了遊(付き合ってる)の会話。
了遊オンリー『3つ数えてその未来へ3』ワンドロライ参加作。お題「白」。
ちょっと手直ししました。
@d9_bond
遊作の肌は白い。
白いと言っても決して病的なものではなく、元々色白な上に屋内での行動が多いための白さだ。制服姿の時は肌の白さよりも時折シャツから覗く首筋や手首の細さの方に目を奪われるが、私服では黒系のシャツやパーカーを好んで着るためその肌色が余計に目立つ。
今もそうだ。カードを広げ、リビングのカーペットに無防備に寝転がる遊作が身に着けているのは柔らかな素材の黒パーカーだが、襟ぐりが大きくてふとした拍子に白い首筋から鎖骨までがひどく目につく。
宅内だからいいものの、外でやられた日には自分以外の人間にも不埒な感情を起こさせそうだと了見はひっそり嘆息した。そんな懸念を訴えたところで、自身の魅力を全く自覚していない恋人は考えすぎだと一蹴するばかりなのだが。
「たまには黒以外も着たらどうだ」
なんなら見繕おうかと考えながら尋ねれば、遊作は首を振る。
「……こういう色以外は落ち着かない。それに俺は、あまり明るい色は似合わないんだ」
「似合わないは言い過ぎではないか」
「なら、おまえの上着をちょっと貸してみろ」
言われて了見は、普段使いのジャケットを脱いで渡す。
起き上がった遊作はパーカーをすぽんと音がしそうな勢いで雑に脱いで隣に放ると(その拍子に下のTシャツが思い切りめくれて白い腹を無造作に晒していたので、外でやらないよう後で厳重注意しようと了見は心の中でメモをした)、了見のジャケットを羽織り適当に体裁を整える。
「どうだ?」
「……」
言われて了見は、遊作を改めてじっくりと見た。
遊作はやや細めだが上背もあり体格は悪くない。それでも了見と比べればいくらか小柄なためジャケットは少し大きい。色的にも似合うか似合わないかで言えば、黒パーカーよりは似合わないのかもしれないが──
「──良いな」
出た感想はその一言に尽きた。
自身の服を──それも明らかに遊作の趣味ではないと分かるものを彼が着ているというのは、想像以上に良かった。
所有欲と独占欲が同時に満たされるようだ。自然と口の端が上がってしまう。
「そうか……?」
対する遊作は納得がいかない顔で、ぺたぺたとジャケットを撫でている。
「気を使わなくていいぞ了見」
「本音だ。とても良い。今日はこのままそれで過ごすと良い」
「……なにか別の含みを感じるんだが……?」
「何を含むことがあると言うんだ」
しれっと言いながら了見は、遊作のパーカーをさりげなくたたんで自分の後ろへ隠したのだった。