Twitterに投稿した『長谷部の転パロ小話』をまとめたAタイプと同仕様の別話です。設定は本文冒頭に記載。
タイトル通り恋愛ゲーム風、書き手が遊んでいます(笑)
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@TEN_Writer_H
【転パロ長谷部☆恋愛ゲーム風】 Bタイプ2話
貴女のお名前→★★
※お名前変換は左上の青い名前変換ボタンから。
※Bタイプ1話→http://privatter.net/p/1971317
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【お兄様のご機嫌がナナメです】
お兄様
『…★★、答えてくれ。お前が今日会っていた男は、お前の何なんだ…』
顔に僅かな焦燥の表情を浮かべる、彼。
苦々しくその言葉を口にして、貴女を見つめる目を鋭く眇めていながら、瞳の奥には恐れのような切ない色を湛えています。
ーー…お前が今日会っていた男…ーー
確かに彼は、貴女が男性と会っていた事を知っているようです。
しかしどんなに思い返しても、貴女は彼への連絡で誰と会うかなど説明した覚えはありません。
何故…彼がそれを知っているのか…ーー
貴女はそれが、どうしても気になってしまいます。
一方、彼はじっと貴女の様子を窺うように見つめていました。
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《選択して下さい》
①『お兄ちゃん、ビーフシチューは?』と言って、にっこりと笑う。
②『…お兄ちゃん、何故それを知っているの…?』と言って、彼の傍に向かう。
↓
①『お兄ちゃん、ビーフシチューは?』と言って、にっこりと笑う。
②『…お兄ちゃん、何故それを知っているの…?』と言って、彼の傍に向かう。◀︎ピッ
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【『…お兄ちゃん、何故それを知っているの…?』と言って、彼の傍に向かう】
ーー…貴女は、彼がとても怒っているのだとは分かりつつも、それを心の何処かで『嬉しい』と感じてしまいます。
小さい頃から、貴女を大切に見守ってくれている優しい歳上の従兄弟。こんな良い大人になっても尚…いいえ、むしろ大学時代よりも社会人になってからの方が、より彼は貴女を案じているように思えてなりません。
それが証拠に、大学時代はこれでも合コンなどに参加した事もあった貴女。頭数合わせの渋々ではありましたが、それでもこんな風に知らせてもいない事にまで口を挟むような真似は、彼はしませんでした。
…その合コンの送迎は、彼でしたが。
この1、2年。
思えばこの頃特に、彼は貴女の周囲を気にするようになった気がします。
ですがそれは貴女も同じこと……心密かにずっと初恋が続いている貴女にとって、彼こそ結婚適齢期と言われる年齢になり、周囲からまだかまだかと勧められている事を知っています。
それでも何故か頑として独身を貫き、貴女を庇護する彼。……こんなに容姿端麗でありながら浮いた話のひとつも無く、貴女を手元に置き続ける彼を、貴女は自分が独占しているように錯覚してしまいます。
ーー…とはいえ、そんなことを僅かも口には出来ない貴女には、ただ傍で穏やかに暮らす事だけで充分でした。
…依然として、彼は貴女に鋭い目を向けています。段々と、その瞳に苦渋の影が揺らぐ頃、貴女はゆっくりと彼の傍に近付きました。
白いV首ニットの肩がぴくりと揺れて、貴女が手に触れた腕を彼は少し引いていきます。
『…お兄ちゃん、何故それを知っているの…?』と貴女は静かに問い掛けました。
それを不快に思ってはいないのだと伝えようとした貴女は、触れた彼のニットを軽く摘まみます。ツンツンと軽く引いた貴女の指先を見下ろし、彼は貴女の顔に視線を戻して息を飲みました。
ふわりと微かに笑みを浮かべて、彼を見上げる貴女に…彼は怒りよりも当惑の色を表情に上らせていきました。
……何かを口にし掛けて…閉じ、また口を開いて口籠る。それを何度か繰り返した後、彼は貴女から目を逸らしてようやく呟きました。
お兄様
『……帰宅する前に車で前を通り掛かって…★★が、いたから…』
随分と頼り無げな声で、彼はもそもそと声小さく呟いています。どう贔屓目に聞いてもそれは言い訳のように思え、また何かを誤魔化しているようにも感じます。
ーー…珍しい、お兄様が私に嘘を?
