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嵐の後に

全体公開 1 1401文字
2021-02-27 15:51:12

28日(日)夜

Posted by @Alcod_s

―――事件から二日と半分

都内のとあるクラブに警察が一斉摘発をかけたことが大々的にニュースになっていた。クラブ周辺を警察関係者が包囲し、中の客も売人もオーナーも全て逃がさぬように大掛かりな大捕物をしたらしい。
お陰様で、こちらには何の目も向かなかったわけで。


「持つべきものは契約相手ってねェ。あ、電話」


ヴッ
短くバイブの鳴る音
スマホを手に取れば表示される名前


「はい、もしもしー」


電話向こうから聞こえるのは、開口一番大きな声で。


『どうなった!?』


なんのことだろう?」


本当は全部知っている。
無許可ではあれど彼に監視を割いたし、後を追わせて救出も叶った。
同時に現場にいた加害者達の無事も後から確認が出来、殺傷沙汰にはならずに済んだものだ。
人間を14人も片付けて、血みどろの床を洗浄、不自然にならない程度に汚れている床と同じように加工を施した写真がビフォー・アフターで送られてきた。
倉庫内の機材から資材から全て解体・廃棄をしてくれた裏の業者には、感謝感謝の言葉しかない。
当然、それに伴い支払わなければならない報酬もこちらへ課せられてしまったけれど、大事にしている子が無事だったのなら、それで結果オーライではないか。

電話の向こうで声が詰まるのがわかった。
そうだ、彼は相棒に宣戦布告だけをして、こちらにはなんの情報も齎さなかった。
しかし、彼は契約相手ではないため、黙って突っ込んだところで咎められるものでもない。

今回彼にも降りかかるだろう負債を考えれば、契約を結ぶという手もあるのだろうが


「何か、やらかしたのかなァ。全部話してごらん?」


……っ、おぼえて、ない


完全に覚えていない、という音ではない。
本当に記憶にないところもあるのだろうが
突入した時点で意識が混濁状態にあったのだ、逆に覚えていられた方が困る。


「じゃあ、どこまでなら覚えてる?」


ん゛……
息を呑むような、詰まった声が聞こえた。
嘘のつけない子だなァと笑いながら、今回使った金額の領収と睨めっこ。


「久しぶりに会って話そうか。君の顔も見たいしね?」


場所はいつもの拠点でいいだろうか。
意識が回復して会話ができているのなら足腰にはなんの問題もないだろう。
薬の反動で約一日眠った後、麻酔を施し、睡眠薬を点滴投与して、居候宅へ送還。
その後の治療や看病を家主に任せて丸一日強制的に寝かしつけた。
家に帰して意識回復までの間に何があったかは知らぬ存ぜぬだが、体力の回復は出来ただろう。



『わかった、いく』


けが人に無体を働くつもりはないが
しおしおとした彼の返事に密かに笑って


「おっけー、じゃあ、君の都合の良い日に」


連絡をくれれば迎えにも行こう。
彼に待ち受けているのはおそらく、懇懇としたお説教と重ね連ねられる心配の声。
反省しているからこその声色だったのか、再び「わかった」との言葉と共に通話が切れた。





「さて、俺はもうしばらくお仕事だなぁ……





男の一日は仕事仕事で更けていく。

明日は平日、仕事もあるので呼び出しを受けたとしても対面出来るのは夕方以降となるだろう。



樒(保護者)視点へ つづく>>
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