5/4に開催されるサンパピプチオンリー「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」にて発行するサンパピSS集の本文サンプルです。pixivが開けない時はこちらを見て下さいね。
最終ページはTwitterにてアップした新刊発行予告になります。
@harumacadia
やきもち。
「むぅ……。このお餅っていうもの、すごく伸びるんだね」
「確かによく伸びるな。これは食べるのにも一苦労するな」
今日は新年最初の日。地上に出て初めてのお正月を迎えた二人は、とりあえずお正月にする事を一つずつやってみようという事でお雑煮を食べていた。
他の具材はそれなりに食べた事があるものの、餅に関してはサンズもパピルスも初めてだった。よく伸びるとは聞いていたが、こんなにも伸びるものだったとは。
「ねぇ、兄ちゃん。お餅が顔にくっついちゃっているよ」
「あー、うまく噛み切れなかったからなぁ……。んっ、こいつはなかなかうまく取れないな」
サンズが顔にくっついた餅と格闘しているとパピルスが手を伸ばしてきた。
「こら、餅! 早く離れろっ! ……兄ちゃんとくっついていいのは俺様だけなんだからねっ」
思わず顔が赤くなってしまう。くっついているのはただの餅なのに、そんな餅にさえも嫉妬する程に思われているのだと思うと、この目の前の恋人がかわいくて仕方ない。
「……よし、やっと取れた! これでもう大丈夫だからねっ! ……って兄ちゃん、何でいきなりギュッとしてくるの⁉」
「……お前があまりにもかわいい事を言うからだよ。あんな事を言われたらくっつきたくなるだろ?」
「もうっ、仕方ないなぁ……。甘えんボーンの兄ちゃんのために俺様がくっついていてあげる」
半ば呆れたように言いながらもサンズにくっついているパピルスの顔は嬉しそうな顔をしていたのだった。
ながれぼし
いつだって 本当に叶ってほしい願いは ただ一つ
地上に出て初めての夜を迎えた時の事は今でも覚えている。オレンジ色の空が次第に闇に包まれていったかと思うと、頭上にはいくつもの輝く星があった。一つ一つの光は確かに小さなものであったが、その輝きに心が震えた。やっと、本物の星空を見る事ができた喜びは何よりも大きなものだった。
それからオイラは毎日のように空を見上げた。時間の経過と共にその姿を変えていく空を眺めるのは楽しいし、どれだけ見ていても飽きないものだった。特に星を眺めている時は時間が経つのも忘れてしまう位だった。
「そういえばね、もうすぐ七夕なんだって」
ある日の夜、パピルスがそう言ってオイラに細長い紙を渡して来た。何でも、七夕には短冊という紙に願い事を書いて笹に飾り、星に願いをかけるらしい。
Happiness
兄ちゃんと俺様が恋人になって、初めての冬が来た。地上の冬はスノーフルと似たような感じで、何だか懐かしくもある。
もうすぐクリスマスという事で、街の至る所でイルミネーションが華やかな光を放っていた。慌ただしく過ぎていく毎日の中で、この輝きを見ている時は心が踊る。
今日は夕方から兄ちゃんとデートをしていた。最近はお互いに忙しくてなかなか時間がとれなかったから、こうして過ごすのも久しぶりだ。
「そういえば、もうすぐクリスマスだな。今年は何をお願いするか決めたのか?」
兄ちゃんはこの時期になると必ず、サンタさんの話をしてくる。お願いするなら早目に言わないと間に合わないぞと言ってくるから、いつもサンタさんに手紙を書くようにしていた。
「ううん、まだ決めてないよ」
欲しいものがないわけじゃない。だけど、それをくれるのはサンタさんじゃないから。
「……あのね。今年はサンタさんからじゃなくて、兄ちゃんからのプレゼントが欲しいな。恋人になって初めてのクリスマスだから……ダメ?」
俺様の言葉に兄ちゃんは一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに笑ってこう言った。
「……ダメじゃないさ。お前が望むものなら何でもあげるよ。それで、クリスマスに何が欲しいんだ?」
「えっとね、二人でデートして、美味しいものがいっぱい食べたいな」
そんなのでいいのか? 他に欲しいものがあるなら言ってくれって兄ちゃんは言うけど……俺様にしてみれば、兄ちゃんと一緒に過ごすこの時間が何よりの幸せだから、クリスマスも一緒にいられたらそれだけで十分だと思っているよ。
何でもないような事でさえ
あなたが側にいるだけで
全ては愛しいものになるから