貴女はそう直感します。彼が言う通り、確かにあのカフェは貴女の会社の社員御用達のお店と言えるくらいには、皆が利用する近場にあります。大通りにも面しています。
ですが、車で帰宅する方角ではありません。
おまけに、社から向かうのだとしたら、車線が反対側の為1度引き返さないとカフェの前を通過出来ないのです。
恐らくは、彼が言う経緯で知った訳ではない…そう感じた貴女は、もう1度彼のニットの腕を引きました。
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《選択して下さい》
①彼が話してくれるのを、黙って待つ。
②『ビーフシチューまだ?』と催促する。
↓
①彼が話してくれるのを、黙って待つ。◀︎ピッ
②『ビーフシチューまだ?』と催促する。
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【彼が話してくれるのを、黙って待つ】
もしかしたら、彼がそれを知り得た方法が…何か話し難い方法だったのかも知れません。彼にとって話し難い手法を講じたにも拘らず、それでも貴女が男性と会っていた事を咎めずにはいられなかったのでしょうか…。
職場ではあんなに迷いなく判断を下し、物事に毅然と向き合う真面目な彼が、もそもそと口籠るなど滅多にない事。
余程の事情なのだろうと察した貴女は、彼が話せる様になるまで暫く待ってあげる事にしました。
ーー…ずっと、視線を逸らしたままの彼を見つめて、待つ事暫く……。
…彼は何かを観念したように、緩慢に貴女へと視線を向けました。その唇が、やっと何かを語ろうと最初の音を紡ぎ掛けた…丁度その時…。
ーー…ほぼ同時に、貴女の鞄からと、ダイニングテーブルの上に置かれていた彼の携帯端末が、鳴り始めました。
お兄様
『…なんだこんな時に……!』
彼は部署柄、突然の呼び出しや部下からの相談に対応する事が多く、着信を無視する事が出来ません。
致し方無さそうに端末を確認しに向かう彼に続き、貴女も自分の鞄へと向かいます。
貴女も企画を抱えている為、部署の仲間から何かと頻繁に連絡があります。鞄に入れていたスマホを取り出し画面を確認してみると、どうやら新着メールのようでした。
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差出人:●●さん
件名:こんばんは。
本文:
先程はありがとう。
ところで、明日の夜…予定はありますか?
何かと忙しい君の事だから、急な事だし断わってくれて構いません。
もし空いているなら、夕食を一緒にどうかと思って。
旨い酒が飲める店があるんだけど、どう?
連絡、待ってます。
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ーー…差出人は、夕方にカフェで会った男性でした。今夜の内に次の予定に誘う内容を見る限り、どうも本格的に気に入られてしまったようです。
貴女は正直、困惑してしまいます。
あの男性は若い女性社員に人気で、その割に軽薄な感じのない爽やかな人。素敵な方である事は確かなのですが、貴女が彼の気持ちに応える事はきっと無いでしょう。
ーー…こんな人が傍にいたら、他の人には目がいかないわ…。
複雑な心境でちらりとスマホから目を上げると…
貴女の正面…ダイニングテーブルの対面に立つ彼が、射殺す勢いで画面を睨んでいるところでした。
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《選択して下さい》
①『仕事で何かあったの…?』と訊ねてみる。
②『今日の夕食まだ?』と言ってみる。
↓
①『仕事で何かあったの…?』と訊ねてみる。◀︎ピッ
②『今日の夕食まだ?』と言ってみる。
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【『仕事で何かあったの…?』と訊ねてみる】
先程貴女に向けていたものとは、雰囲気も全く異なる鋭い眼。忌々し気に画面を見つめる彼の気配は、怒りと不快感で剣呑さを帯びていました。
どうしてそんな表情を…と気になった貴女はスマホを手にしたまま彼の傍にまた近付きます。
『仕事で何かあったの?』と訊ねてみると、彼は画面を睨んでいたままの眼を貴女に向けました。
お兄様
『…ハッ……魂胆が明白過ぎていっそ清々しい。何が「旨い酒が飲める店」だ…お前が酒を呑めない事すら知らない浅薄な男の誘いになど、決して乗るなよ…★★』
そう言って彼は、苛立たし気に自らのスマホを差し出しました。
恐る恐るそれを受け取り、そっと画面に目を落とすと…
ーー…そこには、貴女が受け取った例の男性からのメールの内容が『FW:』という記号付きで表示されています。それは転送を示す記号…つまりは、貴女に送られたメールの内容が彼に転送されているという事を示していました。
お兄様
『…今日、お前が仕事で使っている社内メールに最初に連絡があっただろう。そちらも俺の社内メールに転送するように設定している……』
