成立後のΔドラヒナで、ヒナイチくんの誕生日のお話です。二人の馴れ初めに関しては、こちらの話で書いてます。膝で眠る貴方(前編) https://privatter.net/p/9806596
誕生日花の桃や珊瑚等、彼女の縁のモチーフを調べるのは面白かったです。さりげにケンコユ描写もあります。
女性から桃を男性に贈るのは「あなたの子供が欲しい」という意味でして、それをヒナイチくんにやって欲しかったというね。
デートの描写とお酒で酔っぱらうヒナイチくんのシーンを追加しました。
2023/02/28に上げました。
@kw42431393
ガンッ!ガンッ!ドゥンッ!
全ての弾丸が、飛んで来た小太刀に命中する。
まだだ、まだ足りない。こんなのじゃ…
さらに、後ろから飛んで来た小太刀も手で払った。そのまま、ヒナイチは飛んで来た方向に走り出す。そして、相手の胸倉を掴んで投げ飛ばす…事は出来なかった。
「うわっ!?」
そのまま足払いをかけられて、地面に背中から叩きつけられる。ムッとして見上げた先には、不敵に笑う兄カズサの姿があった。
「惜しかったな、妹よ。まだまだ俺には遠いな。」
「う、うるさい!」
顔についた土を拭いながら、起き上がる。目も回っているが痛いとも言いたくない。
こんなのじゃ、市民を守れない。こんなのじゃ、あの人の役に立てない。
幼い頃に出会った、『あの人』の顔を思い浮かべる。色白で目の下に隈を作った不健康そうな顔。眠そうな目に光る金色の瞳。
『元気でね、小さな退治人さん』
もっと、強くならなければ。早く、大人にならなければ。いつ貴方にまた会っても恥ずかしくないように。
「もう一勝負だ、兄さん!」
その当時、中学生のヒナイチは、その『憧れのあの人』が自分の地元の吸血鬼対策課に赴任してくるとは考えもしなかった。
「よっ、ヒナイチ。パトロールお疲れさん。」
「お疲れ様。ケンさんも戻ってたのか。」
新横浜ハイボール…吸血鬼退治人ギルドに戻ってくると、退治人のケンがヒナイチを出迎えた。忍者装束の様な服装に身を包んだ彼は、若干軽い所があるが面倒見もよく、皆の兄貴分である。
「ニヒヒ、口元にクッキーがついてるぞ。吸対への報告書提出もご苦労さん。」
口を指差しながら、ケンがからかう。ムゥ…と膨れて口元を擦るヒナイチは、彼からしても妹の様なものだ。初恋の相手を思いながら、10年近くを鍛練に費やしてきた子供が女性になっていく姿は、彼にとっても感慨深かった。
現在、ギルドマスターの妹である彼女と、その初恋の相手が恋仲なのは、皆がとっくに知っている。
初恋って叶うもんなんだなぁ…
しみじみ思う。大抵は、憧れで終わるものだ。もっとも、相手のドラルク隊長も、成長した彼女に対して満更でなかったのもある。しかし、年上で社会的地位がある相手は動きにくかったのに対して、若い彼女がひたむきだったのは大きかったのに違いない。実兄のカズサは、そこを多少心配していた様だ。
明日でヒナイチは20歳になる。立派な成人だ。そして、その翠の瞳は、自分の意志で未来を決められる様になった、という希望に満ちている。
実際なってみると、なんて事もないんだけどよ…。
「ま、それは自分が決めるこった。」
「なんの話だ、ケンさん?」
「なんでもねえよ。」
早く大人になりたい、と言っていたお前さんに、今言ってやるのは気の毒だ…いや、そんな事も思わないまま突き進むかもしれねえな。
「ちょっと早えけど、ヒナイチ。誕生日おめでとう。俺はこれから、ちょっと県外に応援に行く事になっててな。先に言っとくぜ。」
「ありがとう、ケンさん。いってらっしゃい。」
「おー、プレゼント代わりにお土産持ってくるから楽しみにしてな。」
