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ここが皆の帰る場所

全体公開 本編ドラヒナ(両思い期) 1 2 4377文字
2023-03-22 04:31:54

 ロナルドくん家出回とアニメ2期を見た時に、思い付いた話です。つき合っているドラヒナで、ロナルドくんに電話をするまでの幕間という設定になります。
ドラルクさんの家出回で、マリアさん達まで「泊めて」ってした事でモヤるヒナイチくんと、ロナルドくんが心配でゲームオーバーをするドラルクさんをかきたかったのです。
2023/02/18に上げました。

Posted by @kw42431393

 いつも通りのクッキーい、いや、監視任務に来たいつも通りの事務所いつも通りの?
 いや、一人足りない。
 床下から顔を出した時、雰囲気がおかしかったので、「どうした?ロナルドは仕事中か?」と聞くと、不思議そうに「さあ?なんか勝手に出ていっちゃった?」とドラルクは言う。泣きそうな困った様な顔で、 ジョンがため息をつく。
 話を聞けば、いつもの事といえばいつもの事だが、今回は妙なものだ。
 『こんなとこにいられるか!もう俺は出ていってやる!』
 ドラルクのセロリ押し花のイタズラと煽りにキレたロナルドが、家出をしたというのだ。
 「庇を貸して母屋を取られる、とはよく言ったものだな。」
 「人聞きの悪い事を言わないでくれ給えよ。元をただせば、私の城がぶっ飛んだのはロナルドくんのせいなんだからね。」
 だからって、この事務所の主は自分だという言い分は成り立たないだろう。何より妙なのは、いつの間にかロナルドもそんな錯覚を覚えていたという事だ。
 まぁ、分からなくもないか?私も含めていつの間にか、この事務所は疑似家族の呈を成していたのだ。一番年長のドラルクがお母さんで、ロナルドが弟で、ジョンが皆から愛される末っ子で
 「ウフフ」
 思わず、私は出されたクッキーを食べながら笑ってしまった。目の前のテレビ画面一面に、『Game Over』の文字が何度も写し出される。
 「う~ん、今日は調子が出ないな。このゲームの天才ドラドラちゃんが。」
 最近は、私もドラルクに教えられてクソゲーをしているので、多少は分かるぞ。ロナルドが帰ってこないから動揺してるんだろ?いつものお前ならしないミスが何度もあったぞ。
 「なあ、ドラルク。」
 「何かね?クッキー足りなかった?ゲームも乗らないし、憂さ晴らしにリクエストを聞いてあげるよ。」
 どこか寂しそうな顔で、「何が食べたい?」と聞いてくれる。お前もやっぱり、みっぴきでいるのが一番だろ?だから
 「バナナケーキが食べたいぞ!」
 「ヌヌヌ!ヌンヌ!」
 私の横で、ジョンも賛成してくれる。 
 「え?それがいいのかい?」
 「何でもリクエスト、聞いてくれるんだろ?」
 さっき、フクマさんから原稿の進捗についての連絡もあっただろう?
 あいつが帰ってきた時に、好きなものを食べながら仕事出来るようにあいつがゴメンって言わなくてもいいように悪くない案だと思うんだ。



