明治11年の2月の満月の日が17日ってことで、個人的に2/17は剣薫出会い記念日!!! そんなわけで今年も剣薫UPです。剣薫ちゃん、出会ってくれてありがとう!!
@tachik_k
「あ」
「どうかした?」
不思議そうに首を傾げた薫に、眉を下げた剣心は照れたように笑った。
「いやほら、この日付」
剣心の視線の先にあるのは、なんの変哲もない暦。
――明治十二年二月十七日と書かれてある。今日だ。
それがどうかしたのか。
「一年前に、拙者が薫殿に木刀を突きつけられた日でござる」
「え」
薫の目がまん丸に見開かれた。思わずマジマジと暦を見つめる。
――薫が剣心に木刀を突きつけた日。
それはつまり、剣心と薫が出会った日、と言うことだ。
――今日、だっただろうか。
あの頃はあまりに必死で――言うなればかなり追いつめられていて――出会いの瞬間や何があったかは覚えていても、日付の感覚は曖昧だ。
ただ、冬の寒い夜だったと言うのと、満月が白く輝いていたのは覚えているけれど。
……それにしても、木刀を突きつけられた、なんて。確かに事実だ。事実ではあるのだが――もう少し他に言い様はないのだろうか。
薫としては、思い出しただけで顔から火が出そうになってしまう。
よりにもよってまったくの勘違いでした、なんて。
いや、勘違いとも言い切れないから、余計に恥ずかしいのだが。
「なんで今日だなんて覚えてるのよ」
恥ずかしいから忘れてよ、と口を尖らせる薫に、剣心は「いやいや」と笑った。
「あれを忘れるなどできないでござるよ」
――抜刀斎、と懐かしい名前を呼ばれて振り向いたから、今の自分がある。
あの出会いからすべてが動き出した。
それを忘れろと言うのは、天地がひっくり返っても無理な話だ。
「そうか、【今日】か」
再び暦に視線を戻し、感慨深く目を細める。
明治になり、西洋と同じ暦になったことは知っていたが、もとより流浪人をしていた頃は日付などあまり気にしていなかった。
だが日付がずれる江戸の暦とは違い、一年が経つと同じ日が来るのは、なかなかいいものかもしれない。
どうにも恥ずかしいらしい薫が「もう」と剣心の肩を叩く。
その愛しい衝撃に、とけそうなほど幸せそうな顔で剣心は笑った。