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買い物

全体公開 創作話 1 768文字
2023-03-15 18:09:07

2023ホワイトデー話(遅刻)
霧凍と雪花

Posted by @lianmiso

 スマホから顔を上げ、目の端のヒラヒラしたものを追う。ホワイトデーを過ぎた店は客もまばらであるはずだが、あっちこっちを行ったり来たりする姉は人の目を引いた。腕の中の商品はぬいぐるみ、時計、宝石に彩られた箱に色々とものを変えていく。かれこれ30分以上は経っていた。霧凍の視線に気づいた雪花が申し訳なさそうに眉を曲げる。
「ごめんねぇ。待たせているわねぇ。霧凍くんとお買い物するの久しぶりだから、楽しくなっちゃったの。」
「そうですかぁ。」
 ホワイトデーのお返しを買いに行けなかったのは自分の失態だ。女は買い物が長いというし、このくらいは仕方ないだろう。雪花がバレンタインデーに霧凍にプレゼントした菓子は高級なものであり、多少は我慢せねばならない。
「ねぇねぇ。霧凍くんはどれが私に似合うと思う?」
 雪花に声掛けられ、霧凍は顎に手を当てた。売り場から何かを取ると、雪花の耳に当てる。
 薔薇のデザインのピアス。
 雪花がピアスを受け取って翳した。揺れれば落ち着いた赤色の薔薇と雫型の深い赤のルビーが店の照明を反射する。
「お客様の瞳の色と同じ色ですね!とってもお似合いですよ!」
 見惚れていたら店員がニコニコしながら手を揉み、近づいて来た。
 瞳の色。
 雪花が霧凍の方を見るとそっぽを向き、眼鏡を掛け直す。顔色は変わっていないが、耳が微かに赤い。雪花はにっこり笑った。
「これがいいわぁ!これください!」
 即決だった。
 雪花は機嫌良く鼻歌を歌いながら霧凍の手を引いた。向かう先は降りエスカレーターである。
「何処に向かうんです?」
「お腹空いたでしょ。このデパートの地下にパンケーキのお店があるんですってぇ。」
「奢りませんよ。」
「だいじょーぶ!おねぇちゃんに任せなさい!」
 ピースをすると同時にピアスが揺れ、紅く煌めいた。


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