【Ⅳ体目ギミパペ】のパラレル続編。
あの脅威が、去っていなかったとしたら?
狂い落ちていくⅣを複数のクリエイターでえがく「かあさま次元」始動!!
Ⅳ体目のギミックパペット→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5662058
@fu_re_re_ra
懐かしい指先だった。
心地よくて、まどろむ。
愛おしそうに髪をすく、柔らかくて優しい指。
貴女の魔法の指先に
撫でられる時間が、なにより好きだった。
『いい子ね、トーマス』
愛しているわ、と
甘やかにささやく蜜色の声
オレと同じ色の肌も
きらめくような翡翠の瞳も
柔らかに微笑むかんばせも
全てがオレたちを愛してくれた
ほら、桃色の長い癖っ毛が、風で笑ってーーー、
pipipipi.....
「かあ、さ……」
「にいさま! もう! 遅れますよ!」
パチッ、と
泡が弾けるように目覚めた。
朝陽が目を焼いて、目を覆った。
逆光から見下ろす翡翠の瞳と
夢と同じ、桃色の髪が踊って
手を伸ばして、一瞬混乱する。
「かあ……あ、れ…?」
「もう、いつまで寝ぼけてるんですか」
ぷんす、と頬を膨らませたのは、見慣れた弟で
現実をようやく視認して、Ⅳはしばし惚けた。
弟を無意識に捕まえていた手を離して
そのまま顔を覆う。
「すげー寝ぼけてたわ…」
「知ってますよ! 何度起こしたと思ってるんですか、もう!」
弟がザッとカーテンを開けて朝日を取り込む。
光に透ける桃色の髪が、風で踊った。
寝ぼけ頭でぼけっと見ていたⅣは
はたと察して、「あーー」と意味の無い声を出した。
「……伸びたな、髪」
襟足がすっかり伸びた後ろ髪を押さえて、弟はバツ悪そうに苦笑した。
「あはは、切りそびれて。みっともないでしょうか、明日にでも切っ、……? にいさま、どうかしましたか?」
「いや、」
夢の原因を知って、頭をガシガシとかいた。
ぽけっと弟を見たまま、懐かしさに、目を細める。
「年々似てくんなあ……」
(懐かしい夢みたな)
ふわあ、とあくび一つ。
食卓には、既に他の家族も揃っていた。
「やあ、お寝坊さん。そんなに良い夢だったのかい」
「おはよう、父さん」
くすぐったい気持ちで返せば、からかうような視線を向けられる。コーヒーを攪拌する視線は甘やかで、それがなによりⅣを甘やかした。
「まったく、少しはゆっくり食べられないのか。落ち着きのない」
「うっせ」
「何か予定かい」
「凌牙と約束を」
「そう、よかったね」
よかったね、と。重ねて告げる父。やんわりとした優しい声だった。
幸福とはむずがゆさで出来ている。くすぐったくて足早に席を立った。
おろしたばかりの上着にバサリと袖を通して、食卓を後にする。
「いってきます」
そう返せることが、こんなにも胸をくすぐる。
三人分の声に見送られて屋敷を出た。
Ⅳがあの頃、泣きたいほど欲しかったものが当たり前にあった。
「油断したんじゃねえか? Ⅳ」
ライフは乏しい。凌牙が口角を上げて腕を突き出した。
「ビッグ・ジョーズでダイレクトアタック!」
「まだまだァ!トラップ発動! ギミック・ボックス! ダメージは無効だ!」
「甘ぇ! トラップ発動! ワンダー・エクシーズ!こいつでエクシーズ召喚!」
「! バトルフェイズ中に! キメにきやがったか!」
「現れろ、潜航母艦エアロ・シャーク! ギミック・ボックスを食いちぎれ!」
ギリギリの綱引き。凌牙は興奮しきった顔をしていた。きっと自分も同じ顔をしている。顎の汗を拭う。楽しい。血が踊る。
憂うことなんて何もない
晴天の空の下
「トドメだ! エアロ・シャークの効果発動! 俺の手札の枚数×400ポイントのダメージを与える! これで終いだ!」
「そいつを待ってたぜ! トラップだ! 地獄の扉越し銃発動!」
「ッ! チィ! 誘ってやがったか!」
「地獄から特別ファンサービスだ。こいつでその大ダメージ、そっくりそのままてめえに跳ね返して、」
シャーン、と鈴の音が落ちる。
Ⅳは、思わず怪訝に手を止めた。
遊び歌が、聞こえる。
不釣り合いな子どもの歌が、耳に滑り込んで
Ⅳは、ふっと振り向いた。
路地の影
ひやりと冷たい影の内側に
じっとⅣを見ている子ども
「? こんなところにガキ?」
「おいⅣ、なにやってんだ!」
「あ? ああ、わり。なんでもねえ!」
カードを持ち替えて突き出した。
再開するデュエル。跳ね返したダメージが凌牙に襲いかかる。凌牙は耐え切って、乱れた髪の下からどう猛に笑った。ライフは互角。血が燃える。
ぽーん、ぽーん、と
鞠をつく音がする。
日本人形みたいな子どもは、手毬して
くるっと回って路地に消える。
また、シャーンと鈴の音。
子どもの口ずさんだ歌だけが
妙に耳に残った。
かーごめかごめ
かぁごのなぁかのとーりぃは
「ちょっと!デュエルに夢中で海に落ちるとか何してますの!」
璃緒に口酸っぱく叱られながら、Ⅳはガシガシとタオルで拭かれた。
逆らうに逆らえず、Ⅳはされるまま困った顔をした。
「いや、場所が悪かったな……埠頭でカードが風にうっかり煽られちまって」
「貴方も凌牙もほんと信じられない」
「そう言うなよ、あそこであんな突風が吹かなきゃ勝ち越しだったんだぜ」
「あきれた。貴方たちそっくりね。凌牙もお風呂入る前同じこと言ってましたわよ」
咎めるようにパチンと額を弾かれる。
うっかり心配を掛けてしまったらしい。すっかり子ども扱いだ。苦笑しつつも、ひどく照れくさい。これはどうやら遊ばれている。
「もういいって」
「だめよ」
タオルで髪をすく指先を拒めなかった。柔らかくて、心地いい。
彼女は時折とてもお節介で、優しさをⅣにも隔てなく向けてくれる。朝あんな夢を見たからか、母の指を思い出した。
心地よさから思わず気が緩む。ふんふん、と思わず口ずさんだ。
「あら? かごめ歌じゃない」
「かごめ? なんだそりゃ」
「あら? 知らないで歌ってたの?」
「さっき凌牙とデュエルしてるとき、近くでガキが歌っててな、妙に耳に残って移っちまった」
「そういえばあんまり意識しないけどⅣさんたち海外の人なのよね」
知らないのも無理ないですわね。
と璃緒が頷いて、にこりと悪戯めいた目を見せた。
「かごめ歌はね、『 格子 の模様』と『囲 め』と『かご の中の女 』の意味がかかった言葉遊びなんですのよ?」
「あー、わかった。オチが読めた。その妙に不穏なラインナップはジャパニーズホラーだな?」
「Ⅳさんって察しが早くて助かりますわ。好きでしょう?」
「まあな」
璃緒の手からタオルを奪って肩にかけ直す。さすがに照れくさくてこれ以上耐えられなかった。逃げるに限る。
けれど、璃緒はまだ楽しいオモチャを見つけた気分のままのようで、悪戯めいた顔で笑っている。パッと手を取られた。
「かーごめかごめ、ってね、こう手を繋いで」
「お、おい」
璃緒に片手を無邪気に引かれる。
子ども遊びは距離が近い。
乗せられるまま、息が触れそうな距離まで近付かれて、Ⅳはパッと赤くなった。
「ふふ、なんだか懐かしいですわ」
「いや、ちょ、おい璃緒! こんな場面凌牙に見られたら、オレはまだ死にたくな、」
「俺が何だって?」
「どわあ!」
手を離して文字通りⅣは飛び上がった。
凌牙はガシガシ髪を拭きながら、タオルの下で胡乱な目を向けた。
「はあ?なにやってんだお前ら」
「だっ、ば、ちげえからな凌牙!?」
「かごめかごめですわ」
「あ、ああ! ほら! さっきてめーとデュエルしたときガキが近くで歌ってただろ!? だからであって他意は無くてだな!」
「かごめ歌だぁ?」
凌牙は怪訝な顔をした。
「あの場所にガキなんて居たか…?」
────かぁごめ かごめ
かーごのなーかの、────女は、だぁれ?
