まちるださんの100日チャレンジのミラさんのイラストを見て思いついた話です。
素敵なイラストはこちら
@kw42431393
人類の進歩とはめざましいものだ。私達が生まれた頃は知らず、ここまで世界が便利なものへと変化すると思ってはいなかったな。
久しぶりに休暇の取れたミラは、ドラウスの城で愛しい人とゆったりとした休日を過ごすつもりだった。家族愛の塊の様な夫は、久しぶりに帰ってきた妻におおはしゃぎで、キッチンに立っている。
「フフ、懐かしいな。こんなに小さかった時代があったんだな。」
彼女の手元には、かつて息子が着ていたベビー服。部屋の整理をしていて出てきたのだ。それに…
「これは、ドラルクの肖像画集だな。ああ、これも…これも。」
この時代には、写真などというものはない。しかも、つい最近まで吸血鬼を撮影できるカメラはなかった。だから、わざわざ肖像画師を呼んで書かせていたのだ。
「おい!私の息子は、もっと天使の様に可愛いんだぞ、描き直せ!」
挙句の果てには、自分で描いたりもしていたな、ドラウスは…。
肖像画には肖像画のいい所はあるが、実際とは違うものだ。いや、どんなにカメラが進化しても、本当にあったその姿は違う。…分かってはいるんだ、分かっては…。
「ミラさ~ん!そろそろ食事の用意ができ…あれ?」
ウキウキしたエプロン姿のドラウスが部屋に入るとそこには、散らばったドラルクの子供時代の服や玩具、肖像画集。
『ちょっと、シンヨコまで行ってきます。すぐ、帰るから待ってて下さい。』の置き手紙。
「えーん、ミラさ~ん!!」
ちょっとだけだ。以前は、人間に気を遣う必要はないと思ってあんな事をしたけど、今度は彼らにも了解を得るからいいよな?
コウモリとなって夜を駆ける、その手には子供服や玩具が入った鞄と、本格的なカメラが握られていた。
「…という訳で、当時はカメラなんてなかったのでな。幼い頃の息子の姿を、カメラに撮り直したいと思って、やって来たんだ!」
「やって来たんだ!って思いつきで来られてもな…ドラルクのお袋さん。」
シンヨコのロナルド吸血鬼退治事務所に、やる気満々の姿で座っているミラの姿があった。
「あんたも懲りねえなぁ…、この前も七五三やり直そうとして、説教喰らったばかりじゃないか。」
「それとこれとは、別だろう。今度は反省して、息子がお世話している君達にも、同意を得にこうしているのではないか。」
「こっちがお世話してんの!転がり込んでるのは、あいつの方!」
これで本当によく弁護士してるな…と呆れながら、ロナルドは彼女を見る。愛息子が絡むと周りが見えなくなるだけで、仕事中の彼女は全く違う姿なのだろう。
あいつが留守でよかったなあ…とはいえ、頑固なこのお袋さんどうしたらいいの?
正直、ロナルドは口が回る方ではない。そろそろ会話が続かなくなってきた、そもそも、相手に引く気がないのだ。
確かに、子供時代は可愛かったけどよ。だからって、そこまでする?うちは撮影所じゃねえし、あいつだって着せ替え人形じゃねえんだぞ?
『“何かしてやる”んじゃねえ!ただアンタがやりたかった事だろ!』
あんなキレ方をした相棒は、初めて見た。正直、ロナルドもヒナイチも驚いたものだった。
「…えーと、その。お茶のおかわりとか…?」
「…。」
「え、えっと。お袋さん…ご、ご趣味とか…?」
なんだよ、自分!見合いじゃないんだぞ!なんか…なんかないか?
