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2020年~2021年に聞いた10曲+αの話をするよ

全体公開 4 23802文字
2021-12-21 00:39:31

 こんにちは。2021年の年の瀬となりました。去年は10曲そろえることができずこの企画はやらなかったのですが、去年の分と合わせましてこの2年間に聞いた曲10曲+αを取り上げて、振り返っていこうと思います。

 ちなみに前回のはこちら↓
「2019年に聞いた10曲+αの話をするよ」
https://privatter.net/p/5330879

 よろしければ今回もお付き合いください。








◆1.Viva! Spark! トロピカル~ジュ!プリキュア/Machico(2021年)




 2021年に放送中の「トロピカル~ジュ!プリキュア」の主題歌です。トロピカルという言葉がタイトルに用いられているように、今作は放送時期が冬になっても登場人物みんな半袖を着ているほどに暖かい南国の町が舞台となっています。曲もカリプソやサンバ的な楽曲でとても楽しい(楽曲の正確なジャンルは私にはよくわかりません)。後期OPではプリキュアメンバーであるトロピカる部も楽曲に参加してにぎやかになっていてさらに楽しさアップしています。

Viva! Spark! トロピカル~ジュ!プリキュア with トロピカる部
https://open.spotify.com/track/40fSB1cnKX4iLqW616RUBW?si=621917a37c624d98

 「トロピカル~ジュ!プリキュア」は南国の町が舞台で、物語は主人公の夏海まなつが海の中の王国グランオーシャンから来た人魚のローラと出会うところから始まります。グランオーシャンはあとまわしの魔女たちによって襲われて危機的状態にあり、陸に暮らしている人間にプリキュアになってもらって力を借りなければならない。その仕事を、ローラは任されたのでした。
 今作はコロナ禍の閉塞感を吹き飛ばしてくれるような明るさと楽しさがある作品で、毎週元気がもらえます。明るく楽しいギャグ多めの作品なんですが、でもそれだけではなくて、登場人物たちの過去の悲しみとか未来の不安とか、そういうものに向き合う作品でもあります。ギャグとシリアスの塩梅がすごく良い。

 「トロピカル~ジュ!プリキュア」の作中でも歌のモチーフが使われています。人魚のローラは歌が上手という設定なんですが、今のところ確か1回しか歌っていません。お昼の放送で人間になれるようになる前のローラが歌います。それが次の動画の「なかよしのうた」です。




 ただ、ローラの歌の放送のときにちょうど敵が襲ってきて、まなつたちは戦いに行ってしまったので歌を聞くことはできませんでした。その後ローラは相応のステージじゃないとという感じでもったいぶって歌ってくれていないのです。自信家で目立ちたがりなローラらしいですね。まなつたちがローラの歌を聞ける日はいつになるのでしょうか……??
 このことに関して、気になることが2つあります。1つは、ローラは思いの力で人間となりプリキュアの力を手にすることができましたが、あとまわしの魔女たちとの戦いを終えてグランオーシャンに帰るときには、地上での記憶が消されるかもしれないということが示唆されているということです。これはグランオーシャンの決まりで、過去に人間と交流した人魚たちはみな記憶を消されていたのでした。ローラは実は幼いころに地上に行って、幼いまなつと会ったことがあったのですが、そのことも忘れてしまっていたのでした。
 記憶が消されることについて、ローラは拒否を示していますが、どうなるかは分かりません。この点に関しては、現在示唆されているまなつたちよりもっと昔に存在したプリキュアとあとまわしの魔女との何らかの関係が関与してくるかもしれないと期待しています。
 気になるもう1点は、「トロピカル~ジュ!プリキュア」の映画の内容に関することです。映画の中でまなつたちは、シャンティアという王国の女王シャロンの即位の式典に招待されます。シャンティアは妖精や魔法がある不思議な雪の王国でした。グランオーシャンの次期女王を目指しているローラはシャロンと意気投合し、シャンティアの歌を教わって指輪をもらいました。で、戴冠式が行われ、祝賀の式典が行われるのですが、シャロンは参加者たちを帰らせようとせずに閉じ込めてしまったのです。女王は招待した客人たちをシャンティアの新たな国民としようと考えていたのでした。シャンティアの新しい女王こそ、プリキュアとして戦う相手だったのです。
 なぜ女王はそのようなことをしたのか。実はシャンティアは大昔に隕石の落下により滅亡してしまっていて、シャロンはその唯一の生き残りだったのです。隕石が持っていた不思議な力が今になってシャロンを復活させたのでした。祖国は滅び、生き残ったのは自分だけ。シャロンは何もかも失っていたのです……
 個人的に思うこの映画のすごいところは、家族も祖国も国民も全てを失ったシャロンの悲しみや怒りに対して、まなつたちは何らかの説得を試みたり慰めの言葉を投げかけたりはしなかったということです。まなつたちがしたのは、ローラがシャロンから教わった歌を歌ったことだけでした。家族や祖国など、大切な何かを失った悲しみや怒りに対して、何らかの言葉でもって埋め合わせをするということは個人的には不可能だと思っています。できることといえばその怒りや悲しみそれ自体に向き合ったり寄り添うことだけなのではないか。まなつたちの歌はそういうことをしたんだと思います。
 そしてこの映画が持つもうひとつの大事なメッセージが、国や人は消えたとしても、歌は残るということでした。まなつたちはシャロンから教わったシャンティアのその歌を、映画の最後に町のイベントステージで歌いました。歌は残る。誰かが歌い続ければ、歌が生まれた場所やその歌を歌っていた人のことは消えない。映画はこういうメッセージを送ってくれたように思います。そしてその歌は映画のエンディング主題歌として流れ、私たちの中に残る。この歌が残ることで、映画を見た私たちの中にシャンティアとシャロンもまた残り続けるのです。歌は歌い継がれることで残るということは、私がずっと思っていたことだったので、大好きな作品からそうしたメッセージが送られたことはすごくうれしいことでした。