クス、クスス
クスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクス
◇ ◇ ◇
また懐かしい夢を見た。
今度は、在りし日の母がピアノを弾いていた。
白いグランドピアノの軽やかな音色、光と風が流れる部屋に響く旋律。たおやかな指先が踊る。懐かしい。もうずいぶん長く夢に見ていなかったのに。
母が弾く賛美歌が、風の中で流れている。
優しく、あたたかで、美しくて神聖な。
大好きだった、透明な声。
歌声は空気より軽いから
天国まで届くのだと、そう教えてくれたのは母だった。
だから祈りは歌うのだと
教えてくれた歌を、もう思い出せないけど。
歌えば母に届くだろうか。
母の指が、手招く。
オレは無垢な子どものまま駆け寄って
母の白い指を頬に受け止めた。
ひたり、と母の冷たい手が頬をさする。
逆光で母の顔が見えない。
母は逆光の中でゆっくり囁いた。
──────…………×××××
…………え?
「にいさま? 大丈夫ですか?」
弟の声で目が覚めた。一瞬、現実が分からなくなった。
「あ、…?」
「汗びっしょりですよ」
朝だった。額を拭えば、全力疾走した後のように玉の汗をかいていた。
まるで、何かから必死に逃げたように。
「なにか悪い夢でも見たんですか」
「え? いや、そうじゃねえ。むしろ……あ、れ」
「? どうしました」
──────……おいで
「オレ、何をそんなに怖がってたんだ…?」
【第一歌:籠目】
意味:かごめ模様。
竹編みで格子状にえがかれる六芒星のこと。籠の目。籠目紋。退魔、魔除けとして使われる。
うしろのしょうめん
────ちゃんと祓わないと、ほぉら
「さっすがだぜ、シャークもⅣも!」
遊馬がダメージを受けて砂埃を払いながら、立ち上がった。
Ⅲと二人で顎を流れる汗を拭って、揃ってまぶしいほど真っ直ぐ笑う。
「でも、オレたちだって負けてねえ!」
遊馬がニカッと力強く笑ったので、来る、と構えた。IIIが腕を突き出した。
「遊馬! 僕のカードを!」
「おう! オレは! フィールドの《先史遺跡都市 バビロン》の効果発動!」
遊馬がまっすぐ腕を振り上げた。
フィールド魔法が光を放つ。
「墓地の先史遺跡 モンスターを除外して、同じレベルの先史遺跡 モンスターを墓地から特殊召喚するぜ!」
ニカッと笑った遊馬が、腕を高く高く掲げた。
「Ⅲ、お前のカード、使わせてもらうぜ!」
サァ、とデュエルの風向きが変わる。
「現れろ!《先史遺跡 アステカ・マスク・ゴーレム》! いっくぜー! コイツと《ガガガマジシャン」でオーバーレイネットワークを構築!」
紫と黄の光球が、渦巻くように吸い込まれ、爆発する。
「エクシーズ召喚! 現れろ、《ガガガガンマン」!」
「! 来やがったか!」
攻撃力1500の《ガガガガンマン》は、攻撃力を2500まで引き上げ、さらに相手の攻撃力を下げる効果を持っている。
圧倒的優勢だったシャークドレイクの攻撃力が、2000まで急落する。
「ちいっ!!」
「いっけー! ガガガガンマン! 《シャーク・ドレイク》を攻撃ッ!」
なかなか良い動きだ。
遊馬とミハエルは目配せして、イイ顔で笑っている。
遊馬の突破力は侮れない。ミハエルもサポートを得意としている。
だが、今ならまだ付け入る隙はある。
「オイ、Ⅳ!」
「わかってるっての! ファンサービスだ、トラップ発動!《フル・アーマード・エクシーズ》!」
立ち上がったトラップが、素早く遊馬とミハエルのカードを縫いとめる。
「オレはこいつの効果でギミックパペット─ジャイアントキラーを特殊召喚し、シャークドレイクを装備する!」
「なに!?」
「現れろ、地獄からの使者、運命の糸を操る人形!!」
現れたジャイアントキラーが、シャークドレイクに糸をかけて引きずり込む。
ガガガガンマンの攻撃は空振りに終わる。
「ジャイアントキラーの攻撃力は、装備したシャークドレイクの元々の攻撃力分アップ!」
「……! 攻撃力、4300……!」
「さあどうする。自滅覚悟で特攻するか?」
「くっ……オレは、ターンエンド!」
「残念だったなァ。くく、お前たちのデュエルは素晴らしかった!コンビネーションも、戦略も!だが、しかし、まるで全然!オレたちを倒すには程遠いんだよねえ!」
「遊んでねえでさっさとやれ」
「ったく、遊び心が分かんねえヤツだな。仕方ねえ、ファンがお待ちかねだ、さっさとケリ付けさせてもらうぜ、オレのターン、ドロー!」
攻撃力4300のジャイアントキラーと、攻撃力1500に戻ったガガガガンマン。
この攻撃が通れば、デュエルは終わりだった。
凌牙は隣のタッグパートナーにこれ見よがしにため息を吐いた。
「ったく、悪趣味め。……オイ、Ⅳ?」
返答の無いⅣに、凌牙は、違和感を感じて、振り返った。
Ⅳは、ドローした姿勢のまま、ぼんやりと在らぬ方向を見ていた。
ドローしたⅣの指先に、ピリッと黒い雷が走った気がした。
「おい、Ⅳ?」
「……ジャイアント、キラーの……効果、発動」
ゆらり。
糸人形が吊り下げられるみたいに。
俯いたⅣの腕が、不自然に吊り上がった。

「相手の……モンスターエクシーズを、破壊して、攻撃力分のダメージを、与える」
「……ッ!」
遊馬が、フィールドの向こうで息を呑んだ。
ジャイアントキラーの糸が、瞬時にガガガガンマンを捕らえた。
引きずり込む。
大きく開いた、ジャイアントキラーの腹の、粉砕器の中に。
「……!? オイ、Ⅳ!?」
「ディストラクション、カノン」
ガガガガンマンの腕が引きちぎられていく。
猟奇的な光景に、遊馬が凍り付いたのが分かった。
ジャイアントキラーの砲撃で
遊馬が吹き飛ばされる。
「ぐあっ…!!」
背中で地面を擦った遊馬のライフがゼロになる音がする。
それなのに、フィールドにデュエル終了のアナウンスは流れなかった。
「墓地の、ギミックパペット─ベビーフェイスの、効果、発動……」
「兄さま!?」
「オイ、Ⅳ!?」
Ⅳが発動した効果で、強制的に割り込みが発生して、終了したはずのデュエルが続行される。
墓地から引きずり出されたベビーフェイスが、Ⅲの墓地から無理やりモンスターを引きずり出す。
