、月光がサイドテーブルにある間接照明をカチリと付けてくれた。それに笑いかければ、月光も口角を少し上げてくれる。

「これでどうだ?」
「平気」

両足を布団に滑り込ませてゆっくりと横になれば、まだ少し熱を持っていたそれが私の体温と混ざり合う。すると月光が私の横になったそばに腰掛けて、頭をひとつ撫でてくれた。その仕草はまるで愛おしさそのもののようで、私は思わず目を細めた。

「ゆっくり呼吸をしろ」
……わかった」

そう言う月光にぽんぽんと肩を叩かれ導かれるまま、私は両目をゆっくりと閉じた。お腹が膨らむように呼吸をすれば、先ほどよりも少々気分が落ち着いたようだ。そして再び頭を撫でてくれる優しい月光の手付きに閉じた目元が綻び、より緊張が解れていくとどうやらどこかで堰き止められていたらしい睡魔が急激に私を襲った。

寝そう

そう思った時にはもう己は微睡みの中にいたようで、不意に降ってきた月光のキスと「いい子だ」と言われたことには気付けなかった。


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「おはよう~」
「よく眠れたか?」
「快眠だよ~」
「それならよかった」


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