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メゾン・マグダレーナ上演、湯澤幸一郎氏の起用、吉井敏久氏のコメントについて

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2018-11-25 10:40:30

※追記
メゾン・マグダレーナの公演中止を受けて
本記事の追記となる記事も書きました。


<経緯>

11月18日に株式会社CLIEより、「メゾン・マグダレーナ」の上演が告知されました。
https://www.clie.asia/maison_m/
「マグダラなマリア」という作品名は使用されていませんが、同作の続編にあたる作品であろうことは明白です。この作品は湯澤幸一郎氏が原作・脚本・演出・音楽を手掛け主演する人気シリーズでしたが、2013年11月に予定されていた新作が公演中止となり、代替作品が上演されました。
(湯澤幸一郎の舞台『マグダラなマリア』が公演中止に:http://www.theaterguide.co.jp/theater_news/2013/10/18_04.php)
その後、自身が講師を務めるワークショップに参加していた当時17歳の少女に対する猥褻行為があったとして児童福祉法違反で逮捕され、翌2014年9月に懲役2年の実刑判決を受けたことが明らかとなりました。(ウィキペディアより:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%AF%E6%BE%A4%E5%B9%B8%E4%B8%80%E9%83%8E)
メゾン・マグダレーナ上演の告知を受けてCLIEに複数意見が届いたのを受け、プロデューサー吉井敏久氏より、以下のコメントが発表されました。
「メゾン・マグダレーナ」公演について:https://www.clie.asia/1124/
ここまでの経緯を踏まえて、この件について意見を書き記しておきたいと思い、この文章を書いています。


<メゾン・マグダレーナ上演、および湯澤幸一郎氏の起用について>

以下、上演の情報を聞いたあとCLIEに送ったメールを転載します。
(作品名をマグダラなマリアとして書いていますが、メゾン・マグダレーナにするべきでしたね)

マグダラなマリア上演について、一演劇ファンの意見として目を通していただけましたら幸いです。
まず先に述べさせていただきますが、これは上演を止めてほしい、あるいは湯澤氏に出演しないでほしいという要望ではありません。
湯澤氏が未成年の女性に猥褻行為を行い逮捕されたことで同作品が上演中止になり、のちに実刑判決を受けたことは当然ご存知のことと思います。これは演出家という立場を利用しての行為だったと聞き及んでおります。
ここ最近でも演出家・市原幹也氏やピクシブ元社長・永田寛哲氏のセクシャルハラスメント問題などが明らかとなっており、MeTooムーブメントの中で女優やアイドルといった方々による被害告白も何件か目にしています。
このようにプロデューサーや演出家という立場を利用したセクハラ、猥褻行為を受けても声を上げられない方が他にも多数いるだろうことは想像に難くありません。
演劇ファンとして、一人の人間として、このような被害を受けている人がいることはとても悲しく、憤りを感じます。
そんな中で、未成年猥褻事件について言及しないまま同作品を上演することで、過去・現在においてセクシャルハラスメントや猥褻行為を受けた方々が被害を訴えにくくなるのではないか、そのような行為をしている人たちが時間が経てば全て水に流せると認識するのではないかということを危惧しております。
吉井さんのツイートからマグダラを上演できる喜びは十分伝わってきましたし実際にすごい作品だと思いますが、上記のような理由で手放しで歓迎できる気持ちにはなりませんでした。
私の要望としましては、組織として立場を利用した性的ハラスメントや(とくに未成年に対する)猥褻行為を容認しないという声明を発表していただけないでしょうか、ということです。このような声明を出すことで、少しでも多くの人が演劇を楽しめるようになり、より風通しの良い社会になっていくことを望みます。

今読み返すとやや説明不足なところも否めませんが、私の意見としては上記の通りです。湯澤氏の起こした事件を一個人の問題ではなく、演劇業界の、もっと大きく言えば社会問題として認識してほしいという気持ちでメールを送りました。