「オイ、Ⅳ!なにやってる!もういい!」
「もう一度……」
Ⅲの表情が凍り付いた。
ジャイアントキラーの腹の粉砕器が再び開く。高速回転する歯車が、Ⅲのモンスターの脚を引きちぎった。
「ああっ!」
「Ⅲッ!!!」
Ⅲの悲鳴が上がった。
既にゼロになったはずのライフを超えて
2100のダメージがⅢを襲う。
Ⅲの体が吹き飛ばされて、後ろの壁に激突する。コンクリに頭を強く打ち付けて、ぐったり動かなくなった。
「Ⅲッ!!」
「オイ、Ⅳ! なにやってる! やめろ!」
凌牙はⅣの腕を掴んで、捻りあげた。
弟に危害を与えたⅣは
伏せた顔の下で
────わらって、いた。
「……ッ!? Ⅳッ!?」
Ⅳは、制止する凌牙の腕を振り払うと
腕を高く掲げた。
ダイレクトアタックのサインだった。
「────ッ!!」
「ファイナル、ダンス───」
「Ⅳッ‼︎ やめろ‼︎ 目ぇ覚ませ‼︎」
「すりーッ!!」
すべてがスローモーションのように動いた。
Ⅲを庇って前に出た遊馬が、両腕を広げる。
ジャイアントキラーの鞭が、振り上げられる。
遊馬が、固く目をつぶる。
凌牙は咄嗟に、体勢を低くしてⅣに飛び付いた。
タックルを受けたⅣが地面に引き倒されて
遊馬を襲ったジャイアントキラーが、寸前でノイズと共に消えていく。
固く目をつぶった遊馬は、襲ってこない衝撃に恐る恐る目を開けて
Ⅳは、凌牙に引き倒されたまま、目を見開いて、愕然としていた。
「オレ、今、なにして……?」
「すりー! 大丈夫か⁉︎ しっかり!」
「ッ⁉︎ ミハエル⁉︎」
Ⅳは真っ青になって飛び起きて、ぐったりした弟のもとへ駆け出した。
Ⅲは頭を押さえて「いたたた…」と首を振った。
遊馬とⅣが揃ってDゲイザーを外すほどだった。
ARビジョンが、中途半端にノイズを残して消えていく。
「悪りぃっ、ここまでするつもりじゃなかったんだが」
Ⅳはすっかり動揺して、右往左往して弟を助け起こした。
Ⅲはめまいを抑える仕草をして、眉間を抑えながら健気に笑った。
「だいじょうぶ……ごめんね遊馬、びっくりさせて」
「大丈夫か……? 保健室いくか?」
「いや、病院に……!」
「大丈夫です兄さま、ちょっとビックリしただけです。そんな顔しないで」
「あ、ああ……」
Ⅳは目眩を起こしたように、顔の半分を覆って、頭痛を堪えるような仕草をした。
「疲れて、たのか…? 悪かった。ミハエル、遊馬も」
「オレは大丈夫だけど……Ⅳ、顔色悪いぜ」
「そうだね、帰りましょう、兄さま」
「そう、だな」
凌牙は、そんな遊馬とⅢとⅣのやり取りを。
少し離れた所で、一歩も動かずに見ていた。
凌牙だけが目撃した、Ⅳの不自然に歪んだ笑みが、目に焼き付いて離れなかった。
凌牙は、Ⅳが立っていた場所を振り返った。
ヤツがドローしたはずのカードは、いつの間にか消えていた。
【第二歌:囲 め】
かごめ、かごめ────……逃さない。
「ちっ、嫌な雨だな」
濡れそぼった前髪を払いながら、凌牙は軒先でごちた。
纏わりつくような重苦しい雨だった。けぶって前が見えない。バイクを軒先に停めたまま、凌牙は雨が上がるのを待っていた。
「妙な胸騒ぎがしやがる」
ポケットが震える。浸水を免れたDゲイザーが、着信を伝えていた。
表示された珍しい名前に、凌牙は眉間を寄せた。
「……Ⅲ?」
『凌牙ッ!』
着信を取った途端、Dゲイザーからあふれた悲鳴じみた声に
凌牙は、嫌な寒気を感じた。
『兄さま、そっちに来てない!?』
ザァザァ ザァザァ
「ん〜ふふ、かぁごめ、かごめぇ……かぁごのなぁかのとぉりぃはァ……」
失踪したⅣを
家族が探し回っていた。
Ⅳは、雨の中でカゴメ唄を歌って踊っていた。
びしょ濡れの雨の中、凌牙は立ち塞がる。
パシャンッ、と水たまりが高く跳ねた。
「Ⅳ……」
濡れそぼった前髪の下から、凌牙は低く唸った。
「見つけたぜ。……何してやがる。こんなところで」
まるで道化のように、雨の中を踊るⅣは
とても正気とは思えなかった。
凌牙など眼中に無いように、気狂いのように歌いながら立ち去ろうとするⅣに
凌牙は、雨を払うように鋭く唸った。
「逃がさねえ。逃がさねえぞ、Ⅳ」
デュエルディスクが素早く展開する。
雨の中、緑の数字が、雫と共に舞い落ちる。
Ⅳが、うっそりと肩越しに振り返った。
雨に濡れた前髪の下、表情は見えない。
「何があったか知らねえが、てめえはこんな所にいるべきじゃねえ。帰れよ、てめえの場所に」
家族が総出で探している中
意にも介さずに
雨の中、狂ったようにステップを踏む
凌牙の双眸が、雨の中、煌めいた。
「てめえは俺が、ここで止める」
Ⅳがゆっくりと、カードを掲げる。
そのカードを見て、凌牙は動揺した。
「なっ……その、カードは」
何もかも覆う激しい雨の中
Ⅳが口許だけで、ニタァと笑った。
ザァザァ ザァザァ
凌牙は、血塗れで倒れていた。
雨とともに足下まで流れる赤い色に、クリスもミハエルも戦慄した。
「兄さま……」
ザァザァと降りしきる雨の中、雨粒が赤いペンキを押し流していく。
凌牙は伏せたまま動かない。
雨の中、歪な歌声だけが響いていた。
かぁぁごめ かごめ
────逃がさない。

そこに残るのは雨音だけだった。
血を流して倒れた人影は、三人。
ミハエルは口から赤い血糊を流したまま動かない。クリスは長い髪を泥に浸したまま顔を上げない。
動かない。誰も。
雨音と、血の流れる鉄の臭いだけが、そこにある全てだった。
泥に伏せた指先が、ピクッと動いた。
「……みと、め……ねえ……」
血を流す腹を押さえながら、雨の中、凌牙は幽鬼のように立ち上がった。
「かはっ」
水たまりの中に、血反吐がべちゃりと落ちる。
ヒューヒューと細い息が鳴る中で
凌牙は、紅く発光する片目を、細めた。
「みとめ、ねえぞ……Ⅳ……」
てめえがこんな所で、家族を害して消えるなんて。
【神代凌牙は何度でも甦る】
酷い雨の中だった。
立て続けに搬送された重体の患者に、ハートランド総合病院は、騒然としていた。
雨音を裂いて、足音が駆け込んで来る。
「シャークッ! Ⅲッ!!」
病院の休日玄関を、勢いよく開け放って、濡れ鼠のまま遊馬と小鳥が飛び込んだ。
ポタン、と点滴が落ちる。病室の白いベッドの脇に立ったカイトが、重々しく遊馬を振り返った。
