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過去と未来1

全体公開 4034文字
2017-09-11 00:37:47

2エチ男がムラムラクラッシュしてBHに抱いてって迫るけど、BHはそんな気分じゃないから鼻であしらう感じの小話。RBH前提のBH2。→続き

Posted by @acbh_dmc4

ふと、抱かれたいと思った。
その瞬間に幾度となく刻まれた彼の人の指使いがその身に蘇る。
乱暴に自分を暴くあの男の力強い腕に、抵抗空しく好きにされ、男を覚えこまされた。
ジリジリとした渇きに肌が震える。

こんな風に男を求めるようになった己の浅ましい身体が忌々しく、しかし覚えてしまった享楽に抗う事も今だけは放棄しようと、彼の人を探すためにその歩を進めた。

自分はあまり教団の隠れ家やローマを歩き回ることは許されていない。
普段はフードを深く被り、口元を厚手のリネンで出来たスカーフで隠している。
かつて未来の自分だと名乗る男にこのローマへと攫って来られてから、きつく言い含められ、殆ど軟禁状態となっていた。

(することもないし、可愛い女の子とも遊べないんだからアイツに欲情したって仕方ないだろ)

言い訳のようにそう呟き、未来の自分を探す。
そもそも自分は、その"未来のエツィオ"と名乗った男の言を完全には信じていない。
確かに、ここは違う国であるし、どうやら本当に時間が進んでしまっているようではあるが、そう簡単に人が時間を操れるなどと思ってはいない。
御伽噺の類は当の昔に卒業しているし、御伽噺のような教団に属しているからと言っても、アサシン教団は限りなくリアルだ。
予言だの不思議な力だのは信じていないし、だからこそ自分はリアリストだと思う。
しかし、件の男は自分とおなじ"エツィオ"という名であることは確かなようで、顔立ちもそれなりに年を取り、その顔に薄く皺が刻まれ、厳しく冷たい表情を張り付けてはいるが、自分のそれと酷似している。
でもだからって未来の自分が、今の自分を抱くというのか?
エツィオは自分自身、多少ナルシストの気がある事を自覚しているが、よもやその"自分"と関係を持ちたいと思うほど、自身を思っているかと言われたら全力でNon!と言える。
抱くならやはり柔らかくて温かい、美しい女性が良いに決まってる!

隠れ家は珍しくしんと静まりかえり、誰の気配もしない。
未来の自分と隠れ家へと赴いた際、マキャベリと名乗る男とあの男が、今日は皆ボルジア兵の撹乱のために各地で任務に赴いていると話していた。
その後、あの男がマキャベリと話しながら外へと出てから少しして、あの男だけが戻ってきた。
腹立たしげに短く舌打ちをすると、ギロリとこちらを睨みつけ、奥で大人しくしていろと告げ、絵画室の手前にある執務机で何やら書類仕事を始めた。

数冊の書籍を持たされ、上階にあるアサシン教団の休憩室兼寝室へと引っこんで、小一時間もしないうちに本にも飽き、体の疼きを覚えた。
どうせ今日は誰も戻らないのだから、ここで事に及んでも問題はないだろう。
どうせあの男も単に留守番を言い渡されてふてくされているのだ。
特にやることもないのなら、自分と気晴らしすれば時間も忘れる。
何もすることがない事ほど辛いものはないと、此所へ来てからいやと言うほど思い知っている。

はたして未来の自分は小一時間前と同じく、執務机で暇そうに書簡を眺めていた。
目論見が当たったことに内心ほくそ笑んで、机の前まで歩み寄る。

未来の男は何の反応も示さず、まるで自分がそこに居ないとでもいうかのように振舞っていた。

「なぁ、暇なら俺の相手してよ」

厳しい視線がチラリとこちらに寄こされる。
フン、と鼻で嗤われただけで、またもその視線は書簡へと落ちてしまった。
この男はいつもそうだ。
極力自分とは関わらないようにしているのか、思えば体を重ねるようになってからこの男は自分に対してそっけなくなったように思う。
何をしてもいい都合のいいモノとでも思っているのか
エツィオは眉間に薄く皺をよせ、不満そうに唇を尖らせた。

「なぁ」

辛抱強く、声に艶を持たせて再度呼びかける。
あからさまな媚を含んだその声に、目の前の男は不快そうに眉根を寄せた。
それでも視線は書簡に落ちたまま動かない。
エツィオは焦れたが、このまま居ない者として扱われるのはたまらない。
直接ちょっかいをかければ、この男も自分を相手にしなければならなくなる。
パサリと被っていたフードを背へと落とし、口元に挑発的な微笑を湛えて机に身を乗り出し、未来の男が執拗に覗きこむ書簡に手をかける。
そうしてようやく顔ごとエツィオに向き合った男に、さらに笑みを深くして机へと乗揚げ男を誘いかける。

