TRUMPシリーズ『LILIUMー新約少女純潔歌劇ー』感想と考察です。
⚠︎本作、『LILIUM』(初演)、『二輪咲き』ならびにパンフレットに関する重大なネタバレ・深読みを含みます。
@0723_hrk
*観劇録*『LILIUMー新約少女純潔歌劇ー』感想と考察。
⚠︎本作、『LILIUM』(初演)、『二輪咲き』ならびにパンフレットに関する重大なネタバレ・深読みを含みます。
実に9年ぶりの再演となる『LILLUM』。
初演の『LILIUM』は映像でしか観ておらず、再演があれば足を運びたいと願い続けたのがようやく届き、"新約"と冠するあらたな『LILIUM』を観劇してきた。
圧巻だった…『LILIUM』を再演するなら演劇女子部でと淡い期待を抱いていた身でも、新しい『LILIUM』に完全に魅了されてしまった。あいにくそのあと予定があったので泣く泣く我慢したけれど、夜公演の当日券チャレンジをしてもう一公演観たい!と思ったくらいには今回の『LILIUM』、好きです。
より"歌劇"という言葉に説得力が出たというか、とにかく力強い。お芝居はもちろん、歌もダンスも女性特有のしなやかな強さがあって。一番最初のforget me notからぐっと雨降るクランに迷い込んだ。初演にはなかったコーラスのハモり、とても綺麗で…この作品の大きなモチーフである"雨"と"花"、どちらも織り混ぜられたコーラスだなぁと思ったのは私だけだろうか。
なにはともあれすごかった。
だいたいの内容は初演と同じ。
大きく違うのは、新曲が追加されたこと、そして初演から再演に至るまで9年の時を経たことでTRUMPシリーズ自体の解像度が上がっていることだった。
新曲、どれもこれも難しすぎる曲なのがすごくわかる。私は元々歌う人であることもあって音取りは早い方で、ミュージカルを観ると初めて聞いた曲でも一曲はおおまかに覚えていて口ずさめるのだが、今回の追加曲はどの曲も無理だった。そういえば直前の「はじめての繭期」にて、『マリーゴールド』の某楽曲を作曲家の和田さんが"変態曲"と表していた(自分で書いたのに)けれど、今回の追加曲は全部"変態曲"だった。
そして、新曲に抜擢された人々……全部観たいまだからこそ言える、これは絶対に末満さんが"歌わせたかった"人選だと。初演『LILIUM』でも、当時モーニング娘。'14に所属していた鈴木香音ちゃん(ローズ役)の歌声に惚れ込んだ末満さんが「秘密の花が綻ぶ」を作曲させた話があったので、今回もそんな気がした。そもそもあの難曲を歌いこなせるなんてとんでもない技量の持ち主なわけで、作品全体の満足度が格段に上がるのも頷ける。個人的にはファルスやキャメリアの曲が増えたのが嬉しかったし、代表曲のインパクトが強すぎる姫姉様ことマーガレットに新曲があったのもよかった。ただ完全に初演慣れしているせいでここのセリフ歌にする必要あったか…?と思ったところもあったけれど、ミュージカル、という意味ではよりミュージカルらしくなっていたのではなかろうか。
そして9年の時が生んだシリーズへの解像度は凄まじかった。『LILIUM』って上演順でいえばシリーズ2作目でまだまだ作品を観る上での情報が少なかった頃に初演だったから、あれから色々と明らかになって作られた新約はとんでもなかった。それは観る側ももちろんだけど、何より役者のみなさまの解像度がすごかった。フルキャストオーディションだったのもあるだろうけど、どの方もTRUMPのファンなんだろうなと思える役作りの深さ。
特に斎藤瑠希さん演じるマリーゴールドは初演時点といまとで情報量が格段に違ったにもかかわらず、そのあたりをすべて反映させてお芝居してくださって…。私は初演や『マリーゴールド』で彼女を演じた田村芽実ちゃんのファンなのだけど、斎藤瑠希さんが演じてくれたことでよりマリーゴールドを好きになった。