「来たか、遊馬」
「シャークたちが襲われたって……!? なぁ、どういうことだよ!?」
「うるせえ……頭に響く……」
のっそりと、頭を押さえた凌牙が、白い病室の中から青白い顔で起き上がった。
腕には点滴がされていて、顔色は悪く、青を通り越して紙のように白い。
「シャークッ!!」
「腹を少し縫っただけだ、これぐれえ、……っぐ……」
「動くな。傷は塞いでも血は回復せん」
カイトの制止を受けて、凌牙はすぐにまたベッドに沈み込んだ。
激しく息が上がっていて、貧血で動けないのだと遊馬にも一目で分かった。
遊馬に身を寄せながら、小鳥が不安げにあたりを見回した。
「ねえ、璃緒さんは? シャークがこんなことになって、璃緒さん……」
「……璃緒は……」
「隣の病室で寝ている。輸血にだいぶ血を使ったからな」
凌牙に代わって、カイトが事務的に答えた。
「輸血?」
「下手に他人の血を入れてはどんな副作用が出るか予測できん。バリアライトで蘇生したコイツらの体は未知数だ」
だから、同じ条件の、双子の妹の血を使って手術をしたと、カイトが端的に状況を結んだ。
「凌牙 は出血したまま、相当の時間、雨に打たれていた。危険は脱したが重体だったことには変わりない。当分は動けんだろう」
「ぐっ……」
頭を片手で押さえた凌牙が、悔しげに蒼白でベッドの上で身じろいだ。
「それに、後の二人の方が重症だ」
「……! ⅢとVは!?」
「手術中だ。トロンが手術室の前についてる」
緊迫した厳しい横顔に、遊馬も小鳥も、何かひどく恐ろしいことが起きているのだと分かった。
小鳥が、恐る恐る、といったふうに、カイトを見上げた。カイトはグッと眉間にシワを寄せた。カイトの苛立ちを示すように、組んだ腕を指先が繰り返しノックする。
「本来、明らかな他害、傷害事件が疑われる救急要請は、警察に情報が行くことになっている。だが、今回ばかりは情報を秘匿せざるを得なかった。そのために俺がここにいる。父の息が掛かった医者に担当させているが、いつまで誤魔化せるか……」
「どういうことだよ!? シャークも、Ⅲも、Vも、誰にやられたんだ!? なんで警察に内緒なんだ!?」
「Ⅳだ」
カイトの声が、よどんだ病室に、重く落ちた。
「Ⅳにやられた。凌牙も、Ⅲも、クリスもだ。Dゲイザーに映像が残っている」
遊馬と小鳥が息を呑む音が、無言の病室に重たく落ちた。
「Dゲイザーの映像は、Ⅳが、違法に衝撃制限解除されたデュエルディスクで、凌牙たちを限界まで痛めつけるものだった。こんなものが出回れば、デュエルチャンプのタイトルは即剥奪、それどころか殺人未遂で刑務所行きだろう」
「そんな……! 何かの間違いだ! ⅣがシャークやⅢたちに、そんなことするわけねえ!」
「分かっている。正気だったとは思えない。オービタルに解析させた。見ろ」
カイトが掲げたデバイスから、空中にモニターが表示された。
狂ったように笑うⅣの背後に、何もない闇から、Ⅳの両頬をそっと包むような、白い手がぬっと伸びた。
一瞬、映った映像。そこに記録された作り物めいた美しい横顔に、遊馬が息を呑んだ。
「ドンサウザンド……!?」
「に似ているが、よく見ろ。女だ」


Ⅳの高笑いが長く尾を引いた。
映像の中で、ガシャン、とDゲイザーが落ちて、画面が割れる。
ジジッ、と画像はノイズを残して消えた。
「コイツが、シャークたちを……!?」
「人間でないことだけは間違いない。何らかの脅威が迫っている。Ⅳは、そいつに操られたと見ていいだろう」
「じゃあ、早くⅣを見つけて止めねえと……!」
「わかっている。だが、行方も目的もわからん。次に襲われるのが一般人なら、さすがに俺も庇い立てできん。だが……」
Beep‼︎ Beep‼︎
警告音が、カイトの端末から発された。
『カイトサマ! 現れたでアリマス!』
「Ⅳか!?」
「どこだ!」
オービタルが転送した座標は、凌牙たちが見つかった場所から程近い、埠頭だった。
「んふ、かぁごめかーごーめー」
壊れたオボットが、バチ、バチ、と帯電して、動かなくなった。
破壊されたおびただしい数のオボットが、屍の道のように累々と積み上がっている。
命令に従って足止めを試みたオボットたちは皆、無残に破壊されていた。
機械の残骸でできた屍の道を、歌いながら、踊りながら、Ⅳは歩いていた。
けぶるような雨の中。
オボットたちの残骸の前に、バシャッと水たまりを勢いよく蹴って、二人分の靴が入ってくる。
カイトと遊馬がその場に到着したのは、Ⅳが姿を消してしばらく経ってのことだった。
「くそっ……! 逃がしたか!!」
「ギョアー! オイラの兄弟たち!」
武装したオボットで取り押さえようとした痕跡だけが残ったまま、オボットたちは機能停止していた。
ジジ、ジジ、とむき出しの配線から電気が走って、感電の恐れのある危険な一帯となっている。惨状を見た遊馬は息を呑んだ。
「大変だ、オボットたちが……!」
「馬鹿ッ!! 触るな! 通電したら助からんぞ!!」
オボミを知る遊馬は、凄惨な現場を黙って見ていられなかったのだろう。
慌てて膝を折ろうとした遊馬を、カイトが引っ掴んで、鋭く制止した。
「オービタル!」
「ハッ! カシコマリ!」
オービタルがその場から動かず、腕を伸ばして、オボットたちの残骸からそおっとメモリを取り出した。
その場で解析を始めたオービタルが、空中に捜索範囲のマップを表示する。カイトがそれを見て睨んだ。雨が激しい。視界が効かない。
「まだそう遠くには行ってないはずだ、このまま追うぞ!」
『────遊馬ぁ!』
病院にいるはずの小鳥から入った割り込み通信。慌てて通話に出た遊馬は、パッと空中に表示された小鳥の泣き出しそうな顔に、「どうした!?」と叫んだ。
『それが……!』
小鳥が、Dゲイザーのカメラをずらした。
引き抜かれた点滴だけが、ぷらん、と浮いている。
そこには、もぬけの殻となった、凌牙のベッドが映っていた。
「はあ、はあ……!」
凌牙が、人のいない裏路地で、塀に手を突きながら、這うように、ずる、ずる、と前に進んだ。
行く手を阻む雨は、ますます酷くなるばかりだった。
───凌牙 を見張っていろ、いいな!