「フフフ、大丈夫だ。気を遣わないでくれ。」
「そ、そうっスか。」
「…君はドラウスに似てるな?」
「ま、マジっスか?そ、そうだ!ちょっと、お茶菓子も持って来ますね。」
引きつった表情のまま、ロナルドはリビングに戻ると、おやつ棚からクッキーを取り出す。そして、事務所に再び姿を現した。
「『ドラ公のクッキー』持って来ましたよ。どうぞ…」
「クッキー!」
わざわざ、『クッキー』のワードを強調して言うと、例の如くヒナイチが床下から姿を現した。
「わっ!ビックリした。君は、吸対の…」
「ちん!こ、これはドラルクのお母上?」
驚いたヒナイチが、床下に戻る前にロナルドは彼女を事務所に引き上げた。そのまま手を合わせて、頼み込む。
(ヒナイチ!マジ頼む!会話続かないんだよ、二人きりにしないでくれよ!)
(そんな。わ、私もそんなに話題豊富な方では…。)
「…ロナルドくん、それにヒナイチさん…だったか?君達も見てくれないか?」
「は、はい!」
「ちん!?」
慌てている二人を尻目に、ミラが鞄から取り出したのは時代を感じさせるベビー服だ。ドラルクは日系ハーフなので着物もある。出してきた玩具にしても、プラスチック製などというものはなく、手作り感のある妙に赴きがあるものだった。
「なんかすげえな。そうだよなあ、200年以上昔のものなんだよな。哺乳瓶なんか、全然形違うのな。」
「このおしゃぶりも傷んでないぞ、大事にしまってあったんだろうな。」
思わず、二人も手にとって色んな方向から見てしまう。しかし…
「ベビー服?哺乳瓶?」
「お母上、撮影したいって…これ…」
嫌な汗が、二人に流れる。もしかして…
「君達も見たいだろ?勿論、君達も一緒に撮影しても…」
「「だめだー!!」」
二人の叫び声が、事務所にこだました。
(ふざけるな!バカお母様、今度こそ絶交するぞ!)
その会話を隠れて聞いていたドラルクは、思わず怒鳴りそうになって口を押さえた。どこに…事務所のロッカーの中である。
何故そこに隠れているかというと、半田に頼まれたセロリトラップを机に仕掛けて、泣く姿を撮影する約束だったのである。それが、思わず実母が入ってきて、出るに出られなくなったのだ。まさか、こんな事になるなんて…。
(嫌だ!絶対に嫌だ!200歳超えて、実母の胸で赤ちゃんプレイなんて死んだ方がマシだ!)
(ヌヌヌ~。)
(ジョン、頼む!私が赤ん坊になったら、お母様に渡さないでくれ!)
(ヌヌヌイ。)
もう既に、一部が塵になりかけている。泣き顔で、家族のぶっ飛びぶりに頭を抱えた。よりによって前同様、同居人達の前で、それをされるのだ。前にあんなにキレた理由が、伝わっていないのが余計に腹立たしい。
『ん?何がダメなんだ?』
ロッカーの向こうで、無邪気なミラの声が聞こえる。悪意がないのに、イラッとくる。
(当たり前だ!分かれ!)
『い、いやあ。そういうのは、本人にちゃんと了解得ないと…なぁ、ヒナイチ?』
『も、もも勿論だ。ど、ドラルクももう208歳だし…な?ロナルド。』
歯切れの悪い言い方、恐らく二人の顔も引きつっているに違いない。
(ロナルドくん、ヒナイチくん、ほんとにごめん!そして、ありがとう!あとで、君達の好きなものを作ってあげるからね。)
(ヌヌイヌヌ、ヌンヌッヌ!)