めいめいのマリーゴールドはただ鬱々として悲壮な雰囲気の女の子だったけれど、瑠希さんのマリーゴールドはめちゃくちゃ口が悪くて強気でいい意味で狂気的で…まさに『マリーゴールド』で描かれた彼女を踏襲してのマリーゴールドだった。「クソバエが」ってなかなか言わないよ…この子の口の悪さは誰似なんだろうねほんとに。だけど彼女の根底にある愛を求める気持ちっていうのはより強くなっていて、「リリーを守らなくちゃ」っていうのはおそらく彼女が忘れさせられている母親の愛の残滓なのかなと思ったりした。
その上でのスノウを刺し殺してからファルスに吐き捨てる「ざまぁみろ!」ね。ざまぁみろ、ざまぁみろか。それスノウじゃなくてファルスに言うのね、と思ったんだけど、スノウのイニシアチブで思い出したのが彼女の記憶のすべてだとしたら納得がいく。スノウの思い描いた動機ではなくて、母と自分に起きた不幸への復讐のためにスノウを刺したからこそ「ざまぁみろ!」という言葉が出たのかもしれないなと思った。命に変えても構わないくらい大切な人を目の前で奪われる絶望を思い知れ。瑠希さん演じるマリーゴールドの中にはそんな気持ちがあったのかもしれない。だから体が炎に包まれても涙を流すのではなく狂気めいた笑顔を残して灰になっていくマリーゴールド…彼女がファルスに与えたものは彼の長い永い生を考えると一瞬の苦味なのだろう。それでも彼女が母親からもらった"希望"という名前を母親とともに葬って"絶望"を名乗った日から、彼女こそがファルスに絶望を与えうる者なのだと示唆されていたのかもしれない。
「もう泣かないと決めた」の時の照明、彼女が窓際から見ていた嫌いな花の色合いでぞっとしてしまった。
解像度、という意味では竜胆と紫蘭もかなり上がっていると思う。演じている役者さんは違えどかなりの頻度でシリーズに登場するりんしら、初演時は双子だって明かされていなかったので『グランギニョル』パンフレットの書き下ろし短編にて彼女たちの過去が描かれた時は驚いた記憶がある。双子で、しかもここに来るまでの経緯を一部明かされるだけで見え方がとても変わるりんしら…
導火線短めの紫蘭の方が役の解像度が上がったことでセリフや行動にすごく説得力が出た気がしていて、彼女が守りたい永遠の繭期のなんたるかがひしひしと伝わってくるのがしんどいポイントだった。死が怖いのではなく、大好きな竜胆との別れが怖い。あれだけ強気に鞭だのマスケット銃だの振り回している上に、演じていた白鳥光夏さんのドスの効いた声もあって初演よりも力強いイメージだったけれど、ふとした瞬間、たとえば「このクランでは何が起こっておる」の場面などで見える可憐さが紫蘭の虚勢を物語っているようで役としてすごく深みがあった。からの葬送終曲、痺れました。守護者なんだよなぁどう足掻いても。
そしてここまで穏やかに平静を保ってきた竜胆が曲中紫蘭を追って駆け回る描写、初演でも大好きだったところなんだけど、河本彩伽さんの竜胆は常に一定のトーン一定の微笑みを貫いてきたからこそ、「お館様がなんとかしてくださるわ」と自分自身に言い聞かせるかのように紫蘭の説得を試み、髪を振り乱してクラン中を駆け回る姿に彼女がどれだけ必死かが伝わってきて、それだけで"ただ事ではない"と思わされた。そもそも竜胆がずっと穏やかだったのは紫蘭の手綱を握って彼女を守るためだったのだから、結局二人は似たもの同士だったのだと感じる。
穏やかで慎ましやかな竜胆と、皮膚の一枚下に煮えたぎる激情を宿した紫蘭、まったく似ていない双子はお互いに依存するほどお互いが大切であるという点においてよく似ていた。
役者さんが変わっている分、役のギャップを楽しめるのが再演の醍醐味だと思う。
内田未来さんのリリー、未来さんご本人がクールなお顔立ちなのでクール路線かと思いきやとてもかわいらしくて。リリーは良くも悪くも"普通"のまっさらな存在として描かれ、だからこそその行く末が際立つ役だと思っているのだけど、未来さんのリリーはそこに加えて圧倒的に"善"だったと思う。ともすれば能天気のようにも映る未来さんリリーのほわほわとした地に足のつかない感じ(褒めてる)、そこからのクライマックスのお芝居がギャップもいいところだった。前半でかわいらしくておっとりした印象をつけてからのラストのファルスとのやり取り、そして慟哭。