『ごめんなさい、璃緒さんが目を覚まして、ほんの少しそっちに行ったら、その隙に…!』
「あの馬鹿……!」
小鳥に肩を貸されながら、璃緒が青い顔で画面に映り込んだ。
『凌牙を止めなくては……! わたくしも今からそっちに……!』
「馬鹿者、冷静に状況を考えろ! ミイラ取りがミイラになる気か! 今襲撃されたら最も危険なのは凌牙じゃない、意識不明のⅢとクリスだッ!」
『……!』
「トロンと合流してそこを離れるな! 凌牙 は俺たちが回収する、いいな!?」
カイトが叫んだのと、オービタルが「ビビッ!」と首を伸ばしたのは同時だった。
「カイトサマッ!! 反応検出でアリマス!!」
「どこだ!?」
パッと空中に表示されたモニターカメラに
雨の中で向き合う、凌牙とⅣが映っていた。
「シャーク!!」
「くそっ、ひと足遅かったか……! 追うぞ!」
『きゃあっ!』
繋がったままのDゲイザーから、悲鳴が上がった。
ハッとした遊馬が「小鳥!?」と振り返った。
闇の中からぞろぞろと現れる、黒い影。
歪な人の形をした黒いナニカが、ぶわりと噴き出すように、病院の廊下に湧き出ていた。

『な、なにコレ……!?』
『ダメ、小鳥さん、下がって!』
『璃緒さん……!』
「小鳥!? ……小鳥ぃ!!」
通信がノイズにまみれ、ブチ、と不自然に途絶えた。
ザザーッと画面に砂嵐しか映さなくなったDゲイザーに、遊馬が必死に「小鳥ーッ!!」と呼びかけた。
「カイト、小鳥たちが!!」
「……どうやら、俺たちにも客らしい」
はっ、と遊馬は振り返った。
オボットたちの残骸の中から湧き出るように
豪雨の中、闇色の影が、じわ、じわと滲み出していた。
オボット達の物だった破片やネジや千切れたコードが、ブルブルと震え始めた。
まるで生物のように、うぞうぞと一つに寄り集まっていく。
それは、青い馬のようなナニカだった。
Ⅳが好むギミックパペットを彷彿とさせる、人形の寄せ集めみたいなそれは、まるでキメラのように、歪な姿でわなないた。
「コイツら、小鳥たちの所に出た……!?」
じり、と後ろに下がった遊馬が、踵を返して走り出そうとして、急ブレーキをかけた。
一体、二体、三体、四体。キメラじみた歪な馬が、遊馬の行手を塞いだ。
「こっちにも…!?」
「三ヶ所同時襲撃…!」
ギリ、とカイトが歯を噛み締めた。
「……デュエルディスク、セット!」
カイトがデュエルディスクを高く放り投げた。
月型のデュエルディスクが、ブーメランのように影を切り裂く。
地面に落下したネジやボルトが、カランカランと高く音を立てる。だが、またすぐに、じわじわと動き始めた。
持ち主の腕へ戻ってきて素早く展開したディスクに、カイトが眉間の皺を寄せた。
「手応えがなさすぎる。目的は、足止めか……!」
カイトはまなじり鋭く、オービタルが空中に表示したスクリーンを振り返った。
画面の中で、凌牙が青白い顔で、必死にⅣに叫んでいた。
「なら、敵の狙いは……!」
「カイト、あれ!!」
遊馬が指さした先に、カイトが顔を跳ね上げた。
オボットの残骸が集まって、歪な塊を形成していく。
カイトや遊馬の身長をはるかに超えた、スクラップでできたキメラの化け物が、のっそりとコチラを向いた。
てっぺんのオボットの顔が、半壊したままこちらを見た。
「────オ、オオオ、オソウジ、オソウジィィィイイ」
「ギャー!!」
その恐ろしさに、遊馬とオービタルが同時に悲鳴を上げた。
「っ!! 跳べッ!」
カイトが叫ぶと同時に地を蹴った。
遊馬を脇に抱えるようにタックルする。紙一重、ドスンッ、と重い音が叩き付けられた。
遊馬がいた場所は、スクラップの残骸が振り下ろした歪な腕で、コンクリがクレーターとなっていた。
振り返って、カイトが遊馬を小脇にかかえたまま舌打ちした。
「あと二秒遅かったら潰れていたな」
「ひえっ」
遊馬が青くなって、カイトの脇を逃れて跳ね起きた。
背中をすり合わせるようにして、カイトが遊馬と並び立つ。
オボットの残骸を無数に取り込んだ黒い闇が、ゾワゾワとひしめき合って、再び遊馬たちを見下ろした。
「チッ、このまま戦うか……!?」
「でも、小鳥たちを助けに行かねえと!」
「わかっている! くそっ、だが……!」
その時だった。
雨の闇夜の中を、ぶわっと金色の光が照らした。
キン、と高い音が響く。
「えっ!?」
遊馬が、金色のペンダントを握りしめた。
まばゆい光が遊馬の手の中であふれた。
「皇の鍵が、光ってる…!?」
光が、ビュン、と雨を裂いてまっすぐ飛んだ。
閃光が、病院の方向と真逆に伸びていく。
それと同時に
カイトの腰のDゲイザーに、ピピッ、と通信が入る音がした。
「…………っ」
カイトがつかの間、迷うように目を閉じた。
アッシュブルーの瞳を、再び開いた時には、既に
カイトの眼に、決意が浮かび上がっていた。
「……遊馬、ここから離脱しろ。凌牙を追え」
「でも、小鳥たちが!!」
「手は打った、ここは任せて行け! オービタル!!」
「カ、カシコマリ!」
オービタルが飛行形態に変形して、遊馬を抱えてブワッと飛び上がった。
足下で小さくなっていくカイトに、慌てて遊馬が「カイトッ!?」と手を伸ばした。
カイトは振り返らず、デュエルディスクを展開しながら、一喝した。
「仲間を信じろ。元凶を叩け!!」
闇と残骸の化け物が、高く飛び上がるオービタルに向けて手を伸ばす。
それを切り裂いて、一閃、カイトが吼えた。
「キサマの相手はこの俺だ!」
着地して、カイトが口角をフッと引き上げた。
ドローの一閃が、月もない闇の中で銀に輝く。
「さあ、懺悔の用意はできているか!!」
上空で、遊馬が
雨の中を、縫うように飛んでいく。
「小鳥……妹シャ、Ⅲ、V、トロン……カイト……」
遊馬は、まばゆく光輝く皇の鍵を握りしめ、唇を噛み締めて目を閉じた。
耳に、カイトの声がこだまする。
────仲間を信じろ、元凶を叩け!!