 プリキュアの映画はだいたい秋ごろに公開されますが、その物語はそのシリーズそのものの結末を予感させるような何かがあったりします。たとえば「スター☆トゥインクルプリキュア」では、映画オリジナルキャラクターであるユーマとの別れを通して、ひかるとララの別れを予感させます。で、「トロピカル~ジュ!プリキュア」の映画からは、私は歌は残るということを感じました。つまり、最後にまなつとローラが別れることになったとしても、歌は残るということです。その歌こそ、まだまなつたちに聞かせていないローラの歌です。このように予感しています。
 これはただの予感ですから、ハズレるかもしれません。「トロピカル~ジュ!プリキュア」は基本的には明るく楽しい作品なので、グランオーシャンの記憶が消されるというルールや別れそのものを吹っ飛ばしてくれるかもしれません。いやむしろそうなってくれ…… まなロラ永遠に仲良しでいてくれ……
 「トロピカル~ジュ!プリキュア」も40話を超え、もうエンディングが近づいています。終わってしまうのが寂しいですね…… 「トロピカル~ジュ!プリキュア」は私の好きな人魚の物語でもあり、毎週笑顔と元気をくれてすごくすごく大切な作品になりました。ローラが大好きです。








◆2.白い沿線/AiRBLUE(2021年)




 声優育成ゲームの「CUE!」から1曲です。「CUE!」は興味があったのですが、スマホの容量に余裕がなく、買い替えたりして余裕が出たらインストールしてプレイしてみたいと思っていたゲームでした。そんな風に考えてプレイを先送りしていたら2021年の春にゲームのサービスは停止することになってしまいました。残念だし、もっと早くプレイするべきだったと思っています。
 「CUE!」はゲームこそやっていませんでしたが、音楽はけっこう聞いていました。2020年のSpotifyのMy Top Songs1位は「MiRAGE! MiRAGE!!」でしたし、2021年では6位が「白い沿線」でした。2021年の1~5位は全部声優ソングでしたので、キャラクターが歌うものとしてはトップです。「CUE!」は素敵な楽曲がたくさんあって、今回取り上げる1曲もどれにするかかなり迷いました。