<吉井敏久氏のコメントについて>

まずクリエの公式見解ならば作品の公式サイトからのリンクとCLIE公式ツイッターアカウントでもツイートをしてほしいです。
コメントを読んでの感想は、やはり一個人の問題を越えた会社としての、社会としての問題であると認識されていないのだろうな、というものです。(情報解禁前のはしゃいだイタリア旅行ツイートを見た時から思っていましたが)
「私共の想像以上に深く反省し、 今後は社会に貢献するために、必死に、また謙虚に 社会人として復帰しようとする姿に心を打たれ、 再犯の可能性はないと確信しました。」とありますが、性犯罪の専門家でもなく湯澤氏を高く評価している人間が再犯の可能性はないと判断したところでなんの担保にもならないと思います。再犯の可能性については我々が言及してもやはり憶測にしかなりませんし過度に言い立てると中傷にもなりかねないので難しいのですが、一般的に性犯罪は再犯率が高い犯罪だと言われています。
昨年、性犯罪の加害者治療に携わっている精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏が書かれた『男が痴漢になる理由』を読みました。本書のメインテーマは痴漢加害者の治療プログラムについてなので全く同じように当て嵌まるわけではないかもしれませんが、性犯罪の再犯率について「本書でたびたび引用している「犯罪白書 平成27年版」は、サブタイトルに「性犯罪者の実態と再犯防止」とあります。性犯罪は他の犯罪と比べて再犯率が高いという事実に目を向け、その実態や背景を探ることがこの年の大きなテーマでした。」と述べられています。さらに本書では認知行動療法に基づいたリスクマネジメントプランを利用した性犯罪の治療プログラムを紹介しています。この治療プログラムの具体例と有用性が述べられていますが、ドロップアウトしてしまう人の話も出てくるように、やはり治療プログラムを主体的に継続するのはとても大変なことなのだと感じます。
私は湯澤氏が再び同様のことをするのではないかという懸念を示したいわけではありません。吉井氏が簡単に「再犯の可能性はない」と言い切ってしまってよいものではないと思うのです。もしそれを信用してもらいたいのであれば、個人の努力や反省といった曖昧なものではなく、被害を未然に防ぐための具体的なシステムやルール、被害が起きたときの相談窓口などを示すべきでしょう。
市原幹也氏のセクハラ問題の時に平田オリザ氏が出された声明の中で(その時の記事そのものは現在見られないようですが)、青年団はセクハラ・パワハラに厳しい規定を設けており、劇団員が講師を務めたり、客演をしたりするときも異性の参加者と個別に食事をしないように徹底しているという説明がありました。(http://news.livedoor.com/article/detail/14060084/)適切なルールとは何かというのはまた別に議論されるべきだと思いますが、具体的に対策をしていることが示せるルールがあってほしいです。
MeTooムーブメントの発端となったワインスタインの事件も映画業界内での強い立場を利用した性暴力、ハラスメントでしたし、最近ではスクールセクハラの実態が明らかになってきているように指導者という立場を利用した性暴力やハラスメントにも注意を払うべきだと思います。
湯澤氏を演劇界から追放しろとは言いません。司法のもと罪を償った人の社会復帰ももちろん必要です。しかし何の説明もなく事件当時と同じポジションで迎え入れるのは浅慮だと思いますし、その才能を惜しんでいるのであればもっと適切なやり方があったのではないか?ということを言い続けていきたいです。また、吉井氏のコメントで「プロデュ―サーの最大の仕事は、 お客様の心に残るいい作品を届けることであり、 その為には、時に才能を見つけ出し、作品を守り、育てることも 含まれると思っています。」とありましたが、そう思うのであれば駆け出しの立場の弱い人たちをどう守るかについても言及してほしかったです。