浜ちゃん、いやもう浜浦彩乃さんと呼ぶべきか。スノウに抜擢されたと知ってとても嬉しくて、観るのがずっと楽しみだった。初演のスノウのリリーを冷たく突き放し続けるお芝居も良かったけれど、浜浦さんのスノウは突き放しつつもリリーを想う気持ちと自分の寂しさ苦しさが混ざり合ってる感じが隠しきれていないつらさがあった。最期のアカペラ歌唱さぁ…ずるいでしょあんなの…"800年前は親友だった"という事実をたった一人で抱えながら生きてきた彼女が最後に願うのが「私がいたことを覚えててね」なのつらい。あとここまで"穢れなき心"という花言葉を前面に押し出されてきたスノウ、実は人に渡すと花言葉が変わるんだよね。"あなたの死を望む"というその花言葉がパンフレットにしれっと記載されていて、頭を殴られたようなショックを受けた。自らをマリーゴールドに殺させたけれど、死してなおきっとスノウはリリーを見守っているんだなって…死という眠りが、親友に訪れることをずっと願っているんだ…。呪いともとれるこの花言葉が、こんなにも優しい祈りになるなんて知らなかった。浜浦さんのスノウの冷たくなりきれないところがこの優しい祈りにとても似合うと思う。
大森未来衣さんのファルス、ほっぺたもちもちでとてもかわいかった。『LILIUM』におけるファルスはセリフの節々に不穏な空気を感じた上で伏線回収的に正体が明かされてぞっとする役どころだけれど、大森さんのファルスはなんだか、怖さよりもただひたすらの寂しさを感じるファルスだった。話し方のあどけなさやかわいらしさからはセリフそのものが持つ狂気的な意味合いはあまり感じず、こんなに愛らしい子が永遠の時を生きながらえているのか…というそこもまた新たな絶望ポイントだった。けれどやっぱりファルスはファルス。クランの真実が明かされる場面、彼の無邪気さが一層狂気的に感じられて、怖いのに目が離せなかった。新曲、歌詞と状況と大森さんの表現力が絶妙にマッチしていて圧巻でした。今回の『LILIUM』で一番好きな場面だった。
そして今回格段に出番が増えたキャメリア、齋藤千夏さんといえば『SPECTER』再演のハリエット役の印象が強いけれど、ちょっと軽薄にして一途な少年役、とても似合っていた。前半と後半でお芝居ががらりと変わるのがキャメリア役の難しさだと思っていて、なおかつ前半部分に新曲があったことでより難しく、そしてキャラクターが際立つ描かれ方になったと思う。「ヴァンプ狩りには気をつけて」の「そんなのヴァンプじゃなくても死ぬっつーの!」が絶妙に軽くて大好き。そんな軽薄さがありつつも、心の中では愛したたった一人の記憶が眠っている…シルベチカの真実を聞いた彼は一体どう思ったのだろう。実際は彼女の真実についてなにかを感じるよりも早く記憶を操作されてしまったんじゃないかと思うけれど、根が一途な彼はきっと、その真実ごと彼女を愛したんだろうな。
キャメリア同様、チェリーも難曲を任された一人だ。もともと「ひとりぼっちのスノウ」というソロ部分が多い曲があるチェリー、さらに歌唱場面が増えるというだけあって加藤弘美さんの歌にものすごく安定感があった。けれどその安定感の中に、チェリーの何事にもオーバーな感じがしっかりあってよかったと思う。初演では演じていた石田亜佑美ちゃんの"だーいし感"がなんとも愛おしい役だったチェリーだが、弘美さんのチェリーも言わば"弘美さん感"のようなものがじわじわ出ていて、初演とは似て非なる愛おしさがあったと思う。オーバーゆえに言葉がきついこともあるけれど、本心から様子がおかしいリリーやキャメリアを心配しているのがよくわかるお芝居だった。チェリーがキャメリアに「薬のむ!?」って心配する場面すごく好きです。