 「ロナルド、なかなか帰って来ないな。」
 「ヌヌヌ~。」
 ジョンとオーブンレンジ内のバナナケーキを眺めながら、ドラルクに話しかける。なあ、そろそろ電話してやったらどうだ?雪が降りそうなぐらい底冷えしてきたぞ。
 「まあ、そんなに心配しなくても大丈夫じゃないかね。ギルドの連中か半田くんちに、泊めて貰ってるのかもしれないし。」
 初めはソワソワしていたが、時間が経つと半分意地、半分楽観的な顔であいつは返してきた。もう少し焦って欲しいところだ。
 「ヌヌヌイヌヌ。」
 「お前なら、そうするかもしれないがロナルドはどうだろうな。」
 こいつは、自分の城を破壊した男の家に転がり込む様な奴だ。プライドがある様でないし、自分の無力を理解して生きているから、人に気を遣わないし、頼る事に躊躇いがない。
 しかし、ロナルドは変な所にプライドがあるし、気を遣う男だから、かえって、親しい者には頼めないかもしれない。
 私だったらどうするだろうか寮を引き払ってないからそんな事にはならないが、だからと言って、マリアさん達に頼める自信はない。仮にマリアさん達が「おいで」と言ってくれてもだ。サンズニャンだったら頼めるだろうかしかし、ロナルドグッズで埋め尽くされた彼女の部屋は、私には少し理解し難い。やっぱり、躊躇うだろうな。
 「いつだったかね、私もつまらない事でロナルドくんと喧嘩して、ここを飛び出した事があったっけ。」
 「ヌフフフ。」
 そうだったかな私がまだそこまで彼らと関わってなかった頃の話だろうか。
 「それ、私はよく知らないかもしれないな。お前はどうしたんだ?」
 「私はちょっと、ヴァミマで立ち読みしてから帰ったんだけど、あの看板が外れててさ入れないし、嫌がらせだと思って意地になって、泊めて貰う所を探したもんだよ。」
 ジョンには心配かけたよね、と彼は使い魔の頭を撫でる。楽観的な顔をしているのは、経験があったからだろうか。
 「で、誰に泊めて貰ったんだ?」
 「いやあ、私は人気者だから。ギルドの面々はいいって言ってくれてたけどさ。シーニャさんは身の危険を感じるし、マリアさんちは熊が出るし、ター・チャンさんちはニンニクだらけでしょ?」
 「えっ?マリアさん達にも頼んだい、いや。なんでも。」
 普通、女性達にも頼むか?その時私には連絡なかったな。なんで連絡してくれなかっうん。しかし、警察の寮に連れ込める訳はないのだが
 「なになに?ヒナイチくん、ヤキモチ?嬉しいなち、ちょっと、ゴメンて。」
 う、うるさい!確かにその当時、つき合ってなかったが、気にするのは当たり前だろ!?
 私が赤面して睨み付けると、ドラルクは両手を上げて降参の意を示しながら続けた。
 「怒らないでよ。結局、最後は半田くんの所に泊めて貰おうとしたんだけど、あの当時シンヨコに来たばっかりでしょ?闇のロナリストのお部屋にどん引きして、ここに帰って来たんだよ。今なら、平気であの部屋に泊めて貰ったかもしれないけどね。」
 あれ以上の変態達が、この街には多すぎて馴れてしまったという事かそれはあるだろうな。
 「あと、君を真似て床下に拠点を作ろうとも考えたりね。上手くいってたら、お隣さんか。それも面白かったかもね。」
 床下にちゃぶ台置いて、お茶をしたりとか面白そうでしょ?と続けるのだ。どうも理解しがたい奴だ。私のは、あくまで任務だからな。
 「そういえば、ジョンもあるよね?」
 「ジョンも家出か?」
 「ヌヌヌヌ~。」
 恥ずかしいから言わないで、と隣でジョンが顔を隠してしまった。やってないのは私だけかいや、したいわけではないが。
 「私がゲーム実況と企画で構ってやらないから、他の吸血鬼の使い魔になっちゃうよ、って書き置きしてね。このイタズラマジロ。」
 「ヌヒヒ。」
 「まあ、ジョンの事だ。引く手あまただったんだろ?」
 「ヌヌ、ヌヌッヌヌヌンヌ。」
 「帰ってきたとも。私が一番だもんね?」
 ドラルクがジョンを胸に抱きながら、笑いかける。ジョンに関しては、内心ヒヤヒヤしていたのではないだろうか。
 「そして、今度はロナルドか全くお前達ときたら。」
 「次はヒナイチくんかな?」
 「い、家出もなにも最近は確かにここに入り浸りだが、私はちゃんと寮があるんだぞ。」
 からかう様な表情にムッとする。ますます、あいつは口角を上げながら追撃してくる。
 「ウソウソ、簡単に家出なんてさせてあげないよ。やっと、胃袋だけじゃなく心も手に入れたんだもの。」
 ぐっ、と胃の辺りを掴んだ手が、そろそろと心臓部に這っていく。ゾクゾクと身震いをして、私は思わず喘いだ。
 「あっ!?ちょっ、とこ、こんな所で!」
 「そうこうして料理を振る舞いながら、あどない君が、大人になるのを待っていたんだよ。願いが叶った時は、どれだけ嬉しかったか。」
 裂ける様に開いた口に白い牙が、キラリと光った。肉体的には負ける事はあり得ないのに、こういう時、彼と私の力関係は捕食者と獲物に逆転する。
 こういう時、本当に吸血鬼らしい顔をするんだな。流されそうになるじゃないか。ロナルドが困ってるかもしれないのに
 顎に手をかけて迫ってくるドラルクを、死なない程度に押しやる。底冷えすると思ったら
 「ゆ、雪が降ってるぞ。」
 「ああ、随分冷えると思ったら。」
 興を削がれて、ドラルクは憮然とする。
 「やっぱり、連絡してやろう。部屋着で飛び出したんだろ?財布も持たずに。」
 「う~ん、帰って来ないなら、さすがに誰かに泊めて貰ってると思うけど結構心配性だね。あれ?」
 その時、ドラルクの携帯から着信音が鳴った。それを聞いたあいつも嬉しそうな顔をしている。
 「やれやれ、折角いい所だったのに。あのゴリラ、帰ってきたらあれ?」
 携帯を見たドラルクが、不思議そうな顔をする。どうしたんだろう?
 「もしもし。サンダーボルトくん、どうしたのかね?えっ?ロナルドくんがそっちに?そう、心配させてすまなかったね、うんうん分かった。こちらも電話してみるよ、ありがとう。」
 な?私の言った通りだろう?それにお前も心配だったんじゃないか。
 「まったく、何を意地張ってるんいるんだか。あの若造は。」
 そう言いながら、やっとドラルクも重い腰を上げる。
 「とっとと帰れ。ロナルド吸血鬼退治事務所にロナルドがいなくてどうする?」
 後ろで、オーブンレンジからバナナケーキの匂いがしてきた。ジョンと顔を見合せる。ロナルド、安心して帰って来い。そして、一緒に食べよう。