「イイだろ?」
「断る」

にべもなく遮るように一蹴され、流石にエツィオも憮然となった。
キツく睨み上げられ一瞬怖気づくが、エツィオは男から書簡を取り上げ、負けじと睨みかえした。

「自分は俺の気持ちなんか構わず好きにするくせに!」
「好きにされる程弱いのが悪いんだろう」

吐き捨てるように言う未来の男にエツィオは激昂して、男の胸倉を掴んだ。
どこまでも憎たらしい男の言に心底イライラする。

「あんたの方が強いんだから仕方ないじゃないか!」
「フン、そんな事が言い訳になるか……お前に構っている暇はない。失せろ」
「うるさい!なら勝手にやる!」

机から反動をつけ、椅子ごと男を引き倒す。
咄嗟の事に反応が遅れた男は盛大に頭を床に打ちつけ、痛みに呻き声をあげた。
椅子から男を引きずり上げ、邪魔な椅子を蹴り飛ばす。
未だもろに受けたダメージから回復できず、動けずにいる男の両腕にスカーフを巻き付け縛り上げた。
男の腹に乗り上げ、襟のボタンを一つずつ外していくと、ようやく回復してきた男が諦めたように溜息をついた。


……俺は何もしないぞ」
「うるさいな!だったら黙ってマグロになってろよ!」

エツィオはようやく観念した年嵩の男に勝ち誇ったような笑みを落とし、その憎まれ口を叩く唇に己のそれを重ねた。



******

上階の寝室に湿った音と荒い息使いがこだまする。
どれくらいそうしていたのか、階下の執務机の前で一度体を繋げてからベッドへと移り、何度となく熱を開放してもう随分経つ。
最初東側に昇り始めていたばかりの太陽も、中天を過ぎ、西に傾き始めていた。

階下で最初に年下の自分へと宣言した通り、始終縛られずともだんまりを決めた己の両腕は、だらりと体の両脇に投げだし、腹の上で淫らに踊り狂う年下の自分をどこか冷めた目で見ていた。
強引に事を進めた年下の自分は、何故か彼の中で固定して自分が抱かれる側だと認識しているようで、後ろを犯される気配は微塵もない。
犯されてやってもいいが、そもそもこの子は俺では勃たないのだろうな、とぼんやりと己の上で乱れる若者を見て思う。

(そう言えば、こうして無理矢理自分から誘って以来、あの人は俺を上に乗せて自分で動けと命令することが多くなったか)

確かに下から見上げるこの青年の淫靡な姿は、絶景といえなくもない。
もともと容姿は抜群に良いのだ。
まだ教団へ入ってから数年ほどのあどけなさを残す過去の自分。
もともと好色な自分は健康的な男の色気を持っていたが、男を迎える悦びを知った身体は驚くほどの艶を増し、最中に媚を含んだ表情は娼婦のような色香を発露させるようになった。
己が教え込んだ仕種と女のように後ろで善がるその姿は、どれだけの男を歓ばす事だろう。
己の思考に舌打ちをしたい気分だ。虫唾が走る。
そもそもはこの青年は自分自身だ。愛して、欲しくて手を出したのではない。

全ては良いように暴かれ、現在進行形で好きなように扱われている自分への、あの男への八つ当たりのようなものだ。

それなのにこの子は……

何もしないと宣言したのが余程腹に据え兼ねたのか、いつもは早々に根を上げ、「もう嫌だ」だの「止めろ」だの「シたくない」だのと泣き叫ぶのに、今日はやけにしつこい。
しかし、確かに感じる快感で散在がちになる頭で、当時の朧気な記憶を手繰り寄せる。
あの時俺は、あの人にどうしても触れて欲しかった。
本当に欲しかったのは後ろで感じる快感よりもあの人が与える肌への温もりだった。
力強く乱暴なのに、どこか優しく触れるあの手が、この身をなぞるその感触を欲していた。

これは俺が触れなければ終わらないのかもしれない。
先ほどから泣きそうな顔で、それでも懸命に善がる振りをしている。

いつもならもうとっくに音を上げているのだ。
彼にとってもそれほど楽しい行為ではないはずだ。

(我ながら意地っ張りなものだ)

投げ出した両腕を青年に向かい、生理的な涙で濡れたその両頬を包む。
突然の温もりに大きく目を見開き、信じられないものでも見るような顔でこちらを見下ろす。
目尻に浮かぶ涙を親指でこすってやれば、安堵したような、嬉しそうな顔を見せる。

ズキリと胸の奥が疼いた。

嗚呼、この子は……

青年がゆっくりと上体を倒し、唇が触れる。
軽く触れるだけのバードキスを繰り返し、青年の背中を擦ってやる。
もっとキスが欲しくなったのか、青年は一度後ろから挿入された熱を抜き、胸を合わせるように覆いかぶさってきた。
青年が抱え込むように俺の髪に両手を差し込む。
同じように青年の頭を抱え込むようにし、体制を変えてやる。
ゆっくりと青年をベッドに横たえ、湿ったリップ音を立て唇を放してから彼の両足を抱え上げた。

もう一度ゆっくりと青年の秘所に熱を宛がう。

期待にこくりと喉を上下させる青年のその媚態に、今更堪らなく煽られた。

もくじ     →続き


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