こさかな
@pandanokurage
朝の9時
いつもなら家でゆっくりできる休日
なのに今日はこんな朝早くから
菜:遅い!
〇:時間通りだ
菜:うちはもっと早くから準備できてた!
〇:知るかそんなん
菜緒の家の前に集合していた
菜:映画の時間間に合わんやろ!
〇:何時からだっけ?
菜:11時
〇:早すぎだって、、
菜:カフェで時間潰したりしたいやん!
〇:なるほどね、カフェで妄ツイ書きたいのね
菜:ち、違う//
〇:わかったから行くぞ、おさかな
菜:ほんまにやめてって///
恥ずかしがって顔を隠す彼女の手を取り
駅への道を歩み始める
〇:それにしても、初デートが映画とかベタすぎない?
菜:わかっとらんなぁ、〇〇は
〇:なにが
菜:妄ツイはな、ベタなほうがええんよ!
〇:えっ、妄ツイのネタにするの?
菜:当たり前やん!
菜緒にとっての当たり前
まあ菜緒の立場からしたらそうかもしれないが
僕にとってこのデートが元になるという感覚はなかった
菜:やから、〇〇がとる行動が全部主人公の行動になるんやぞ!
〇:プレッシャーかけてきてる?
菜:そんなんではないんやけど、頑張ってな〜!
嬉しそうに繋いでいる手を揺らす
妄ツイのネタとは言いつつ
シンプルに楽しみたいのは僕だけじゃなくて安心した
〇:で、着いたけど何する?
菜:カフェ!
〇:カフェね
普段ならインスタ映えとやらで
学生、若者を中心に賑わっているカフェも
こんな早朝だと店内に数人しかいない
菜:うちキャラメルのやつ!
〇:じゃ僕もそれでいいや
パッと注文を済ませ向かい合って座る
〇:うわ、甘っ
菜:久しぶりに飲んだなぁ
〇:これ体に悪いわ
菜:悪いからおいしい!
〇:そんなにおいしいかな
菜緒が美味しそうに飲んでいるから
きっと美味しいはず
僕にはそこまでわからない
菜:さ〜、書くぞ〜!
〇:人前で書けないんじゃないの?
菜:カフェは特別なの!
〇:ふーん
両手でスマホを持ち
画面をじっと見つめ出した
やることのない僕は
菜緒を見つめることしかできない
菜:、、、ん?
〇:ん?
菜:なんでそんなに見るん?
〇:とくにすることないし
菜:そんな見られたら書けんよ
〇:、、わかった
妄想彼女の邪魔にならないよう
菜緒の顔が見えない位置でスマホをいじる
菜:ふふっ、、
きっと彼女は気づいていない
カメラ越しに全てが丸見えなことに
ずっとニヤニヤしながら指を動かしている
妄ツイ書いてる時って
こんな顔してるんだ
せっかくなので動画に収めておいてあげた
菜:あっ
〇:なに?
菜:そういえば、奢ってもらってた
〇:いや気づくの遅くない?
菜:ありがとう!
〇:気にしないで
菜:そういう所は優しいんよなぁ
〇:ずっと優しくしてる
菜:それは嘘や!おさかなってバカにするし!
〇:バカにしてない、尊敬だから
菜:じゃあ褒めてみ!
〇:菜緒の、、おさかなさんの書く作品は設定が好きです
菜:おぉ、設定ね!
こだわっていた部分なのか嬉しそうな反応
菜:他には!
〇:結構話の流れも好きだから、おさかなさんと恋愛観が合うと思う
菜:恋愛観合ってるんやったら、うちらは最高のカップルやん!
〇:お互いのことわかるからね
菜:てことはいっぱいキュンキュンさせてくれるんか!?
〇:なんでもするよ
菜:楽しみやなぁ//
口元を抑えながら照れる姿は
妄ツイ師、おさかなとしてではなく
幼馴染の小坂菜緒として喜んでいた
〇:時間、そろそろじゃない?
菜:そうやな!行こうか〜
〇:それにしても、見る映画まで恋愛映画か
菜:なんや、嫌なんか?
〇:つくづくベタだと思ってさ
菜:映画も妄ツイの参考になるかもしれんやろ!
〇:どこまで妄ツイ中心になってるんだか、、
おさかなとしてのプロ意識に感心しながらスクリーンへ
混んではいないものの
見に来ていたお客さんはカップルが多かった
〇:リア充ばっかり
菜:うちらもやろ?
〇:あ、そっか
非リアの期間が長すぎて染み付いていた感覚
今は隣に菜緒がいる
雑談しながらポップコーンを頬張っているうちに
映画が始まった
妄ツイを読み始めた影響か
恋愛映画も見入ってしまう
ポップコーンに伸ばした手が触れ合う
そんなベタイベントは起きなかったが
自分の中で勝手にボルテージが上がって
彼女自身の膝の上にあった手を
そっと握りしめた
その時の菜緒の表情は絶対に忘れない
驚きと緊張、そして瞳の奥にハートが写りそうなほどの喜び
全てが入り交じったその表情は
映画の内容よりも印象深いものとなった
〇:普通に良かったね
菜:〇〇のせいであんまり覚えとらん//
〇:キュンキュンさせろって言ったから
菜:急にやるのはずるいやろ//
〇:急じゃないとキュンキュンしなくない?
菜:もう何されてもキュンキュンするわっ//
〇:えぇ、、
照れてるのか
怒ってるのか
僕たちの初デートは
ベタだけどベタじゃなくて
楽しいの一言に尽きるものとなった
to be continued