こさかな
@pandanokurage
男:なあ、小坂ー
〇:ん?
男:お前の姉ちゃん昨日もテレビ出てたな!
〇:あー、、うん
男:サイン貰ってきてくれよ!!
〇:断られるから無理だよ
男:まじかよ、、でもほんとにすげーよなぁ
僕の姉はアイドルだ
日向坂のエースと呼ばれている小坂菜緒
たくさんの人に羨ましがられる
「かわいいお姉ちゃんがいていいね!」
「一緒に暮らせるとか夢みたい!」
「毎日幸せそう!」
たしかに羨ましいと思うのはわかる
でも、みんな知らないんだ
アイドルの姉を持つことが苦しいことを
〇:ただいま
母:おかえり、今日はテスト返却だったよね?
〇:うん、はい
特別勉強ができるわけでもなく
至って普通の得点表
母:はぁ、ほんとに普通ね
〇:うん
母:あんたにもなにか特別なものがあればね
〇:、、、
母:菜緒みたいに
〇:、、ごめんなさい
母:今年は大学受験なんだから、ちゃんと勉強しなさいよ?
〇:はい
こみ上げる怒りを抑えながら自室へ
僕は嫌なんだよ
姉と比較されるのが
悪いことはしてないのに
なにをしても比較され、蔑まれる
そんな僕の唯一の理解者が父さんだった
今は出張で家にいないが
「菜緒は菜緒、〇〇は〇〇だ」
この言葉だけが僕の支えだ
ガチャ
帰ってきたか
菜:ただいま!
〇:おかえり
菜:今日な!美玖と一緒にプリ撮ったんよ!
〇:そうなんだ
菜:見て!どっちがかわいい!?
嬉しそうにプリを差し出してくる姉ちゃん
〇:どっちもかわいいんじゃない?
菜:ん〜、冷たいなぁ
不満気に部屋を出ていった
姉ちゃんは何も悪くない
僕がひねくれているからだろう
姉ちゃんが普通に接してくることが
僕は見下されてるように感じてしまう
だからできるだけ話したくないんだ
母:ご飯よー!
菜:はーい!
父さんがいない今
この時間が一番きついかもしれない
3人で食卓を囲んでいれば
母:菜緒、明日もテレビ出るんだって!?
菜:うん!先週収録してきた!
母:すごいわねー!ねっ、〇〇
〇:、、そうだね
菜:〇〇も見てな!
〇:時間があればね
菜:素直やないな〜
見たくないよ
どうせ母さんになんか言われるだけだから
菜:今度の休みに友達呼んでもええ?
母:いいけど、私は家にいないから
菜:〇〇は大丈夫?
〇:うん
その後もずっと
母さんの菜緒を褒める会が続いた
〇:はぁ
時刻は夜の10時
天井を見つめながら自分の惨めさに呆れる
僕は何もできない
何事にも劣っている
いっそのこと、家族と縁を切って一人暮らしをしたい
身近な人、主に母への怒りは
一周まわって自己嫌悪へと変化していった
同時刻、隣の部屋では
菜:はぁ
同じようなため息が
菜:なんでなんやろ、、
私がアイドルになり、有名になっていくにつれて
どんどん〇〇と話す機会が減っていった
自分では、積極的にコミュニケーションをとっている
でも〇〇には避けられているような感じ
メンバーにも相談はした
美玖:反抗期なんじゃない?
美穂:彼女できたとか、、
史帆:こしゃがかわいいから緊張してるんだよ!
どれも考えてみたが
しっくりくるものはなかった
本当は仲良くしたい
その願いを叶えるべく、週末に美穂を家に呼んだ
彼女なら〇〇と仲がいい
この問題を解決してくれるかもしれない
菜:さっ、明日も収録や
色んなことを考えながら
明日に備えて眠りについた
ーーー
姉ちゃんの友達が来る日
僕は一日中部屋にいれば問題ない
そう思い、あらかじめリビングから食料を持ち出した
母さんは既に出かけており
姉ちゃんは恐らく隣の部屋にいる
ピンポーン
11時過ぎ、インターホンが鳴った
ドタドタ
菜:いらっしゃい!
美穂:うわぁ!久しぶりに来た!!
玄関からは美穂の声が
美穂は姉ちゃんがアイドルになった当初から度々会っていた
そのおかげかお互いタメ口で話すほど仲が良く
挙句の果てには、姉ちゃんを通して美穂のグッズを渡されていた
それは今も棚の上に飾ってある
ドンドン、バタンッ
美穂:〇〇!!
〇:あ、久しぶり
美穂:元気だった!?
〇:うん
美穂:見ないうちに背伸びたね!
〇:成長期だからね
美穂:話したいこといっぱいあるから、、また後で来るね!
バタンッ
急に来て、すぐに出ていった
相変わらず騒がしい人だ
リビングからは、調理器具の音
2人の楽しそうな声が聞こえる
そんな音を聞きながら食べたパンは少し悲しい味がした
コンコン
〇:なに?
美穂:今大丈夫?
〇:うん
3時頃、再び美穂がやってきた
美穂:よいしょ〜
ベッドにダイブして、勉強机に向かう僕を見てこう言った
美穂:菜緒のこと、どう思ってる?
〇:、、別にどうも思ってない
美穂:しばらく冷たくされてるって言ってたよ
〇:まあ、、そうかもね
美穂:なんかあったの?
〇:、、、
言えない
というよりは、言っても解決しない
そう判断した僕は何も話さなかった
そんな僕の気持ちを察したかのように
美穂:言いたくないなら言わなくていいけど
〇:ごめん
美穂:一つだけ約束して
〇:なに?
美穂:絶対に後悔しないように行動すること
〇:後悔?
美穂:菜緒は世界で一人のお姉ちゃんなんだから、わかった?
〇:、、うん
美穂:よし!じゃあ私は帰るから、またねっ!
笑顔で手を振りながらそう言った
〇:後悔しないように、、、か
美穂の言葉は強く僕の頭に残る
僕はまだ知らなかった
この言葉が菜緒を
いや、僕を救うことになるなんて
to be continued