@9yamadadamay9
シン・ゴジラは福島第一原発を怪獣に準えた人間ドラマであった。
シン・エヴァンゲリオンは庵野監督の半生に整理をつけ、妻とともに生きていくという決意の映画であった。
シン・ウルトラマンは完全に注力できないながらもノスタルジーとかつての名シーンを見事に現代によみがえらせた
ではシン・仮面ライダーは?
一言で言ってしまうとこれは商業映画ではなく、ダイコンフィルムでやるべきだったような映画だった。
ストーリーは大体なんとなくわかる範囲のみ示し、やりたい描写を素早く場面転換して出していく。
このやり口は見ているこちら側としてはキャッチーであり、正直「雑な進め方だなあ」、と感じるものであった。
一方でシーンの一つ一つを切り取っていくとすさまじく過剰なまでの特撮オマージュ、原作オマージュが叩き込まれてくる。
映画全体の整合性やストーリーラインじゃなく、細かいことはいいからこのシーンを目いっぱい楽しめ!という強いメッセージだ。
オーグ達の様々な策を外連味たっぷりのライダーとルリ子の活躍がひっくり返す痛快さ!かっこいいバイクアクション!
そうだ、粗削りだけどかっこいい、初代仮面ライダーの初期の盛り上がりがここにあったのだ。
なるほど。出来のいい、お行儀のいい映画にしたくなかったのだ。
そして作中描写からは様々な特撮作品(特に平成ライダー)と漫画版仮面ライダーを強く意識している部分が多々見られた。
蜘蛛男の腕の数、国家権力との連携、兄の計画に立ち向かう妹、試験管ベイビーの生態コンピューターのルリルリ(でぶをさんの指摘できづいた)、AIの結論と人間の幸福の乖離と人類補完計画、赤い光となって戦う蜂女、イチローというイナズマンであり、V3であり、ハカイダーであり、3号である男、そして13人の仮面ライダーからの、本郷の死と一文字との交信・・・
正直なところオマージュネタは半分も拾えていないと思う。これは再度視聴する際には意識して見ていきたい。
残念ながらショッカーという組織、プラーナの性質といった設定回りの説明の駆け足感や、今ひとつ見辛いアクションシーン等不満を感じるところも多い。
だがその全てが、一文字隼人が本郷の魂を受け継いで「新一号」(ラインが2本なので新一号でしかありえない)となる、あのシーンのために全て存在したのだ。
それならばいいではないか。そう思わせてくれる映画だった。
総じて、この映画はTV版仮面ライダーを愛し、漫画仮面ライダーを愛し、特撮を愛した男が作った同人映画というオナニーだ。
ゆえにこの波長を受け取ることができるディープなオタクにとっては完璧な映画である。
一方であまりにあまりな作風と演出からこれを誰かに勧められるか、と言われると「見るな」という反応になる。
そのため点数は2つに分ける。
オタク視点 95点
一般人視点 20点
我こそは仮面ライダーを愛する者と自負する人はぜひ見ていただきたい。