 選んだこの「白い沿線」は、「CUE!」が季節ごとに発表していた季節シングルの冬版のカップリング曲です。冬ソングというと、やはりクリスマスソングが強かったり、冬のイルミネーションを歌うような、夜のイメージが私の中では強いのですが、この「白い沿線」は雪が積もった街の昼間の景色が浮かんできます。日光に照らされた雪はきらきら光って、いつもより明るく見えるんですよね。冬の寒さの中にそうした明るさが感じられてすごく好きです。
 この曲は、新人声優というキャラクターたちの下積みの時代を春を待つ冬という季節として、また夢が叶う春の季節へと続く道を雪の積もった街の中の電車の線路として描いていているのが巧みで、その上でそんな下積みの時間である冬の季節を「こんなにも純粋に今を頑張れるこの予感/どんなことよりも嬉しくて嬉しくて」と歌う素晴らしさがあります。冬ってやっぱり厳しい寒さとか春まで耐えるとかそういうイメージがあったので、冬ってこんな風に表現できるんだ!と感動しました。
 こうやって春という夢の叶う季節に続く冬の時間を肯定しつつ、しかしサビの終わりは「夢を線路に沿って並べた/咲かないかなって眺めた」とちょっと突き放した感じになっていて、夢に向かっていく高揚感から冬の時間に戻ってくる感じがあって、曲もここの部分は抑えた感じになっていて目の前の冬の寒さが感じられてすごく好きなところです。
 作詞作曲は渡辺翔さん、編曲は倉内達也さんで、私はどうやらこの人たちの作る楽曲が刺さりやすいようです。麻倉ももさんの「Agapanthus」もこのお二人でした。

 「CUE!」の季節楽曲の中では「私たちはまだその春を知らない」も好きです。「CUE!」は季節のとらえ方にセンスがありますよね。




 年が明けて2022年の1月にはアニメの放送が決まっており、こちらもすごくすごく楽しみにしています。








◆3.またまたまたまたまた明日/舞桜・栞 from STARRY PLANET☆(2021年)




 2021年1月から放送されたアイカツシリーズ最新作「アイカツプラネット!」から1曲です。「アイカツプラネット!」の曲の中で個人的イチオシなのがこの曲。ファンキーなサウンドに乗って「またまたまたまたまた明日」って歌う楽しいサビが特徴的なおしゃれな楽曲です。つい歌いたくなっちゃいますよね。アイカツシリーズのおしゃれ楽曲の魂を受け継いでるって感じがします。
 作詞作編曲は佐伯youthKさん。アイマスの「I'm so free」とかシンデレラガールズの「とんでいっちゃいたいの」の人ですね。おしゃれでポップな楽曲をよく作っていて、この方が作ってると注目して聞いてしまいます。

 「アイカツプラネット!」はアニメも筐体のゲームも今までと作風を一新していて話題になりました。本作は基本的にアニメに分類されると思いますが、半分は実写ドラマになっています。本作の世界にはアイカツプラネット!と呼ばれるバーチャル世界が存在していて、アイドルはそのアイカツプラネット!に入って(ミラーインして)その中でライブを行います。日常生活はドラマパートで、アイカツプラネット!内部はアニメパートで描かれるという風になっています。ドラマに出演する人がアニメパートでも声優として演じており、こういう二重性がアイカツスターズまであった声優を歌唱担当と分ける感じを別の形で受け継いでいるような印象を受けます。
 アイカツプラネット!でのライブは2人1組で行うことになっており、デュエットでステージを行うんですが基本的にそれは1対1の勝負として行われます。アイドルはドレシアと呼ばれる妖精の力を借りて自分のステージドレスを完成させ、それをスイングという正方形のカードとして所持し、ステージではパフォーマンスの完成度のほか、そのスイングどうしの力比べで勝負が行われます。