主従は、同居人達のとりなしにエールを送る。
『…やっぱり、嫌なものだろうか?だって…』
『そりゃあ、嬉しくはねえだろ。』
『ミラさん!やっぱり、ここに…ワオ~ン!』
外で、ドラウスの声までした。もう、バッドエンドしか見えてこない。
『ドラウスは、いつも嬉しいって言ってくれてるんだ。』
『ワオーンじゃねえだろ、バーカ!ほんとバーカ!』
『何だと!このクソポール、この竜の血族の次期当主に対して…』
『こら、ドラウス行儀が悪いぞ!ステイ、ステイ。』
『く、クウーン。』
『さあ、お嬢さんも遠慮せずに撫でていいんだぞ?私がブラッシングしたから、フワフワだ。』
『あ、ああ…。』
ロッカーの中でドラルクは、全身塵になった。
「ほんと、あんたの奥さんだろ!ちゃんと言ってやれよ!」
「だっ、だって、まさかそんな理由で、出掛けるとか…。まだ、ドラルクだって嫌って言ってないし、私も写真焼き増しして欲しい。」
「やめてやれや!あいつがOKする訳ないだろ?俺だって、友達の前で赤ちゃんプレイさせられたら怒るわ!」
「お父上、それはいいから。まずは、ドラルクと連絡を取る事だ。」
あの後、ひとしきり二人は狼になったドラウスを撫でていたが、途中で携帯が鳴ってミラは出ていった。顔色が変わっていたので、仕事関係なのだろう。
「さっさとワンちゃんから戻ろうぜ。もういいだろ?」
「ミラさんが解除するまで、私でさえ簡単には元には戻れないのだ。さすが、我が妻!」
ヒナイチが携帯に電話をかけるが繋がらない。続いて事務所のグループラインに連絡してみる。
『ドラルク、どこにいるんだ?お母上が事務所に来ている。子供の時の服を着て、撮影したいのだそうだ。早く戻って来てくれ。』
打ち込むとすぐに既読がついた。
「あ、RINEが返ってきたぞ。嫌だ、帰らないって言ってる。」
「うえーん、ドラルクや。不甲斐ないお父様を許しておくれ。」
「そもそもさあ、子供の時かまえなかったり、写真撮れなかったりしたのも仕方ないだろ?ドラルクだって、お袋さんが誇りだって言ってたじゃないか。なんで、今のドラ公じゃダメなんだよ。」
「そ、それはミラさんの心残りなんだと思う。私は息子とずっといれたから、そこまででもないんだが…。」
シュンとした狼の姿なので緊張感にかけるが、ロナルドが理解しかねるのはそこなのだ。
「…それは、私は分かる気がするな。」
「どういうこった?」
少し赤面しながら、ヒナイチは答える。
「その…私も将来結婚して子供が出来たとして、おそらく仕事は続けると思う。子供を親か夫に預けるだろうな。」
「お、おう。」
このクッキーモンスターが…いや、確かにそうなのだ。いつかは、彼女も大人になる。この床下から出ていくかもしれない。
そうなると、寂しい…うん、寂しいよな。
そして、その言葉をもう一人と一匹も聞いていた。
(えっ?ねえ、ジョン。ヒナイチくん、なんて言った?)
(ヌ~ン。)
(あの子…そうしたい人がいるのかね。あのクッキーモンスターが…。)
ドラルクは、正直ギクッとしたのだ。私の獲物…それで収められない感情が、胸で渦巻いているのは少しづつ自覚している。このままのみっぴきでいたいから、それを押し込めてきたのに…
(どこの馬の骨なのかね?せめて、ロナルドくんか半田くんにしなさいよ。お母さんは許しませんよ!)