ひらひらと手を振りながら、ケンが扉に向かう。笑いながらヒナイチがケンを見送りに出ると、吸血鬼のコユキが空から降りてくる所だった。
"おじさん、迎えに来ました。さあ、行きましょう…っと。"
「よよい!へへ、相変わらず強いなあ。」
不意打ちでケンが、じゃんけんを仕掛けるとコユキも咄嗟に切り返す。ちなみに、チョキとパーでコユキの勝ちである。
"うふふ、変わりませんね。"
クスクスと笑いながら、退治人のケンをコユキが抱える。背中から生やしたコウモリの羽が、バサリと音を鳴らした。
「それにしても、俺と共同任務なんてよくとっつぁんが許してくれたな。」
"敵の特性から、ドラルク隊長が提案して、お父さんとカズサさんの間で決まったのだと、聞いています。"
「後で、半殺しになるのだけは勘弁願いたいな…おっと!」
そのまま、二人は夜の空に飛びだった。笑って、彼女は二人を見送る。
ロナルド達の大侵攻から和解し、吸血鬼、退治人、吸対が協力し合うチームΔの結成された。そして、それからこの様な風景は増えた。退治人と吸血鬼の交流、そして、お互いの軋轢も減少している。そして、それは退治人と吸対の自分達にも言える。
「隊長を中心に、私達がその架け橋になるんだ。」
「ヒナイチくん、迎えに来たよ。」
新横浜ハイボールの前で待っていたヒナイチは、ドラルクの声で飛び上がった。少し前から彼らは交際しているのだから、何度となくデートはしている。だから、今更感はあるのだが。
「た、隊長…き、今日はよろしくお願いし…ます。」
いつも会う制服と違い、青いタートルネックに黒いジャケットを羽織り、白いスラックスを履いた姿は、ヒナイチには眩しかった。
「アハハ、緊張してるね。いつものデートよりは遠出をするという程度なんだから、肩の力を抜いてくれ給えよ。」
「う、うん…そうだな。」
どちらもワーカホリック気味なので、いつ呼び出しがかかってもよい様に、おうちデートの傾向にあるのがそれに拍車をかけてるのだろう。
それは彼の方にも言えて、今回春らしい黄色のワンピースにピンクのショールを掛けたヒナイチの姿は、ドキリとする様な魅力があった。しかも、髪をアップしているので色白な首筋が露になっている。
これから渡すものが、よく似合うだろうな。でも、それより前に…
「ヒナイチくん、これを。」
「あ、ああ。綺麗だな。」
差し出された花束を受けとる。覗き込むと、鮮やかな桃の花と菜の花が見えた。
「誕生日おめでとう、ヒナイチくん。今日はひな祭りでもあったからね、君にピッタリの花束が手に入り安くて助かったよ。」
「ありがとう。私にピッタリ…って?」
桃の花の香りを嗅ぎながら、上目遣いでドラルクを見る。「言わせないでくれ給え」と向こうも頬を染めつつ、彼女の耳に口を寄せる。
「桃の花言葉は貴女の虜、気立ての良さ、チャーミング、天下無敵だそうだ。ね?君にピッタリだろう?」
「…っ!?で、出かける前に生けて来る。ま、待っててくれ。」
赤面して花束を抱いて家に戻ってしまったヒナイチを、ドラルクは苦笑して見送った。
「おや、困ったね。まだ、渡したいものがあったのに…見られてちゃあ渡しづらいじゃないか。」
「ねぇ…マスター。」とドラルクは振り返る。視線の先から、呆れた顔のカズサが姿を現した。
「んー、我が妹ながら健気でなぁ…兄貴としては心配するのは当然だろう。隊長さん。」
「どうだか、このエセ昼行灯。面白がってるだけだろうが。」
ヒナイチに渡そうとした小箱を懐に戻しながら、ドラルクは悪態をつく。
「冗談は置いといて。さすがに初めて会った時は子供だったから、隊長さんはそうでなかったと思うが…あいつは、あんたしか見てなくってな。」