 で、この「またまたまたまたまた明日」ですが、この曲は第10話、主人公の音羽舞桜(おとはまお)にとって重要な局面で歌われた歌です。それは舞桜がやっているアイドルハナのファン感謝祭という場であり、そして同時に、自分は陽明咲(ひなためいさ)からハナを受け継いだ2代目のハナであるということをファンに公表することを決めた場でした。一緒に歌うシオリ(本谷栞)は、舞桜のことを誰よりも知っている幼なじみです。このステージはバトルではなく、数少ないユニットステージとして行われました。
 実を言うとこの曲が作中で初めて流れたのはステージの場面ではなく、同じエピソードのドラマパートの中でした。舞桜はファン感謝祭について学校で栞と話していたのですが、この段階では自分がハナであることを公表するのはまだ先のことになっていました。で、舞桜はアイカツプラネット!のカードを気付かないうちに落としてしまって、友人の敬斗に舞桜がハナであることがバレてしまいます。この敬斗は、周囲も知っているハナの大ファンで、ハナが陽明咲ではないということを知ってショックを隠せません。舞桜は敬斗の反応を見て、自分がハナだと知ったらファンはどう思うだろうかと不安になります。舞桜はこの不安を栞たちに打ち明け、励まされます。そしてファン感謝祭で自分がハナであるということを公表しようと決めたのでした。
 ファンに公表することを決めた後、舞桜がファン感謝祭に向けて走り込みなどのトレーニングを始めるところが描かれます。そこで印象的に流れていたBGMこそ、「またまたまたまたまた明日」のインスト版だったのです。視聴者側としては、すごいいいBGMだな~と思ってたらステージで同じイントロが流れ出して、あれはこの曲のインスト版だったのか!ってなるわけです。演出がにくいですね。
 で、このインスト版が流れるトレーニングのシーンで、敬斗がたまたますぐそばを通りがかります。敬斗は一生懸命トレーニングを行う舞桜の姿を遠くから見て、その顔に微笑みを浮かべました。この敬斗の表情がマジで絶妙で、こういう微妙な表情で心情を表現することができるのはドラマの強みだと思います。「アイカツプラネット!」見て! マジで見てほしい…… 幼なじみの栞がアイドルを目指すエピソードとか激アツでまさにアイカツって感じだよ……

 「またまたまたまたまた明日」のほかにも、昭和アイドルっぽくてかわいい「レディ・レディ・レディ」や、スチールパンが使われてて軽快で楽しい「キラリ☆パーティ♪タイム」(エンディング主題歌)も好き。














◆4.Eat Sleep Dance/犬吠埼紫杏(2021年)




 電音部から1曲です。2021年に一番聞いた電音部の楽曲だったと思います。ダウナーなテンションの曲と歌声がツボにハマりました。初めて聞いた時からスッと心に入ってきたんですよね……
 この曲の歌声は個人的に超好きな部類です。歌声自体も好きだと思うんですが、たぶんダウナーな感じに加えて全体的に低めな音程が好みにハマってるんだと思います。歌声を好きになる要素の中に、好きな音程ってありますよね。
 この曲、ポップなEDMでありながら全体的にダウナーなところがよくて、「結局は滅んでいく世界」とか「この世は美しい幻」って極論めいたふうに歌いながら、「後悔はないわ」とか「運命の時踊ってたい」って歌うところもなんだかカッコいいですよね。なんか私の個人的な主観で申し訳ないんですが、曲も歌詞も歌声も、気取ってないというかカッコつけてない感じですごく好きです。今年はよくちょっと疲れた帰り道とかに聞いていました。あとジャケットのイラストもかわいくて超好きです。

 この曲のトラックメイカーのMoe Shopは以前から名前はなんとなく知っていたのですが、この曲で初めてちゃんと認識しました。興味を持ったのは、Spotifyのページに載っていたプロフィールに「they/them」と書かれているのが目に入ったから。they/themという風に主語目的語の代名詞をプロフィールに載せるのは、自分を代名詞で指すときに用いてほしい代名詞を提示することで、自分のジェンダーアイデンティティを示す方法です。heやsheではなく、3人称複数形のtheyで自分を指してもらいたいっていうのは変なんじゃないかと思われる方もいるかもしれません。この場合theyは単数形として用いられるもので、比較的新しい用法として知られています。これは、heやsheといった男女の二元的な性別のどちらにも属さない人を指す場合に用いられるのです。このことをふまえると、Moe Shopはジェンダーアイデンティティが二元的な性別のどちらにも属さない人なんだなと思って、それで興味を持ったというわけです。
 実際Moe Shopのツイートを検索してみると、自分は「enby」であると言っているツイートがありました。この「enby」というのは「Non Binary」の頭文字をとった「NB」のことだそうです。「Non Binary」(ノンバイナリ)という言葉は知っていましたが、それを「NB」「enby」と呼ぶことは知りませんでした。
 Moe Shopのツイッターを見ていると、6月のプライド月間にツイートもされています。そのツイートでは、Moe Shopが作曲し、SEIJという方が作詞して歌った「Identity」という曲がシェアされていました。この歌はジェンダーアイデンティティに関するもがき苦しみ(struggle)について歌ったものだということです。SEIJさんは、「Eat Sleep Dance」についてMoe Shopと共作曲していますし、歌詞も書かれていた方だと気がつきました。