遊馬は、自分の両頬をバチッと叩いた。
「かっとビングだ、オレ!」
先も見えない豪雨の中。
遊馬は、まっすぐ前を睨んで、目を逸らさなかった。
「行こう、Ⅳを止めに! シャークを助けに!」
オービタルに抱えられたまま、遊馬は嵐のような雨の中を飛んだ。

「くっ……!」
「璃緒さん!」
小鳥を庇って、既に璃緒はボロボロだった。
裾は裂け、手の甲には切り傷、肩に血が滲む。ぐらりとふらついた璃緒を、小鳥が慌てて支える。小鳥が泣きそうに言い縋った。
「ダメ、璃緒さん、逃げて…!」
「いいえ、ここで私が引けば、この奥には…!」
廊下の突き当たりはオペ室だった。手術中のⅢとVを思い、小鳥が息を呑んだ。
「くっ……!」
璃緒が奥歯を噛み締め、頬の血を拭いながら立ち上がる。
二人の前に立ち塞がったのは、首の無い歪な巨体だった。
廊下の天井に肩を擦り付けながら、璃緒に向かって大きなハサミのような刃物を向ける。
ギミックパペットが寄せ集まったような、歪なナニカ。見慣れた何かが巨体の中でうごめく。あのハサミは、シザーアームだ。他にも、ハンプティダンプティ、ギアチェンジャー、ナイトジョーカー。
Ⅳが好んで使うモンスターを寄せ集めてキメラにしたみたいな、巨大な化け物だった。
だが、あれはⅣの意思じゃない。
璃緒は唇を噛み締めて力を振り絞った。Ⅳのモンスターが、璃緒に凶刃を向けることはない。決して、もう二度と。
氷を模したデュエルディスクを、ザン、と鋭く構えた。
「ミハエルさんたちのもとには行かせませんわ…!」
振り上げた指先が、氷を纏って冷たく激しく叫ぶ。
「いきなさい、リオート・ハルピュイア! アーム・フリージングッ!」
吹雪が吹き荒れる。振り下ろした氷の鎌が、一刀両断、モンスターの巨体を切り裂いた。
落ちた腕が、派手な金属音を立てて散る。
不気味な人形が寄せ集まったような巨大の腕から、廊下に散らばった刃物は、だが、再び震えて、ひとつの塊に戻っていった。
「くっ……! これではキリがありませんわ…!」
「璃緒さんっ! 足元ッ!」
「っ!! きゃあ!!」
小鳥の声にハッとした璃緒は、反応が遅れ、悲鳴が高く響いた。
足元が破裂するみたいに、無数のハサミが飛び出して、璃緒の素足を切り裂いていく。
無数にできた浅い裂傷に、璃緒がガクンと両膝を折った。
「しまった、脚が……! 立てな……!」
「璃緒さんっ!」
攻撃の矛先が、小鳥に向いた。
血まみれの脚を引きずりながら、璃緒が必死に手を伸ばした。
「小鳥さんッ! しまっ……! 逃げてっ! 上ッ!」
「え……?」
無数の人形の塊でできた、化け物の刃物の腕が
小鳥の真上で大きな影を作った。
スローモーションのように世界が流れていく。
あんなものが直撃すれば。
ヒュ、と小鳥の喉で空気が悲鳴を作った。
璃緒が絶叫した。
「小鳥さんッ!!」
攻撃は無情に振り下ろされた。
衝撃が、低く響いた。
舞い上がった塵埃の中から、影がゆらめく。
「ハッ! オイオイオイ、怪我した女に寄ってたかって」
ポタ、と血が一滴、床に落ちた。
小鳥が、おそるおそる、そっと目を開けた。
炎のような橙の髪。
広く大きな背中が、小鳥を襲った攻撃を、腕一本で、見事に受け止めてみせていた。
「そいつはちょいと、見逃せねえノリだぜ! なあ!」
キンッ、と炎のデュエルディスクで振り払うように刃を弾き返す。
「ガハハ! 間一髪、ってかぁ!?」
「あなた……! ゴーシュ!?」
目を見開いた小鳥の肩を、背後から叩いたのは、しなやかな女性の指先だった。
「下がって。貴方もこっちに」
「えっ、ドロワさんっ!?」
「貴方たち、どうしてここに…!」
傷だらけの璃緒の脚に、そっと上着が掛けられる。
素早いドロワの手当てに、璃緒が大きく目を見開いた。
「ゴーシュ・ザ・スターマンただいま参上! ってな!」
ゴーシュが、小鳥と璃緒を振り返って、腕で軽快にちからこぶを作った。
二の腕をパシッと手で押さえる豪快な仕草に、空気が緩む。
「仕事で来日しててな、カイトに呼び出されてみりゃあこのザマだ」
「カイトが…!」
「ったく、相変わらず、人使いが荒いノリだぜ!」
「カイトの要請を受け、我らはこの戦いに参戦する」
巨大な敵を前に、怯むこともなく
すらりと並んだゴーシュとドロワに、戦況の風向きが変わったのがわかった。
「さぁて、ひさびさに腕が鳴るぜ!」
「ここは私たちが防衛する。何人 も通さない」
ゴーシュとドロワが、背中合わせに、デュエルディスクをザッと構えた。
二人のドローが、風を巻き起こす。
「さあ、どっからでも掛かってこいや!」
「これ以上は進ませない。貴様たちはここで止める!」
▼to be continued
薄暗い廊下に、『手術中』の赤いランプだけが点滅していた。
ジジッ、と蛍光灯が揺らぐ。
翠 の小さな背中が、スッと立ち上がった。
「クリス、ミハエル。そろそろ行くよ」
背後に、闇の手のひらが迫る。
一閃、闇は切り裂かれて、散り散りとなった。
「あの子を迎えに行かないと」
短剣を模したデュエルディスクが、音もなく仕舞われる。
「そう、迎えが遅れるといちばん拗ねるのは、いつだってあの子だったね」
祈るように、静かに手のひらが、胸に置かれる。
「次に戻る時は、あの子も一緒だ。約束するよ、クリス、ミハエル」
固く閉じられた手術室の扉は答えない。
重い沈黙だけが、そこにある全てだった。
「だからキミたちも約束しておくれ。決して僕らを置いていかないと」
カチ、と『手術中』のランプが消える。
見送りがいない出立は、静かだった。
「不甲斐ない父だが、今行くよ、トーマス」
カツン、と靴の鳴る音を最後に、薄闇には誰もいなくなった。
◇ ◇ ◇
雨の中を切り裂くように飛ぶ遊馬に、オービタルが突如警告した。
「後方、15m、未確認飛行反応アリ! 追手でアリマス!」
「追手!?」
激しい雨粒の中を目を凝らしたその時だった。
何もないはずの闇の中から、歪な腕がヌッと這い出して、ブンッと振りかぶった。
「ガッ!」
飛ぶ遊馬の背中に衝撃が襲った。
背面のジェットバッグに、亀裂が入る。
「ギョアー! エンジンをやられたデアリマス!」