彼の言葉に「…えっ」と小さく洩らした貴女。その声に彼は、決まり悪そうに身体を横向けました。深く溜め息を吐き、自嘲するように笑って言葉を口にします。
お兄様
『その携帯端末は名義人が俺だ…転送の設定など容易い…2台持ちはビジネスでは珍しくもないからな…それを利用してお前に届くメールの差出人を精査していた…』
貴女が「…精査」と呟くと、彼は『そうだ』と口にして続けました。
お兄様
『…最低だな。そんな事は百も承知だ…それでも……嫁入り前の★★を預かり、その…手元に置く為には……そうするしかなかった。
……明日出社したら…お前の社内メールの転送を解除して構わん…携帯端末もお前の端末からも解除可能だ……嫌ならそうしろ』
…彼はそう話し、また深々と溜め息を吐きました。貴女が言葉を継げずにいるのを気にしたのか、思い出したように付け加えます。
お兄様
『ああ、その…★★に届いたメールは…お前の友人や知人、職場の同僚などは個別に解除してある……気になる奴は…致し方なく転送するが、新たな差出人くらいだ…。今日は……本当に久々に転送されて来たんだ…
信じられんかも…知れないがな……』
言い澱む言葉が、語尾が沈むように床に落ちていきます。落ち込んでいるようにも見える彼の姿に、不思議と怒りは沸きませんでした。ともすれば、個人情報の観点では問題にすらなりそうな彼の行為…。
しかし、貴女を過剰なまでに案じた末の束縛なのだと解釈すれば、なんら不快ではありませんでした。
ーー…少々行き過ぎた過保護…。
貴女はそう思って、許してあげる事にしました。
どんよりと床を見つめて溜め息ばかり吐く彼に、貴女はそろりと近付きます。
広く意外と筋肉質な白いニットの背を見つめた貴女は、ふわりと笑ってその背に寄り添いました。
お兄様
『………!!?』
驚いた彼が、途端にアタフタと身動ぐ中、貴女は彼の広い背中に頰を寄せ、くすくすと笑いました。
ーー…お兄ちゃん、過保護過ぎね。
そう口にした貴女の声に、彼はピタリと動きを止めます。『hold up』の体勢で両手を半端に上げた状態の彼は、呼吸すら止めたように微動だにしません。
貴女がその背に、転送の解除はしない…例の男性からの誘いも受けないと話すのを、ただ黙って彼は聞いていました。
ーー…いつまでたっても固まったまま動かない彼が可笑しくて、貴女は彼から身を離すとこう言いました。
『…今日は夕食に、バニラとチョコとストロベリーのアイス…付けてくれる?』と。
その笑いを含んだ声音にやっと腕を下ろした彼は、決まり悪そうに頰を掻きながら緩慢に貴女を振り返りました。
…ほとほと困って…でも、心底安堵した表情で淡く微笑した彼は、何とも形容しがたい熱の籠もった瞳で貴女を見つめて…応えたのでした。
お兄様
『…★★が…それで許すと言うのなら…喜んで命に従うとも……』
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【お土産を彼に渡しました】
ーー…彼が用意したビーフシチューとこんがり焼いたフランスパン、ハーブ鳥のささみを使ったサラダにコンソメスープ…
いつもながら目に楽しい食事を2人で囲み、食後のデザートが出てくるころにはすっかりお互いの間のわだかまりは消えていました。
約束通りに器に盛られた三種のアイスをご機嫌で口にする貴女を、対面の彼は食後の珈琲を飲みながら優しく微笑んで見ています。
そう言えば…と思い出した貴女は、食べる手を止めて隣の椅子に置いた自分の鞄を探り始めます。
黙ったまま様子を見ていた彼に、貴女は取り出した箱をテーブルに乗せて差し出しました。
お兄様
『…なんだ?これは…』
珈琲のマグカップ片手に箱を眺める彼に、貴女は開けてみるように促します。
ニコニコとご機嫌な貴女に促され、彼はマグカップを一旦テーブルに置きました。
紙袋の中から平たい箱を取り出し、その上蓋を丁寧に開けて…ーー
彼は目を見開いて、硬直しました。
お兄様
『……ま、またひよこか……』
微かに呟いた彼の台詞に首を傾げる貴女。しかし彼は慌てて『いや…』と言葉を濁します。
揃いのカトラリーだから一緒に使いたいのだと貴女が話し、それに引き攣った表情で『そ、そうか…』と力なく答えた彼に、もう1つ…同時に購入した物を差し出します。
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《選択して下さい》
①コンビニで買ったガリガリ君の期間限定アイスを渡す。
②雑貨店で購入したひよこのキーホルダーを渡す。
↓
①コンビニで買ったガリガリ君の期間限定アイスを渡す。
②雑貨店で購入したひよこのキーホルダーを渡す。◀︎ピッ
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【雑貨店で購入したひよこのキーホルダーを渡す】
カトラリーと一緒に購入したひよこのキーホルダーは、貴女と彼の分とで2つあります。
ひとつをテーブルにそっと差し出して、既に鞄の内側に貴女がひよこを付けているのを翳して見せながら、貴女は彼に「お揃い♡」と言ってにっこりと笑いました。少し気恥かしくて、仄かに頰が熱を持つのを感じていると、追加されたひよこに絶句していた彼が、僅かばかり表情を変えました。