 Moe Shopのことをこうしてちゃんと知ったとき、私がもともと好きでいたアニメソングとかそういうジャンルに近いところにいる作曲者にジェンダーに関するマイノリティを公表している人がいるっていうことがなんだか心強く感じられてすごく元気が出たんですよね…… というわけでこれからもMoe Shopは個人的に要チェックな人になりました。

 電音部はキャラクターをもっと知っていると楽曲をもっと楽しめるらしいんですが、四コマ漫画とか小説とかあるらしく、気が付かないうちに展開していて情報が追えてない感じになっています。とりあえず今は楽曲だけでも楽しもうと思っているところです。
 今年の後半は、電音部が毎週新曲をリリースしていたので、SpotifyのRelease Raderのカバーがずっと電音部でした。「Eat Sleep Dance」を聞いたのもそれがきっかけだったと思います。今年の新曲ではほかに、アキバの東雲和音の「トアルトワ」、アザブの「twilight」「Love me harder」をよく聞いていました。「twilight」の曲を作っているのがTomgggで、この人は声優ユニットのharmoeの曲を作ってる人だったので、この人の作る曲はたぶん好きなんだと思います。今年はTomgggも要チェックな人になりました。「Eat Sleep Dance」とも電音部とも関係ない話になってしまいますが、イノタク、Tomggg、かめりあの3人が曲を作るという「Princess Letter(s)! フロムアイドル」の展開も楽しみにしています。








◆5.雪・月・風・花/幽谷霧子(2021年)



(当該楽曲は動画の11:07から)


 「アイドルマスターシャイニーカラーズ」のアイドル、幽谷霧子の初のソロ曲です。シャニマスは基本的にはユニット単位での活動となるので、3年目の後半になって初めてソロ曲が発表されることになりました。
 幽谷霧子はシャニマスのアイドルの中では、私にとっては飛びぬけて重要な存在です。ですからどんなソロ曲が来ることになるのか、期待を抱くのと同じくらい不安な気持ちがありました。どんな系統の楽曲になるのか、歌詞には何が描かれることになるのか。そんな期待と不安の入り混じった気持ちの中、ソロ曲の作曲者が公開され、そこにrionosさんの名前を見たとき、私は正直に言うと勝ちを確信しました。

 rionosさんといえば、Sound Cloudで聞くことができるオリジナル楽曲にも表れているように、新居昭乃や保刈久明に名前が連なるような幻想的な楽曲を得意とするアーティストです。こういう系統の音楽は幻想浮遊系と呼ばれているんですが、私はこの系統の音楽が大好きで……

https://soundcloud.com/rionos

 rionosさんの提供曲の中では、上田麗奈さんの「海の駅」がもともと大好きで。声優ソングの中でもトップクラスに好きです。




 こういう背景があってrionosさんは私の好きな楽曲を作ってくれる人っていう認識があったので、霧子の楽曲を提供してくれるということが分かったときにこれは名曲が来るに違いないと思えました。で、果たしてその期待は現実のものとなったのです。

 「雪・月・風・花」はヨーロッパの民族音楽のような感じの音楽で、自然や街の中のあらゆるものが立ち現れてくるような幻想的な1曲になっています。音楽のジャンル的には最初はアイリッシュなのかと思ったんですが、rionosさんによればスコティッシュとのこと。バグパイプの音色も聞こえてきていますよね。
 夢がモチーフによく現れてきたり、植物や小さな物に語りかけたりする霧子という人物と、こうした幻想的な楽曲は相性が抜群に良いですし、楽曲の持つあたたかさも霧子にぴったりです。
 歌詞については実際に曲を聞くまで不安はあったんですが、そこで歌われていたことは私の中の霧子のイメージに近くてそれも嬉しいものでした。歌詞の内容に関しては以前文章を書いたことがありますし、霧子読解に足を踏み入れることになるのでご興味のある方はそちらの方をご参照ください。