オービタルが悲鳴を上げて、警告音が響き渡った。
「緊急着地! 緊急着地! ギョアー!」
ぐらっ、とオービタルの船体が激しく揺れた。
ぐるん。重力が消失して
天と地の向きが分からなくなって
その一瞬で、遊馬は、空中に投げ出された。
「トンマッ」
「オービタルッ!」
オービタルの腕が伸びる。遊馬が手を伸ばした。
オービタルのアームの先がかすって、掴み損ねた遊馬の腕が、ぐんと遠退いた。
「ひっ」
はるか上空から、命綱なしで投げ出された。
ヒュッ、と遊馬の喉が、声にならない悲鳴をあげた。
この高さで激突したら助からない。
「ト、トンマーッ!!」
急激に近付いてくる地上で
巨大なハサミを携えたキメラが、落下する遊馬を待ち構えていた。
「────ッ!!!」
ぶつかる。
落下した遊馬が、目を固く閉じた。
その時だった。
「どぉぉぉぉりゃああああ!!」
蹴りの一撃が
一閃、モンスターを派手に蹴り飛ばして
褐色の両腕が、遊馬に向けて両手を広げた。
ドサッ、と受け止められる。
おそるおそる目を開けると、そこには。
落下した遊馬を横抱きにして、アリトが笑っていた。
「天使が空から落ちてきたな」
「アリト!」
「遅くなって悪りぃ! 助けにきたぜ!」
▼to be continued
二の腕で遊馬の背をガッチリ支え、笑いかけたアリトに、遊馬がホッと肩の力を抜いた。墜落を免れた安堵で、遅れて冷や汗がドッとあふれる。
「た、助かったぜ、アリト…!」
「油断するのは、まだ早そうだぜ!」
アリトが上空を睨んだ。
遊馬の後を追って、無数のハサミが寄せ集まったような化け物が、ぞわぞわと蠢いて、雨の中を降り注ぐように追ってくる。
素早く着地したアリトが、グッと踏み込んで、遊馬を抱えたまま再び跳んだ。
「ギラグッ!」
「任せろ! ウオオオオオオ!」
ジャイアントハンドの巨大な手のひらが、アリトと遊馬を庇って、盾になる。
突進してきたバケモノは、巨大な手のひらで地面へバチンと押し潰された。
ズザザザ、と地面に靴を擦り付けながら、化け物と距離を取って着地したアリトが、遊馬を解放した。
遊馬は素早く体勢を立て直し、アリトに訴えた。
「アリトッ! シャークが! カイトも!」
「カイトの助太刀には、ミザエルとドルベが向かってる!」
それより、とアリトは、遊馬が握りしめた皇の鍵を見た。
遊馬の手の中で皇の鍵は、あふれんばかりにまっすぐ光り輝いていた。
行手を指し示すように。
「元凶を叩かねえと、キリがねえみたいだな…!」
ジャイアントハンドの手で押し潰されたキメラの化け物が、うぞうぞと再び寄せ集まっていく。
化け物は向き合うギラグを無視して
再び遊馬に向けて、攻撃が飛んだ。
「遊馬ッ!」
アリトが攻撃をすかさず蹴り上げた。ぱらぱらと地面に崩れ落ちた残骸が、磁石でくっつくみたいに再び腕を形成する。
遊馬を腕で庇いながら、アリトは睨み上げた。
「ヤツら、遊馬を狙ってやがる…!」
「狙いは、鍵か!?」
「わからねえが、どうやらこの光の先に行かれたらマズイらしいな!」
雨雲を切り裂くような金色の光は、遊馬の手の中でどんどん光を増していた。
指し示す方向を封鎖するみたいに、キメラの化け物は立ち塞がっている。
キメラが歪に戦慄いた。
「アアアアアアアァァァァァアアアアアアア」
ビリビリと響く咆哮に、不協和音に、アリトもギラグも遊馬も両手で耳を塞いだ。
「くっ」
「ぐあっ」
夜闇の水たまりの中から、うぞうぞとキメラじみた歪なバケモノが湧き出し始めた。
ハサミの刃と刃がぶつかり合うみたいに、カシャカシャと耳障りな音がする。四方八方に湧いてくるその気配に、アリトが遊馬を背に庇いながら舌を打った。
「ちっ、囲まれた……!」
一刻も早く先を急がなければならないのに。
このままでは先に進めない。
鍵が指し示す彼方へ、仲間のもとへ、元凶の潜む先に駆け付けられない。
遊馬は唇を噛んだ。
「どうしたら……!」
その瞬間、遊馬の耳を、どこかから、キンと高い響きが貫いた。
………ぅま……ゆうま……遊馬……
「アストラル…!?」
遊馬はハッと虚空を振り返った。
「アストラルが呼んでる…!」
遊馬のその言葉を聞き、矢面に立つギラグと、遊馬を庇うアリトが、素早く目配せする。
「…!」
「……ッ!」
アリトが、遊馬のそばを離れて素早く前に飛び出した。
ギラグと背を合わせるように、連携攻撃で道を拓こうとする。
「遊馬ぁ! 先に行け!!」
「ここは俺たちで食い止めるからよぉ!」
「!! アリト!? ギラグ!?」
だが、行手を塞ぐように、攻撃が激しくなる。四方八方の攻撃を捌くだけで精一杯の二人は、雨粒を払いながら唇を噛んだ。
「くそっ、俺たちにバリアンの力が使えりゃ、ワープで一発だってのに…!」
ニンゲンとして再誕した人の身では、かつてのような力は使えない。
口惜しげにアリトがほぞを噛んだ。
その時、月の見えない雨雲の空から、落下する一撃が
一番大きなキメラを、鮮やかに一刀両断した。
ナンバーズ104、マスカレードマジシャン。
死をもたらす、ベクターのモンスターが。
すた、と着地し、気だるげにポケットに手を突っ込みながら立ち上がった、黒ジャケットの背中。振り返ったニタリとした口元に、遊馬は表情を明るくした。
「ベクター!!」
「よかれと思ってただいま参上! さぁて、お届け物ですよっとぉ!」
ベクターが軽く放って手の中で遊ばせたのは、ブレスレットだった。
赤色の宝石が輝く、ヒビの入った──……
「! それ、IIIの……!」
「病院からかっぱらって来た。どうやら奥の手の出番らしい」
攻撃を凌ぎながら、アリトが目を剥いた。
「ベクター!? なにする気だ!?」
「はぁ〜、どいつもこいつもバカ正直に、正面突破に一点集中! ちったぁ頭を使えよ」
こめかみをトントンと突いてニヤリと、ベクターは笑った。
「さぁて遊馬くん。ここで問題だ。てめえは鍵の指し示す先へ行きてえ。だが四方八方敵だらけだ。どうすべきだ?」
「え!? え…え!? えっと、えっと……みんなで協力して……!」
「はぁい、ざんね〜ん! 不正解! バァァァカ!」
舌をれろれろ伸ばし、百面相で思いっきり遊馬を馬鹿にしたベクターが、空を貫くように高らかに嘲笑した。