せめて彼らなら許せる、そう思っていたのに…と、ドラルクは無意識にジョンを撫でながら壁に凭れた。
「自分だったらどうだろう…そう考えると、お母上の気持ちが、分かる気がするんだ。」
「だからってよ、子供は着せ替え人形じゃないんだぜ。」
「こら、ポール!ミラさんだって…」
「そう。普通は思うだけだ。戻す事は出来ないんだからな。だから、代わりに孫や親戚の子供に出来なかった事をしてあげる訳だ。しかし、お母上は、姿だけでも戻す事が〈出来る〉んだ。だから、我慢が出来なかったのでは?」
ロナルドは確かにそれはあるかもしれない、と思う。しかし、男の自分には理解しかねる分野なのだ。
「お嬢さん、ミラさんを分かってくれてありがとう。うぅ、やっぱりアンテナ族に悪い奴はいない。」
「じゃあよ、いっそお前がミラさんに話してみたらどうだ?」
「わ、私がか…それは難しいな。だって、まだ私はドラルクとつきあっていないんだぞ?」
「「まだ?」」
ロナルドとドラウスは、思わず聞き返した。意識せずに言ったのだろうヒナイチの顔が、徐々に赤面する。
ドラルク様、今ヒナイチくんが…
ジョンが、ぼんやりしている主の肩を叩く。彼もその一言に驚いた一匹だ。
「え?すまないね。ちょっと、ボーッとしてて。あの子が何って?」
ジョンの声でドラルクは我に返った。再び、外に意識を戻す。
『あ、ああ。これは…その言葉のあやで…。』
『お、お嬢さん、もしかして、息子にそういう気持ちでもあるのかね?』
再び、外から上擦った父親の声が聞こえる。
(え?私が聞き落とした間に何があったの?)
『えっと、そのお父上?』
『ありがとう!この前もドラルクの為に埼玉まで来てくれたし!パパ感動しちゃったよ、ワオーン!』
『ちーん!?』
『こら!おっさん、それは事案だろ!やめてやれよ。犬のまんまなんだぞ、なんつー絵面だ。』
隙間から覗くと、テンションの上がった狼がヒナイチにのしかかって尻尾をブンブン振っている。それをロナルドが引き剥がそうとしていた。
(あー!あのバカお父様!何してんだ!その子は私の…)
バンッ!と音を立てて、ロッカーと玄関の扉が同時に開いた。
「ドラウス!私という者がありながら…!」
「お父様!その子は私の…!」
一瞬、事務所が無音になった。全員の視点がドラルクに集まる。
「なんだ、ドラルク。そこにいたのだな。お母様は、今日お前に…」
「あ゛ー!しまった!断る、絶対に嫌だ!」
服を持って笑顔で追いかける母親に、必死に逃げ惑う息子…呆れた顔で二人を見やっていたロナルドは、一つの案を思いついた。どうなのか、とは思うが折り合いとしては悪くない…と思う。
「ったくよ。正直、お袋さんもどうかと思うけどよ。こんなのどうだ?」
「何か思いついたのかね?ポールくん。」
「ドラ公、我慢してベビー服着て、写真撮ってやれ。哺乳瓶もおしゃぶりもなしで1枚だけな。で、お袋さんは、もうこいつを子供にしないって約束する。どうだ?」
「…そ、それは。」
「あんたが大事なのは、子供の時だけか?違うよな?」
ロナルドが、ずいっと詰め寄る。自信はあった。
「わ、分かった。じゃあドラウスが縫ったこのマジロの服で…」
「あ、赤ん坊じゃなきゃダメかね?せめて、5歳ぐらいとかに…。」
往生際悪くジョンを抱き締めながら、後ずさるドラルクにロナルドがため息をつく。
「俺もどうかとは思うけどさ、お前のお袋さん頑固なんだよ。じゃあ、多数決で…おーい、メビヤツ。」
「ビビッ!」
「親父さんはどうする?」
妻と息子の視線がドラウスに集まる。
「うえーん、無理ぃ。どちらかなんて選べないよー!私は水加減を間違えたべちゃべちゃの米。」
ちなみに、デメキンは「ノーコメント」と素っ気ない。このままだと、3対2になってしまう。
「ヌヌヌンヌヌ…。」