「…。」
「いつか会った時の為に、あんたの役に立ちたいって本気で鍛練してた。早く大人になりたいって、よく言ってたな。」
「大人になりたい…ね。」
ドラルクとて身に染みて知っている。
ただひたすら、市民の役に立ちたいと自分が吸対に入ってすぐの頃。下等吸血鬼から助けた小さな子供…幼かったヒナイチを胸に抱いて、目の前の男に渡した時の誇らしかった事。
しかし、飛び級で隊を任されて、仕事に意欲的だったのは束の間で。いつしか激務に疲れて怠惰になっていき、その頃の気持ちも忘れかけていた。大人になるとは、そういうものだ。
しかし、その矢先に再会したのが彼女だった。
『た、隊長さん、コーヒーをどうぞ。』
新横浜に赴任した時、吸血鬼退治人ギルドに視察に訪れたドラルクの前に現れたヒナイチは、高校生になっていた。
「…再会した時は嬉しかったね。あの時助けた子供がこんなに大きくなって、と…吸対に入って良かったと思ったものだよ。」
しみじみと胸の内を吐き出した。何の為に吸対に入ったのか、忘れかけていた数年前を思い出す。若くして中間管理職に就いて、自堕落になりかけていた自分を支えてくれていたのは、彼女の眼差しだったと言っていい。この翡翠の瞳を裏切りたくなかったのだ。
「いつしか、ひたむきな彼女に惹かれていって…一緒のチームで仕事が出来る様になって…そして、今や恋人となってくれた。とんだ果報者だよ、私は。」
「毎回会うたびに、クッキー持ってコナかけしてた奴がよく言うな。」
「そういう身も蓋もない事を言うのは、やめてくれないかね。」
あんなに綺麗な子が、一回りも年上のおじさんにずっと想いを寄せてくれるなんて。そりゃあ、心配にもなるだろう。もっと言うなら今もだが…若い子と話をしている所に出くわすと、モヤっとする程だ。
喉まで出かかった言葉を飲み込む。喰えないカズサを恨めしげに睨むが、相手はニヤニヤしているだけだ。
「あいつは、やっと成人になった。俺達もそうだったが、現実を知っていくのはこれからさ。退治人ってのも汚れ仕事だ。」
「あの子は大丈夫だ。現実を見ても、そのまま突き進んでくれるだろう。私みたいに、やさぐれた大人にはならんよ…させる訳がないだろう?お義兄様?」
不敵に笑って返すと、向こうもニヤリと笑ってくる。
「お義兄様な…お手並み拝見としよう。あと、毎回俺にもおやつを進呈するように。」
「やらんわ。」
さて…と言いながら、カズサは踵を返す。
「そろそろヒナイチが戻ってくるだろう。『隊長を苛めるな』と怒られるから、俺は席を外す。ま、あいつの誕生日だからな、よろしく頼むわ。」
「言われなくても…。」
「隊長!お待たせ…どうしたんだ?」
背後から、ヒナイチが走って戻ってきた。カズサがいた事は、気づいてないらしい。
「何でもないよ。それより、渡したいものがまだあるのだよ。後ろを向いてくれるかね?」
アンテナを?にしながら、後ろを向く彼女の首に、ネックレスを付ける。
「君は3月生まれだからね、アクアマリンか珊瑚かどちらにしようと思ったけれども…よかった。君の白い肌に、赤がよく映える。」
「こ、こんなに…ありがとう。」
少し値段は張ったが、甲斐はあった。私の大事な人を守っておくれ。
心に念じながら、首もとで揺れる珊瑚を撫でる。仕事柄、彼女も危険とは隣り合わせとなる。血赤珊瑚は、女性の厄払い、魔除けとして有名なアイテムだ。
「さあ、車に乗って。出発しよう。」
「ウフフ、隊長の運転か…。」
ヒナイチがクスクス笑う。先日、検問を振り切って逃げた犯人を、パトカーで追った時の事を思い出す。
