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比翼の鳥 その3

全体公開 965文字
2021-08-26 08:54:34

その2
https://privatter.net/p/7837588
その4
https://privatter.net/p/7845095


「……なんか、お前の書く矢代サン、初々しすぎね? だいぶ本人から感じる印象と違うんだけど……ア、まさか、お前の前ではソウなの?! それ、ギャップ萌えで面白すぎるんだけど!!」

……」

 百目鬼に送った第一稿に真っ赤に修正が入った原稿用紙を見て、久我は盛大に吹き出した。

 見るな、とか、触るな、とか!!

 絶対に矢代サンは言わねえだろ、と思っていたが、案外コイツの前ではそうでもないのかもしれない。

 百目鬼に素肌を見つめられて恥じらう矢代もだ。とても、他人の情事を何度もデバガメしようとした男と同一人物とは思えない、と、久我は思った。ウッカリ現場に出くわしてしまったら、腹を抱えて笑い転げる自信はある。

 なんせ、あの、シャクるだのオナるだの、口をひらけばシモネタしか出てこないような人が、だからな。

 ヤバ、それ、超絶見てみてえ〜〜!!

 大体、それをわざわざ赤入れまくって直す方も直す方だ、と思う。
 よっぽど、お初んとき抵抗されたんか、百目鬼。

 それも、あの矢代サンの性癖考えたら、メチャクチャ意外だけどな! カワイソ!

「お前こそ、この文章、本当にお前が書いたのか……? なんだか、ものすごく意外なんだが……実は文学少年だったとか……?」

 百目鬼が苦し紛れに話題を変えると、久我は表情の豊かな口元を尖らせて言った。

「意外ってなんだヨ、失礼だな! ……なーんつって、実はご明察! 土台は俺が書いたけど、細かい文章の表現なんかは店の常連のコがかなり手入れてくれてさ。お前と矢代サンの写真見せたらノリノリで書いてくれたわ」

……客に、見せたのか……(汗)」

「いーじゃん、本出たら絶対買うって約束してくれたし!」

「それを我々二人のサークル名義で出版するのは詐欺なんじゃないか……?」

「Special Thanksでその子のペンネームも出すってことで話ついてるから問題ねえよ。で、次の章だけど」

 久我は、カウンターから身を乗り出して口を百目鬼の耳元に寄せ、小声で囁いた。

「その子が言うには、次は流れ的に、お前か矢代サンのどっちかのソロシーンにすべきなんだってさ! で、どっちにする?」




その4に続く
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