アイザワアイさん演じるローズ、こういう役づけで来たか…!と思った。ローズはそれこそ初演の鈴木香音ちゃんの当て書きのような面が目立つからこそ、今回どう描かれるか気になっていた。男勝りなボーイッシュさ、マーガレットにプリンス扱いされるほどのイケメン女子加減、なるほど繭期か。なのにスカートが長めだったりビビりなところもあったりと女の子らしい一面があるところがローズのギャップとしてはそのまま残っていたのが良かったし、かと思えばファルスの真実を目の前にした時に他の子たちを庇うような位置に立っていたのがもう…。カトレアやナスターシャムの繭期にも付き合ってくれるし思いやりのある勇敢な子だった。繭期で必要以上にボーイッシュになっているのかもしれないけれど、彼女の思いやりや勇敢さは彼女が元々持っていたものだったんだろうな。それはそうとなんか既視感あるなと思ったら某少年探偵漫画の女子高生探偵ですね。
カトレアとナスターシャムについても、初演キャストの当て書きっぽさがあったからどうなるかなーと思っていたが。初演イメージを崩さずに今回の役者さんのイメージも盛り込んだ新たな二人を観ることができた。
カトレア役の真弓さん、超かわいかった…ファルスに負けず劣らずのまんまるほっぺから繰り出されるにっこー!とした笑顔は、カトレアの天真爛漫さがよく表れていてぴったりだった。そんなにこにこ笑顔が秘密の花が綻んでからはどこか呆然とファルスを見つめているのが、好奇心旺盛ながら現実に太刀打ちできない彼女の無邪気さを感じてとても良かったと思う。死んでも続きがあることを望んでおばけを探した彼女は、不老不死になりたいわけではないんだろうな。
初演とはまたタイプの違う不思議ちゃんとして描かれたナスターシャムは、岡本美歌さんのほわほわぽやぽやとした雰囲気がすごく繭期っぽかった。立ったまま寝てしまう描写も何度かあったし、夢遊に近い繭期の症状なのかもしれない。声がとんでもなくかわいくて、ローズやカトレアといるとどこか三姉妹の末っ子のように見えた。どこでも寝てしまうのが繭期の症状だとはいえ、二人の友達に囲まれている安心感もあっただろう。
そして今回、個人的なMVPが姫姉様ことプリンセスマーガレットこと川崎愛香里さん。ビジュアルが公開された時から溢れ出る姫姉様感に期待大だったのだけど、その期待をいい意味で裏切られた。とにかく舞台上のどこにいても華があって、その姿はまさにプリンセス。自然と目で追ってしまうことが多かったぶん、各場面での表情やダンスをしっかりと見ることになり、それで余計に愛香里さんワールドに惹き込まれてしまった。あのかわいらしくふわふわした雰囲気からあんなにキレのいいダンスが飛び出すギャップも然り、にこにことした素敵な笑顔が一転「おかしいわね、返事が一つも聞こえない」等のセリフで一気にいらだちの表情に変わるのが本当に魅力的だった。新曲「殺戮の宴」は「プリンセスマーガレット」のかわいい感じとは180度違った歌唱をみせていただいた。歌が上手すぎる…。剣を振り翳したスノウに対して一瞬正気に戻って「ちがうの、」と弁明しようとした時の表情、そしてイニシアチブで正気がかき消されてしまったときのどこか妖艶にも見える笑みのぞっとするような美しさに度肝を抜かれてしまった。
初演では三人だった親衛隊も四人に増え、ますますパワーアップした姫姉様。ジャスミン、ミモザ、モンステラ、クレマチスの4人が時折「あっちです!!」と捌ける方向を支持してくれるのが可愛かった。せっかく四人に増えたので、もっとしっかり観たかった。いろんなところで動き回っているのはちゃんと見えていたので、各々のお芝居にもう少し見せ場となる場面があってもよかったのかも。
そして物語の鍵となるシルベチカ…大阪公演では二輪咲きも上演されるということで「シルベチカだけどシルベチカじゃない」のセリフに!?!?!?となった繭期の子らは私だけではないはず。
