※ちょぎくに♀
※おにろりがちょぎくにが欲しすぎて書きました
※れっつ光源氏計画!なちょぎくにです
※審神者、政府の山姥切国広(極)が登場します。
@mgnb_f
お前は俺の
その本丸の審神者は何故か堀川の刀との縁がとんと薄かった。
審神者講習で初期刀五振について説明があり、びびびっと電撃を感じた山姥切国広を選んだものの顕現することができない。
おかしく思った政府担当者が政府にある山伏国広、堀川国広を渡したがそちらも結果は同じく顕現させることが出来なかった。
審神者は検査を受けさせられ、診断は『縁が薄い』。審神者は大いに嘆いた。運命の相手だと思ったのに、と。
しかし、霊力だけは上質なので、審神者をしないという選択肢はなく、山姥切国広の次にびびっと惹かれた陸奥守吉行を初期刀に迎え、本丸を作り上げていった。
審神者は諦めていなかった。縁が薄いだけなら望みは零ではない。審神者を続けていれば、いつかきっと堀川の刀を顕現できるはず。絶対に。何がなんなんでも。
そう信じ続けた審神者についにチャンスが訪れた。
あまりにも審神者のしつこ……、諦めない強い信念を知った政府所属の一番本霊に近い分霊が、そんなに望まれている本丸に顕現するならきっと幸せだろう、と審神者と山姥切国広との縁を一時的に強化することになったのだ。
審神者は大喜びし、直ぐに準備を整えた。
そして今日。ついにその日がやってきたのだ。
「では、よろしくお願い致します」
「ああ。あんたは鍛刀と顕現に集中してくれ」
「はい」
政府の山姥切国広とふたりっきりで鍛刀部屋に入り、資材を妖精に手渡す。
どうか、どんな子でも、心の底から愛して大切にしますから。お願いします……!
手伝い札を使い、一振の刀が現れる。その姿は間違いなく山姥切国広。あとは顕現ができれば……!
審神者は緊張した面持ちでゆっくりと霊力を刀に流し込んでいく。そして──……
「やまんばぎりくにひろだ。なんだそのめは。う、うちゅ、う、ふぇ……」
「えっ!?」
「はぁ!?」
まばゆい光とぱちんと弾けた桜。その中から現れた姿は小夜左文字よりも小さい。
金の髪は肩甲骨あたりまで伸び、まろい膝が覗くグレーのスカート。
大きく見開かれ、ぐじゅりと歪んだまん丸の瞳は見覚えのある翡翠。
美しいが幼さの勝つ可愛らしい顔。
「ここ、どこぉ?こわい、やだぁ!」
顕現したばかりの小さな山姥切国広はぴゃーっと泣き出す。大粒の涙が丸い頬をぽろぽろと伝っていった。
呆気に取られる審神者と政府の山姥切国広。だが、戦場に立つ山姥切国広は審神者よりも処理速度が早かったのか直ぐに意識を取り戻すと、小さな同位体を抱き上げた。
「突然知らないところに来て驚いたな。俺が分かるか?」
「うう、俺……?」
「そうだ。俺は山姥切国広。あんたも山姥切国広。そして、こっちがあんたの主だ」
よしよしと小さな山姥切国広を宥める政府の山姥切国広。
山姥切国広に焦がれ、求め続けてきた審神者からすれば天国のような光景だった。
だらしなく口から涎を垂らし、あへぇだのうへぇだの訳の分からない言語を零している。
そんな審神者を見た小さな山姥切国広はさらに怯え、やぁあ、と政府の山姥切国広にしがみついてしまった。
「……困ったな。どうする?こいつも山姥切国広だが、戦力になるとは……」
「あへぇ……どんな子でもうちの子だヨッ……かぁいいねぇ……えへ、えへへ」
「あんたがそんな様子でどうするんだ。こいつがさらに怖がるだろう……」
審神者はもはや正常な状態に戻れなかった。