<今後のために>

私は演劇関係者でもありませんし、性犯罪の専門家でもありません。ただの演劇が好きな人間です。でも、私が演劇を楽しんでいる裏で誰かが(とくに未成年が)性暴力の被害を受けているようなことはあってほしくありません。意見を表明していない人や公演を喜んでる人に対しての批難をするつもりはないしなされるべきではないと思っていますが、私は自分が加害に加担してしまうのが怖くて意見をCLIEに送らずにいられませんでした。ただ私自身もまだまだ勉強不足なところが多くあり間違った認識のもと発言をしているかもしれないので、できるだけ勉強をして社会の変化に従って考え方をアップデートしていきたいですし演劇業界もそうであってほしいです。
最後に、もしこういったハラスメントや性暴力で悩んでいる人がここを見ているかもしれないので、こういう相談機関があるようですという紹介をさせてください。(あまり知識がなくてごめんなさい)
演劇・映画・芸能界のセクハラ・パワハラをなくす会:http://nosekuhara.com/
性暴力救援センター(ワンストップセンター)・東京:https://sarc-tokyo.org/
各都道府県のワンストップセンター(PDF):http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/avjk/pdf/one_stop.pdf
あと全国妊娠SOSネットワークに(相談員さん向けですが)けっこうリンクがまとまってる気がします。http://zenninnet-sos.org/counselor-info/counselor-info_03
それからこの文章を書くにあたって性暴力について取材されている小川たまか氏の記事を多々参考にしましたのでこちらもご紹介します。
https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/
SOMECについての記事も参考にしました。
性犯罪の防犯、再犯防止のための性障害治療に取り組む 性障害専門医療センター(SOMEC):https://somec.org/




以下は個人的な感情の吐露なので受け止める余力がある方だけ読んでいただけたらと思います。



<私とクリエ作品およびマグダラシリーズについて>

私がクリエ作品のファンであるということを示しても私の意見の正当性をなんら保証するものではないことは承知ですが、書かせてください。あとクリエ作品やそもそも舞台をあんまり見ないんだけどこの件に関して思うところがあるという人がいたら、クリエ作品のファンもこういうことを考えていますよ~ということを伝えられたら何かの足しになるかな、と思って書きます。
ぷらいべったーの過去記事を読んでもわかると思うし以前からのフォロワーはご存知のことと思いますが、2013年からクリエ作品はかなり見ていてスレイジーを始め、メサイア(今は別の制作ですが)、ボイト、弥次喜多、あと八犬伝も見たしうさレスも見たし艶漢も見たしインフェルノも見たし、ここ一年ちょっとは日本にいなかったので劇場には行けてないんですがなんと先週ライカとストリップ学園のDVDが届いたところだったんですね~~悲しいよ!こんな文章で自分の好きな作品の名前を挙げなくちゃいけないのが悲しいです。いや別に挙げなくてもいいんですがね。それとこれを書くのもなんか嫌な感じかもしれませんがウィキペディアのスレイジーのページも作成したんですよ。今の記述が充実してるはそのあと編集してくれた人たちのおかげで私はスタッフとキャストと公演情報を並べただけのどシンプルな記事しか作ってないんですが、ウィキペディアにページがあると興味を持ってくれる人も増えるかもしれないし……と思ってめちゃくちゃ緊張しながらページ作成ボタンを押した日のことは今でもよく覚えています。
逆にマグダラシリーズは実は鑑賞できていないので、マグダラファンの気持ちに寄り添えているかは全然自信がないです。観劇を始めたのが2013年だったので、あの話題作のマグダラが新作!?絶対見に行こう!と思ってチケットをとったところ例の顛末です。初日の神戸でアメグレを観劇してそれはそれで思い出深い出来事なのですが……。
今の気持ちはがっかりと悲しいが大半です。今後はクリエ作品を見たくない、見ても楽しめないという気持ちがあるもののとくにスレイジーはあまりに思い入れが強いので見ないという選択ができるかわからないです。でも今後、吉井氏がプロデューサーをやっていて私の納得のいく対応をしてもらえない限り他の人に積極的にクリエ作品を薦めることはしないだろうなと思います。
それから意見表明をお気持ちと揶揄されるのが嫌いなので感情的な話はできるだけこの項目にまとめておきましたが、気持ちや感情があるから倫理や道徳があると思っているので、議論や意志決定プロセスには冷静さや客観性が必要と思いますが根源にある気持ちや感情そのものは尊重されるべきだと思います。少なくとも制作側には性暴力やハラスメント問題について当事者性を持って考えている観客がいることを想像してほしいですよね。



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