「助手席から逃走車のタイヤを撃ったのだが、左右にぶれて怖かったな。」
「酷いなぁ、あれはカーチェイスだったからだよ。今回は、安全運転さ。」
助手席にヒナイチを座らせるとと、ドラルクも運転席に乗り込んだ。
「どこに行くんだ?」
「ひな祭りだからね。吊るし雛の展示イベントが古民家でやっている。それを見てから、併設されている公園で桃の花を見ようと思って。」
「いいな、行こう!…あと、いい匂いがするな。」
やはりそこは花より団子かね…と、ドラルクはお重を差し出した。クッキーではなく、蒸した饅頭らしかった。容器もまだ暖かい。
「花でも見ながらと思ったのだけれど。多めに作ってきたから、少し食べるかね?」
「食べる!わぁ、可愛いな!」
蓋を開けると、桃饅頭が入っていた。いつもながら凝り性なので、見た目も味も一流店並みである。
「おいしい、おいしい!」
「おやおや、着くまでになくなってしまうよ?」
頬を膨らませて食べるヒナイチだが、途中で思い出した様に持っていた饅頭を半分に割った。
「隊長、はい。」
「ん?」
「あ~んして…うわっ!?ど、どうしたんだ?」
急ハンドルで、車が一瞬蛇行した。ヒナイチが、彼を覗き込む。
「い、いや。驚いただけだとも。大丈夫、大丈夫。」
「そ、そうか?危ないな。」
改めて、口の中に入れて貰った桃饅頭を咀嚼した。我ながら甘さも控えめで上手くいった、と満足する。しかし、少し無邪気なヒナイチが心配になったので、ドラルクは苦言を呈しておく気になった。
「ところで、ヒナイチくん。」
「なんだ?やっぱり、どこか悪いのか?」
首を傾げながら、アンテナがハートマークから?マークになる。軽くため息をつきながら、言葉を続けた。
「さっきのだけどね。まあ、饅頭は大丈夫かな…桃の時は、私以外にそれをやらないでくれ給えよ。」
「隊長以外にやらないぞ?」
半分は吸血鬼の血を引いているせいなのか、若い彼女を持つ男のサガなのか、彼もなかなかヤキモチ妬きなのである。
「女性が桃を男性にあげるのはね、『あなたの子供が欲しい』の意味があるんだよ。中国の風習だけどね。だから、バレンタインなんかにもするんだよ。」
聞いたヒナイチが赤面する。そのまま俯いてしまった…さっき、ドラルクが動揺した原因を悟ったらしい。
「そ、そうだったのか。知らなかったな。」
「そう、だから…」
「じ、じゃあ、今度のホワイトデーに桃を隊長に…。」
「ん゛っ!」
恋人の漏らした言葉に思わず、噎せそうになる。ヒナイチも慌てて訂正しようと、焦りだした。
「すまん!隊長となら欲しいぐらい本気という意味で…すぐという意味では…っ!ちょ、ちょっと!隊長!?」
次から次に飛び出てくる爆弾発言に、ドラルクが本格的に噎せ出した。このままの運転は危険そうである。
「ゲホッ!ゲホッ!もう…!ひ、ヒナイチくん…き、君って子は…。」
「す、すまん。驚かせて…お、お茶を。はい、どうぞ。」
車を路肩に寄せて、渡してくれたお茶を口にする。背中を撫でてくれるヒナイチの温かい手を感じながら、ドラルクは彼女の首に揺れる珊瑚を見つめた。
桃の花言葉は、貴女の虜…君は私しか見ていないと言うが、私こそ君に捕らわれてしまったのだろう。
こんなに気立てがよくて、可愛らしくて、何より珊瑚の庇護がなくても大丈夫なぐらい無敵の退治人なのだから。
「う~ん、たいちょ…う。」
「はい、はい。」
背負ったヒナイチくんを揺すりあげる。仄かに赤くなった頬、トロンとした潤んだ瞳、白酒の甘い匂いが吐息に混ざって、私の鼻腔をくすぐった。
私達は、まず古民家で吊るし雛を観賞した。時代を感じさせる7段飾りの雛人形。そして、部屋いっぱいに吊るされた、様々な吊るし雛は圧巻だった。