「物事にはなぁ、〝裏技〟ってモンがあるんだよ! たとえばこんなふうに────なあ!」
カッと目を見開いたベクターの手の中で、IIIのブレスレットが光を放つ。
天を貫くような光が、ぶわり、ベクターになだれ込む。ベクターの額に、IIIの紋章が浮かび上がる。
ベクターが手の中の赤い宝石を、バキッと砕いた。
「……!? ベクター!?」
「はっ、お忘れですかねェ! ちびっ子パパに力をやったのが、いったい誰だったかってことをよぉ!」
紋章の光の濁流が、まるで元に戻ろうとするみたいに、ベクターへと雪崩れ込んでいく。
ゴウ、と唸りを上げる力の奔流。鮮やかに額に浮かび上がった紋章。
蛍火のような燐光を全身に纏いながら、ベクターは両腕を広げて満足げに自分を眺めた。
「ハッ! 元の力の万分の一にも満たねえが……馬鹿一人飛ばすぐれえなら、余裕だろ!」
パチンッ!とベクターが腕を伸ばして指を鳴らす。
ぽっかりと口を開けたワープホールが、遊馬の前に拓けた。
遊馬はパァッと表情を明るくして、「ベクター…!!」と振り返った。
ベクターはニヤリと口角を吊り上げた。
「鍵の反応を頼りにちょいと空間を捻っただけだ。言っとくが、どこに繋がってるかは分からねえぞ。ちょっとばかし無理やりこじ開けたからなァ」
スッと紫の瞳を細めて、ベクターが表情を消した。
「帰りの保証もねえ。それでも、テメエは」
ベクターがその続きを舌に乗せる前に、遊馬はベクターの両手をパッと掴んだ。ぐっと額を寄せた遊馬の赤い瞳の中に、ベクターの紫水晶の瞳が映り込む。至近距離で遊馬は叫んだ。
「オレは! お前が作ってくれた、道を信じる!!!」
「…………知ってんだよ」
すれ違うように、ドンッと遊馬の背を押したベクターを、満足げなその表情を。
振り返ることなく、遊馬はダークホールに身を投げた。
「………かっとビングだ、オレ!!」
遊馬は、ダークホールの中に突入した。
「Ⅳ! てめえ、正気に戻りやがれ!」
凌牙の叫びも虚しく、Ⅳは歪に笑うだけだった。
激しい雨粒が、横殴りの風が、全身の体温を奪う。
何時間も雨に降られたⅣの唇は紫色で、血の気の引いた唇を歪に吊り上げて嘲笑 っている。意志の無い人形みたいな動きだった。
糸に吊られたような不自然な動きで、だらりと手首を垂らしたまま、Ⅳが腕を上げた。
その瞬間、見えない衝撃波が凌牙を襲った。
「!!!
雨粒がゴウと唸りを上げて、吹き飛ばされる。
「ガハッ」
見えないかまいたちが、次々と凌牙の頬を傷付ける。刃物でズタズタにされたみたいな切り口が、裾にも、脚にも、目を庇った腕にも広がって、紫の服を無惨に切り裂いていく。
コンクリに背を叩きつけた凌牙は身を起こそうとしたが
ぐらん、と貧血が目を回させて、平衡感覚を失わせる。
歪んだ視界がまともな焦点を取り戻した時には、既に凶刃が迫っていた。シザーアームを模したらしき鋏が、一直線に凌牙の喉仏を狙う。ヒュ、と凌牙の喉が鳴った。
「……!!」
キィン!
と刃物が弾かれる音がして、折れたハサミが、地面に突き刺さった。
凌牙とⅣの間を遮断するように広がったのは、目に見えない透明なシールド。
紅く発光して、凌牙を凶刃から救ったのは、四つ棘の囲いの中に目玉を思わせるような渦が描かれた、紋章だった。
「! これ、は」
「無策で飛び込むのは、無謀だよ」
カツン、カツン。
耳が痛いほどの雨の中、闇の中から静かに近付くその靴音は、妙に響いて聞こえた。
金髪 の三つ編みが、雨を吸って揺れる。
凶刃を受け止め、凌牙を護った紋章のバリアを手の甲に携えながら、トロンがそこに現れた。
「そういうのは勇気とは呼ばない。蛮勇と呼ぶんだ」
視界が効かない風雨の中、ザッと地面を踏み締めたトロンは、闇を──正確には息子の背後にいる『ナニカ』を睨んだ。
「なにか『居る』ね?」
叩き付けられたコンクリから、凌牙がふらふらと身を起こす。隣にトロンが黙って並んだ。息子に向けて腕を突き付けたトロンが、闇を睨む。
四本の短剣を連ねたようなデュエルディスクが、その腕に現れた。
「あの子を止めよう。想いは同じだ」
酷く静かな怒りが、小さな背から陽炎のように滲み出している。真っ直ぐ前を睨んだままのトロンに、凌牙が口角を歪めて「ハッ」と鼻を鳴らした。
「まさか、てめえと組む日が来るとはな」
ヒビの入ったDゲイザーが片目にセットされて、空から緑の数字が降り注いだ。
セカイが決闘者のために塗り替わる。
仮面を外したトロンの左眼から、紋章が紅く輝いた。
デュエルフィールドを覆うように広がった紋章のバリアが、パリンと雨風を遮断して弾いた。
「トーマスには悪いが、少し痛い目を見てもらおう。背後に居る何者かを引きずり出す」
「ハッ、手ぇ緩めるんじゃねえぞ」
「こっちのセリフだよ。……気を緩めたら、一瞬で首を刎ねられるよ」
▼to be continue

「Ⅳ体目ギミパペ」の派生パラレル:かあさま次元
黒鷺さんが、ふれれらの長編作品「Ⅳ体目ギミパペ」から作ってくれた三次創作「かあさま次元:リトルレオ」というものがありまして!
その設定をさらに逆輸入してふれれらが書いてみた作品群が「かあさま次元byふれれら」!
平和が訪れたあと、Ⅳ体目ギミパペ戦の名残がⅣを巻き込んで、Ⅳが敵の手に落ちて、狂って狂って狂って、凌牙やトロンたちに牙を剥く話。
洗脳によってe・ラーを「かあさま」としどけなく呼ぶ狂ったⅣが大変よかれなシリアス作品。
e・ラーの手のもと「ⅢやVを家族を殺しかける」Ⅳという図が発生したり
「狂ったⅣ vs 凌牙・トロンタッグ」「凌牙を庇って息子を託して倒れていくトロン」という好カード
何よりヤバいのは
「e・ラー・Ⅳ vs 凌牙・ドン千」
という超絶ドリームマッチが発生すること!
e・ラーの目的はドン千ないしドン千の力を継いだ凌牙(海の神官)
アニメ版と漫画版の両方の設定を継いだドリームマッチをお楽しみに。

原案:Ⅳ体目のギミックパペット(ふれれら)
草案:Ⅳ体目かあさま次元(黒鷺)
協力:デュエル構成(イヂュイ)
挿絵:かあさまとⅣ(オミコ)
Presented by fure-rera