グッと何かに堪えるように眇められた眼。切な気に揺れるその瞳の奥には、時折光の加減で覗く紫色の影が滲んでいます。
貴女をそんな切なさの色濃い瞳で見つめた彼は、躊躇いがちにテーブルの上に置かれたひよこを手にしました。
ふわふわと柔らかな手のひらに収まるサイズのそれを、ゆっくりと優しく撫でて…彼は寂し気に呟いたのでした。
お兄様
『…また、肌身離さず持つとしようか…』
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【何やら物音に目が覚めました】
交代で入浴を済ませ、互いに自室へと下がったその日の深夜の事。
ーー…貴女は不意に、微かな物音にぼんやりと意識を浮上させます。
サイドテーブルの目覚まし時計を見ると、午前2時…まだ朝には程遠い深夜です。
耳に届いた物音は、どうやら廊下で聞こえた気がします。普段、同居している彼も就寝している筈の時間ですが、仕事でもしていたのかも知れません。
…貴女はもう1度寝直す為に、寝返りを打って仰向けに転がりました。意識が徐々に沈んでいく中で、貴女はまた物音を耳にします。
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《選択して下さい》
①気になるので速攻で起きて彼に苦情を言う。
②どうせ彼だからいいか…と安心して眠りにつく。
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①気になるので速攻で起きて彼に苦情を言う。
②どうせ彼だからいいか…と安心して眠りにつく。◀︎ピッ
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【どうせ彼だからいいか…と安心して眠りにつく】
気にはなりますが、持ち帰りの仕事でもしている彼がキッチンで珈琲でも淹れているのかも知れません。彼であればよくある事なので、貴女は気にせずに眠りにつきます。
…また、段々と意識が遠退き…
その意識がふっと途切れる間際で、
ーー…カチャッ…
…貴女の耳が、控えめに立てた金属音を捉えました。その音は至極慎重に、極力音を立てないように部屋のドアを開けた音のように思えます。
……ドア?
沈んだままの意識の遥か遠くの方で、貴女はそのドアからこちらへと向かう衣摺れの音を聴き取りました。
……えっ……お兄様…?
気配は貴女のベッドの傍らで立ち止まり、貴女をじっと見つめてでもいるのか、しっとりと絡みつくような視線を感じます。
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《選択して下さい》
①『何か用なの?』と起きて聞いてみる。
②何となく目を開けるのが躊躇われて、寝たふりのまま様子をみる。
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①『何か用なの?』と起きて聞いてみる。
②何となく目を開けるのが躊躇われて、寝たふりのまま様子をみる。◀︎ピッ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【何となく目を開けるのが躊躇われて、寝たふりのまま様子をみる】
どうしてこんな時間に自分の部屋を訪ねて来たのかは分かりませんが、居心地が悪くなるような熱の籠もった視線を受けて…貴女は目を開けるのを躊躇いました。
ーー…その時…
お兄様
『…★★……いつになったら…思い出してくれるんだ……』
…苦し気に、寂し気に…ポツリと溢れた彼の言葉…。まるで泣いているのではないかと心配になる程に、彼の声音はひどく切な気でした。
…思い…出す…?
彼の言葉の意味が分かり兼ねて、貴女は内心首を傾げます。瞼を閉じたまま貴女が訝しんでいると、突然……ギシッとベッドが軋んで貴女の身体が振動に揺れました。
どうやら彼がベッドの端に腰掛けたようで、その弾みで貴女の身体が彼の方に僅かに傾きます。
ギシッ…とまたベッドが軋む音がした時、思った以上に真近から彼の掠れた甘い囁きが聞こえました。
お兄様
『…早く……思い出してくれ、★★…
…もう、俺には…耐えられそうもない……』
……えっ?
貴女がその囁きに驚いている隙に、上向く貴女の唇がふわりと暖かさに包まれます。
頰に触れるのは、濡れたままの彼の髪。雫を残したままの濡れ髪が、貴女の頰を滑って離れていきました。
貴女と同じ頃に既に入浴した筈の彼…。何故かまた入浴したらしく、微かに彼のボディソープの香りが鼻をくすぐります。
……唇にほんの僅かに触れた暖かな感触が、名残惜しむように離れ…
前髪を払った優しい指先の感触の後には、額にもその熱を感じました。
……今一度ベッドが揺れて軋んだ後。
静かに部屋を去っていく彼の気配と、ドアが閉まる音を耳にした直後に、貴女は激しい動悸を押し殺して身を起こしました。
……どうして…?
ーー…彼が深夜に貴女の部屋を訪れて、切ない囁きと共に口付けを残して去った事は…
貴女に、眠れぬ夜をもたらしたのでした。
☆つづく☆