だが、やっと顕現した山姥切国広を手放すつもりはないらしく、政府の山姥切国広にしがみついていやいやする様子をでろぉっと蕩けた顔でみつめてばかりいる。
「あんたに刀解の意思がないのは分かるが、ここには兄弟が居ないんだろう?あんたは怖がられてるし、誰がこいつの……。そうだ、ここに本科はいるか?」
兄弟のいない状況下でこの幼い山姥切国広を託せるのは本科しかいない。彼がいるのなら、恐らく何とかなるだろう。丸投げなんかではない、決して。
そう考えた政府の山姥切国広は審神者に本科──山姥切長義を呼び出すように指示した。
しばらくすると鍛刀部屋の前に一つの足音が。
「失礼するよ」
礼儀正しい挨拶と共に姿を現す山姥切長義。彼は政府の山姥切国広を見つけると目を見開き、驚きに顔を染めた。一瞬で元に戻ってしまったが。
「主、何の用かな?それと、うちについに偽物くんがきたのかと思ったけれど、こいつはうちのではないね?だって極ているもの」
「そうだ。写しは偽物ではないが、ここの本丸の刀でもない。あんたの写しはこっちだ……そら、本科だぞ。本科はわかるか?」
「は?」
山姥切長義は山姥切国広の腕に抱えられている薄汚い布にやっと気がついた。その布はどこか見覚えのあるものだが、いかんせん大きさが記憶と異なりすぎている。
まさか。いやそんなことは。なんてことを打ち砕くように、その布からは、ほんかしゃま……?と鈴を転がすような声がした。
政府の山姥切国広に差し出された布を受け取る。そっと覗き込んでみれば、泣きすぎて目の縁を赤く腫らした幼い山姥切国広がいる。ナニコレカワイイ。
「あ……ワァ……ワ……」
「ほんか、さま?ほんかさま。ほんかさまだぁ……!」
宝石のような目からポロポロと真珠の涙を溢し、必死に両手を伸ばしてストールに縋り付いてくる幼子。あまりにいとけなく、そして痛々しい姿に庇護欲が唆られる。
ずきゅぅぅぅん。山姥切長義の胸が撃ち抜かれた瞬間であった。
「そうだよ。俺がお前の本科様だよ。よしよし、泣かないで、可愛い子。これからは俺がずうっと一緒だよ」
涙が流れる白い頬を優しく拭い、安心させるように額を合わせる姿は、子を育てる親のよう。
だが、その姿は政府の山姥切国広にとっては判断を誤ったと思わせるには十分だった。
時すでに遅し。幼い山姥切国広の運命はもう決まってしまった。
「ご苦労だったね。政府の偽物くん。お前はとってもいい仕事をした。優をあげよう」
「いや。そんなことは……。その、大切にしてやってくれ」
「もちろんだとも」
にっこりと微笑み、腕の中をもう絶対に離すまいとする山姥切長義の姿に、政府の山姥切国広は心の中で謝った。すまない。頑張れ、幼い俺!
「では、俺の役目は済んだのでこれで失礼する。その、俺を、頼む」
「えへえへ、かわいい国広くんをありがとうございました。ウフ。また、来てネッ……!」
いまだに様子がおかしいままの審神者に挨拶をし、政府の山姥切国広は本丸を辞した。というか逃げた。
部屋に残された山姥切長義も様子のおかしい主をほっぽり、抱き上げた温かい存在にうっとりと酔いしれながら部屋を辞す。
「ああ……待っていたよ。俺の写し……。お前は俺の若紫にしてやろうね」
「わかむらさき?なんだ、それ?」
「俺だけの特別って意味だよ」
俺だけを教えて、俺だけを見るようにしっかりと躾けなくては。
どろり、と藍に欲望が澱む。それに気付かぬ幼子は、『特別』に胸を躍らせて、しがみつく手を強めた。
桜が咲き誇る春の日に本丸に降り立った若紫。彼女が花を散らされるのは──……。
続く……はず?