 「ロナルド、何だって?」
 ヒナイチくんが、輝く様な笑顔で覗き込んできた。うん、心配させてすまないね。
 「帰ってくるって。どこをほっつき歩いていたんだか。」
 にやけそうになる顔を押さえるのにも苦労する君はそれでも見破っているんだろうね。
 やはり、年長者が我慢してやらなければならないという事か。
 「ビビッ!」
 「メビヤツ、よかったな。お前が一番心配していたものな。」
 「ヌヌヌ~。」
 事務所で、ジョン達が騒いでいるのも見える。さて、さっき焼けたバナナケーキの準備をそう思っているとヒナイチくんが床下の蓋を開けた。
 「おや?一緒におかえりって言ってやらないのかね?」
 「うん、ロナルドも体裁があるからな。妹みたいに思っている私に、知られたくないと思うんだ。」
 あいつが帰って来て、ケーキを出す時にまた呼んでくれそう言って彼女は、床下に戻って行った。
 いつまでもハムスターだと思っていたのに大人になったものだ。あの若造も見習って欲しいところだ。
 さてさっきはゴメン、と言うと向こうも気にするだろうゲームでもしながら何でもない風に迎えようかね。
 
 あっ、セロリ押し花がまだ一枚残っていた。折角作ったしなあ、捨てるのは享楽主義者の私は面白そうな事は我慢出来ないのだよ。
 帰ってすぐ使うのは何だろうか。このパソコンの間とかどうだろうね。
 

 
 
 
 


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