「う、うう…。そ、そうだ!ヒナイチくんは私の味方だよね!?ね?」
追い詰められたドラルクは、後ろで困った顔をしているヒナイチにとり縋った。
「ちん!?あ、その…ドラルク。私は…。」
「お、お願い!一生君の為にクッキー焼くから!私を守って!」
クッキーと聞いて、ヒナイチが迷いを見せた。
「む…クッキー…一生か…。」
「すごいな、ヒナイチ。お前の人生だけど、それでいいのか?」
腰にしがみついたドラルクを覗き込んでいたヒナイチは、彼を抱き寄せる様にしながら、おずおずとミラに視線を向けた。
「お母上、その…」
「フフフ、お母上…か。」
手に持っていた服を机に置いて、ミラは二人に近寄った。
「えっと…ドラルクのお母上という意味で…そういう意味では。」
「貴女ならそう呼ばれてもいいし、あげても構わない気がしてきたんだ。私の大事な宝物を。」
「えっ…?」
「ち、ちょっと…お母様?」
ミラの紅い目がキラリと光った。一瞬、ヒナイチは身構える。
「お母上…な、何を?」
“お美夜…。”
「え?」
頭の中に直接ミラの声が響いた。ヒナイチにテレパシーで話しかけているのだろう。
“私の本名だ。さっき、君は『まだ』と言ったね?覚えておこう、ヒナイチさん。”
そっと、ミラは二人から離れる。
“真の名を教えるのは、私なりの想いがあっての事だ…君が私の宝物を守ってくれると信じているから。”
後ろでポンッと音がして、ドラウスが元の姿に戻った。
「あれ?ミラしゃん?」
「ロナルドくん、ヒナイチさん。迷惑をかけたな。私達は、もうお暇しよう。」
ミラの体が、ザワザワと揺らいで無数のコウモリへと変わっていく。
「ミラさん、分かってくれたのかい?」
「裁判所から連絡があってな、急遽新たな書類提出を求められた。折角の休暇だったのに、もう戻らなくてはならなくなったのだ。それでは、ドラルク…そのお嬢さんと仲良く、な。」
コウモリ達が窓から飛び出すと、後を追ってドラウスも夜空へ飛びだった。
「二人共、ちょっと…!」
「お母上!」
ヒナイチが窓辺に走り寄る。
「貴女の真の名にかけて約束する。貴女の宝物は必ず守ってみせる、だから安心して預けてくれ!」
夜空を飛ぶコウモリ達が、クスリとこちらに笑いかけた気がした。
人間達の時間は早い。この前までハロウィーンで騒いでいた街は、クリスマスへ年末へ向かっている。
「あの子は喜んでくれるだろうか?」
夫に教えてもらいながら編んだマフラーに目を落とす。出張先でも開いた時間に少しずつ編み、昨日やっと出来たのだ。
そのまま彼の元に帰ればいいものの、やはり少しでも早く渡したかった私は、急遽シンヨコに進路を変えた。途中で、シンヨコに寄る旨を連絡すると、彼もこちらに来るという。
「じゃあ、ドラルクキャッスルマークⅡで会おう。」
と言うと、電話の向こうからはしゃいだ声がした。
事務所の「誰でもお気軽にお入り下さい」の看板の前に立つ。チャイムを押すと、扉の向こうから軽やかな足音が聞こえてきた。
「いらっしゃい!おばあさま!」
今年で7つになる可愛い孫娘。赤毛のピコピコ跳ねるアンテナは、今日も上機嫌だった。
嬉しくて彼女を抱き締める。息子にしてやれなかった分を取り返すかの様に…あまり強くし過ぎると息子同様、虚弱体質のこの子は塵になってしまうので、加減が必要だ。
「おじいさまは、いっしょじゃないの?」
「もうすぐ来るぞ。お土産をいっぱい持ってな。」
アンテナを?にしながら、首を傾げる孫に、編んだマフラーを巻いてあげた。パッと輝く笑顔に、私も仕事の疲れを忘れてしまう。
「お母上、いらっしゃい。皆待っていたんだ。」
「こんばんは、急に来てすまないな。」
「かあさま、みてみて!おばあさまにもらったの。」
「似合っているぞ、良かったな。」
我が子に笑いかける義理の娘の薬指には、竜鱗を象った紫の指輪が光っていた。