新約LILIUMでは初演LILIUMから長らく謎のままであったシルベチカの真実が語られて、胸を締め付けられるような思いになった。シルベチカとリコリス、まさか繭期による二重人格だったとは。どうしてシルベチカは薬を飲むことを拒否したのか、どうしてファルスは「いざとなればイニシアチブで無理やり飲ませることもできる」の脅しながらそうしなかったのか、『二輪咲き』で描かれるシルベチカとリコリスの不可解な関係はどういうことだったのか、なにもかもが繋がって鳥肌が止まらなかった。そしてこの件でわかったのはイニシアチブというのは噛まれた肉体ではなくて噛まれた人格に作用するということだ。つまりリコリスの記憶はイニシアチブには操作されていなかったということになるから、記憶操作されているシルベチカとの間に記憶の齟齬が生まれていたのかもしれない。
リコリスは一体いつからこのクランの秘密に気づいて苦しんでいたんだろうか。ファルスに二重人格が気づかれていなかったことを考えると、リコリスはきっと上手に存在を秘めてきたのだと思う。そんな中でキャメリアを好きになるけれど、シルベチカの裏の人格である自覚がキャメリアに自分の想いを伝えることを許さなかった…。切ない、切なすぎる。塔から身投げするシーン、元々すごく好きな場面だけど、新約で新たにセリフが追加されたりしてもっと好きな場面になった。あの時表に出ているのはリコリスであってシルベチカではなかった。そう考えると薬を飲まず塔から身を投げたのはシルベチカの意思ではなかったかもしれない、という事実もまた残酷劇だなぁと思うなどしたけれど、ここではじめてリコリスはキャメリアに自分の気持ちを伝えることができる。
「シルベチカの花言葉は"私を忘れないで"、リコリスの花言葉は"想うはあなた一人"」
愛していたのは自分だけれど、きっとシルベチカもあなたが好きだったわ、と伝える言葉はあまりにも痛切な報われなさすぎる独白で、それでもなおキャメリアや主人格であるシルベチカを大切に思う優しい言葉だった。北御門亜美さん、すごかった。儚い雰囲気を醸し出しながらも凛と咲き続ける、本当に花のような存在として舞台上で一際存在感があった。歌唱シーンも雨降るクランを包み込むような優しさと悲しさを含んでいて魅力的だったし、なによりキャメリアとの「あなたを愛した記憶」がとても良くて…。初演ではキャメリアがようやく思い出した愛する人の記憶を抱きしめるようにシルベチカを抱きしめていたけれど、新約では逆。シルベチカがキャメリアを抱きしめているのが、たとえ命は無くなってキャメリアが自分を忘れても、彼女、いや彼女たちの思念がキャメリアを包み込んでいるんだと感じて号泣してしまった。花の咲き乱れたクランに降る優しい雨は、シルベチカとリコリスだったのかもしれない。
時を経ての『LILIUM』再演、15年というTRUMPシリーズの積み重ねが結晶となって花開いた感じでとても良かった。
女性だけのお芝居を観る機会ってあまりないのだけど、お芝居も歌もダンスもパワフルなのに、そのパワフルさが純白のワンピースの少女たちから繰り出されているという事実にものすごく高揚する自分がいた。あまり性別でとやかく言うのは好きではなくて主義に反するんだけど、誤解を恐れずに言うなら同じ女性であることが誇らしいというか…女性の強さとしなやかさがあるからこそ、『LILIUM』という作品は気高く、美しいんだろうなと思った。
さながら"絶望の地に咲く一輪の花"のように。
〈『LILIUMー新約少女純潔歌劇ー』 公演情報〉
※敬称略
公演期間:2023年4月15日〜4月23日(東京)、2023年4月28日〜5月3日(大阪)
会場:サンシャイン劇場(東京)、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪)
作・演出:末満健一
音楽:和田俊輔