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期待の報酬

全体公開 アナオビ 31 2471文字
2023-05-03 16:57:54

さわマルというよりMayThe4thDayだし何かと書いたささやかなものです
最初のパラグラフという感じで終わりにたどり着けていないのですが、まあ出さないよりはと思い掲載します

Posted by @syuu_29

ライトセーバーでは手応えなどろくになかっただけに、殻だけを割ってやるというのはずいぶんな労苦に感じられた。まして冷凍室じみて冷えた部屋の中では尚更だろう。だが、それこそアナキンがパダワンを指導する立場となった今となっても存在意義を疑い続けていたサバイバルキットの小さなナイフが活躍できる数少ない場面ではあった――それこそ鋏が人間の顔ほど大きな甲殻類が相手であったので。
アナキンとオビ=ワンはアウター・リムの小さな惑星のコミュニティの一つに歓迎された。そしてその結果、摩耗の進む装飾が掘り込まれた大きな石台を挟んで向かい合い、「それ」を二人きりで解体していた。
アソーカは性別を理由に村の女性たちに連れて行かれてしまい、今頃は肌に新たなボディペイントを施され、祝いの民族衣装を着せられて、二人の仕事が完了するのを村人たちと一緒に待っているはずだ。
「それ」はこの惑星の原生物だった。フォースの力を借りずに担ぎ上げようにも複数人の協力が必要な大きさで手に余る害獣といえた。それも倒せば祝いの儀式を盛大に催すほど重大な獣だ。別件の調査に訪れたとはいえ、ジェダイの助力は歓迎された。
しかし説明を受けて薄々予感はしていたが、実際に出没場所に案内された二人は水辺に居を構える巨体に目を丸くして「蟹ですね」「蟹だな」と顔を見合わせることになったものだった。
それは他の惑星で見るよりずいぶん大きく、思いもよらぬ方向に動き回ることができる関節を持っており、俊敏でもあった。それに大きな鋏は人間の腕など簡単に折り潰せるだろう力もあり、人を襲う。だが胴から滑らかに手足を切り落とすのは簡単なことだった。
それよりも骨が折れるのは甲殻類の硬い殻を外す作業だった。アナキンとしては別に食べたいとは思えない生き物であったし、進んでやりたいことはなかったが、「それ」を倒した人間の権利として、誰かに譲ることはできなかった。
殻で手を痛めないようにと用意された手袋はぶ厚い革で、ずいぶん使い込まれているようだったし、単に殻の中から取り出せばいいというものでもなく、オビ=ワンの通訳によれば、儀式として取り出した身で殻を脱いだ肉体を表す必要があるという。それで二人は石の台座に彫り刻まれているとおりに、せっせと殻を取り外して取り出した身で解体前の姿をなぞって並べることになった。
終える頃にもなれば、向かい側から呆れとも疲れとも取れるため息が落ちた。
アナキンは同じ作業に取り組んでいるたオビ=ワンの顔を伺った。同じように仕事を終えてずぶ濡れの手袋を外し、視線を手元に落とす彼の顔には疲労が滲んでいた。
「お疲れのようですね」
「見ての通りだ。不愉快なほど硬い殻だったな」
「まあ、苦労の甲斐がありそうな身じゃありませんか。蟹らしく綺麗に剥がれることもありましたし」
アナキンは殻からするりと抜け落ちることに成功した一節のことを思い出しながら言った。オビ=ワンも同じ喜びを感じる場面があったのだろう。神妙な顔で「だといいが」と頷く。ようやく作業を終えた彼の手を見れば、たしかに苦言を漏らすだけのことはあった。アナキンの左手も同じような状態だが、手袋を外したその手はあちこちが圧迫のために赤白のまだらになっている。
「利き手が機械だとこういう時は便利ですが」とアナキンは言葉を区切った。神経接続はしていても、生身の皮膚感覚とはまるで違うものだ。デュラスチールの頑強な骨が物の硬さを感じさせることはほとんどなく、筋肉を模した繊維だって人間の肉ほど柔らかなものではない。そもそもフォースを介していても、生身の左手で感じ取れる情報量とは雲泥の差がある。
アナキンは剥き出しの義手でオビ=ワンの右手をとりあげた。それから慈しむようにその手のひらに自分の生身の手を重ね取り、指の腹をすべらせた。
「無理しないでください、あなたの手は生身ですし」
「無理というほどではなかっただろう。別に怪我したわけでもない」
「でもマッサージは必要そうだ」
「どうにも年寄り扱いのように聞こえるな」
「被害妄想では? だいたい、僕としてはもっと色っぽく受け取って欲しかったのですが」
それともわざととぼけておいでで?とアナキンは声を潜めた。指をしゃぶりでもすればよかったかと付け加えれば、オビ=ワンの眉毛はいぶかしげに釣り上がった。
「何を言ってる。アソーカだっているんだぞ」
それでも声を潜めて返す彼の批難を受け流すように、アナキンは肩をすくめた。それから重ねた手に指を絡め、甘噛みのように指の付け根に力を込める。
「ばれませんよ」と囁く僅かな間でさえも、唇のはしに浮かぶ笑みはこらえられなかった。
オビ=ワンの眉間の皺は深くなるばかりだ。
「そんな心配をしてるわけじゃない」
「ではどんな心配だと?」
「そもそも心配じゃない。私は呆れているだけだ」
言い返してオビ=ワンは深いため息を吐き出した。
しかしそれでも「少しは辛抱を覚えてくれよ、パダワン」と懐かしい呼び方でたしなめる言葉からは棘が落ちていた。それに呆れた声には変わりなくとも「帰ったらな」と視線を逸らして言い添えるおまけつきだった。
アナキンは思わず瞬き、捕らえたままの彼の手の甲へ唇を寄せて声を上げた。
「マスター!」
うるさいぞ、とオビ=ワンが渋い顔でたしなめるのと、村人が様子を伺いに来るのはまったく同時のことだった。

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ちょうどMayThe4thDayが来るので新しい何か出したくてと考えていたが、最近グリッドマン ユニバースを見てしまったので二人に蟹を食べて欲しくて(絶対に視聴層とマッチしてないけどそれが動機だから書いておく)(観てても何言ってんのかわからんと思うが)、それで書こう書こうと直していたらなんかなんですか?これは?わからない……しかも黙々と食べるところを想像していたのにいざ書くとなんか巨大蟹になってしまったし、そもそも食べるところにたどり着いていないんですが、この先食べるところも書きたい


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