そして、併設された公園で桃饅頭を食べながら花見をし、バードウォッチングも堪能できた。ヒナイチくんは鳥派なので、尚更嬉しかった様だ。
夕食は、上品な料亭で雛祭りのコース料理を楽しんだ。ちらし寿司に、蛤のお吸い物、鯛のお造りに、菜の花のおひたし、菱餅、雛あられ…見た目によらずヒナイチくんの健啖家ぶりは、シンヨコでも有名だ。次から次へとお腹に収まっていく様子を堪能出来て、私は満足だ。
私?私は胃腸が強くないから、そんなに食べられないんだよ。それに車で来ているから、アルコールを含まない甘酒を飲むしかないからね。
ヒナイチくんにとっては、今日は雛祭りだが20歳の誕生日でもあるのだ。だから、少し白酒を頼んで勧めたのだが…
「うん!甘くて美味しいな!」
「そうかね、よかったよ。」
「うん!おいひ…い。もう一杯、いい…か?」
「君は立派な成人だからね、体に負担がない程度なら…あれ?ヒナイチくん?」
これがいけなかったのだ。
「すまないね。バーの娘さんだからお酒が強い様な錯覚をしていたのだよ。」
「…らいじょうぶ。たてる、よお…。」
「これ、じっとしてなさい。」
ヒナイチくんが降りようとして、足をバタバタさせる。頭の座らない彼女は、私の肩に顔を埋めた。耳元で嬉しそうにクスクスと笑う声が、なんとも愛らしい。
「どうしたのかね?」
「たいひょうの、におい…だぁ。いいにおい、あのときと、いっしょ…ぉ。」
「そうかね。フフフ。」

あの時とは、彼女と初めて会った10年前の話。下等吸血鬼から助けた幼い彼女を抱いて、歩いた帰り道。
白い上着にくるまれた小さな退治人さん。すやすやと眠っていたよね?今はこんなに綺麗になって、私の側にいてくれる。
「たい、ちょ…う。」
「なあに?」
「だいすき…だよぉ。」
「うん、私もだよ。」
車を開けて助手席に座らせる。フニャッとしまりない笑みを浮かべる彼女が愛おしかった。
「さあ、帰ろうか。シートベルトを着けるよ?」
「そんらぁ…。もぅ、おわり…らのぉ…。」
力の入らない腕がこちらに伸びる。私はその手を取ると、そっと銃タコの出来た小さな手に口づけを落とした。
それにしても、私の理性がどこまでもつかな。
「たいちょう…あのね…ぇ。」
「なあに?」
「ちぃむ、でるたが…おちつ…ぃてぇ…」
「うん。」
「わらひの、しご…ともおちつい、て…たいちょうも、そんらに、いそがひく…なくなっ…たらぁ。」
「うん、うん。」
急にぐいっと引き寄せられた。と、思うとチュッというリップ音と共に、唇に柔らかい感触とアルコールの匂いがした。
「ももを…たいちょうに、あげるぅ。だから、たべて、くれる…よね…ぇ?」
呂律の回らない甘えた声に、紳士のプライドにヒビが入りそうになる。駐車場に誰もいないのを確認すると、私からもヒナイチくんに口づけをした。舌で歯列をなぞると、おずおずと彼女も舌を差し出してくる。そのままお互いを貪りあった。
「っ…う…っ…!ぁあ…ふにゅ…ぅ。」
夢現にいるだろう彼女と、まだまだずっと抱き合っていたいけど、このまま一晩一緒にいたいけどそうはいかない。こういうのは、予定を決めて大切な記念日にしなければ…やはり日を改めよう。
「うぅ…ん。すぅ…すぅ…。」
「眠っちゃったね。勿論だとも。その時は、桃だけじゃなくって…これ以上はジェントル違反かな。でも、お腹いっぱい食べさせて貰うよ?私の可愛い退治人さん。」
それにしても、大胆なプロポーズだ。
待っているよ。君が、私に桃を食べさせてくれる時を…その時、私も渡そう。
こっそり君のサイズに合わせた、竜鱗を象った紫の指輪を…その可憐な薬指にはめさせておくれ。