「霧子ソロ曲「雪・月・風・花」の話。」
https://fusetter.com/tw/lXeza1pu#all

 この「雪・月・風・花」は、リリースが2月でしたが1年間を通してずっと聞き続けた曲になりました。そして同時に、今年一番聞いたアイマスの楽曲だったのではないかと思います。1年間を通して繰り返し聞いても、耳が慣れてしまうというか飽きてしまうというかそういうことがぜんぜんなく、聞くたびに楽曲の良さを味わうことができる特別な楽曲だったと思います。それはこの曲が霧子という私にとって特別なアイドルが歌っているからだけでなく、楽曲自体の持つ力が大きいだろうと思っています。霧子にこの曲を作ってくれたことがすごく嬉しい。
 今年聞いたアイマス曲として「雪・月・風・花」に続くのは、おそらく杜野凛世の「常咲の庭」とアルストロメリアの「ダブル・イフェクト」です。アイマス楽曲の中ではシャニマスの曲を多く聞いた年となりました。








◆6.nth color/天羽ジュネ(2013年)

https://open.spotify.com/track/78gs44bb3EqF7on2uqfLVy?si=3118c3decd874a06

 2021年は「プリティーリズム」3部作と「キングオブプリズム」と「プリパラ」を一気見する夏を思わず過ごすことになりました。プリティーシリーズの楽曲を取り上げること抜きに私の2021年を語ることはできません。今年は、ポケモン、ドラクエ11、プリティーシリーズの3作の年になりました。
 というわけで「プリティーリズム・レインボーライブ」から、プリズムスタァ天羽ジュネの歌う1曲です。YouTubeに公式動画がなかったのでリンクはSpotifyのものです。

 この歌を歌う天羽ジュネは、プリズムクイーンとしてプリズムスタァたちのトップの座に君臨している存在です。人呼んでジュネ様。「おジャ魔女どれみ」のおんぷちゃんを演じた宍戸留美さんが声を演じていて、その声と演技がジュネ様のクイーンとしての圧倒的な存在感と、神秘的でどこか危うげな雰囲気を顕現させています。この「nth color」の歌にも、その圧倒的な存在感と神秘的で危うげな感じが表れているように思います。
 ところでプリズムスタァというのは、プリズムショーを行う演者のこと。プリズムショーはフィギュアスケートがモデルになったアイドル的なステージのことで、アイドル的でありつつ競技として確立していてスポーツ的な要素がかなり濃いものです。そのプリズムショーの大会(女子大会)で優勝した存在こそ、プリズムクイーン。「レインボーライブ」は同一世界の続き物だった前2作「オーロラドリーム」「ディアマイフューチャー」とは異なる世界のお話なので、「レインボーライブ」におけるプリズムショーやプリズムクイーンの定義は前2作とはちょっと異なりますが、だいたいこんな感じです。
 で、そんなプリズムクイーンのジュネ様は長らくプリズムショーを封印していたのですが、やっと人前で披露したのがなんと32話。作中のファンたちも視聴者も待ちに待ったジュネ様のプリズムショーです。そしてそこで流れたのがこの曲。圧倒的女王感。

 この曲とジュネ様のプリズムショーの背景にはジュネ様の強い思いがあり、その中身は物語が進むにつれて明らかになっていきます。そしてそれが分かってくるほど、この曲が美しく、また危うげな魅力を放つものとして聞こえてきます。詳しくは「レインボーライブ」を見終わった後に書いた私の文章があるので、そちらをご参照してください。

「ジュネ様の話。」
https://fusetter.com/tw/gjdFGyPX#all

 マジでジュネ様思いが強くてまっすぐで、でもその思いが強すぎるあまりに危うげで、すごくかわいくて素敵なんですよ…… 見てほしい…… 「レインボーライブ」を見てほしい…… ジュネ様の圧倒的に美しく君臨するプリズムショーを見てほしい…… 「レインボーライブ」は前作とは繋がってなくて単体だけでも見られるから、いきなり見ても大丈夫ですよ。

 プリティーシリーズを一気見して本当に良かったと思っています。見始めたのはなんていうか衝動的な行動だったんですけど、本当に見てよかった。最初の興味としては、二次元女性アイドルコンテンツの大きな一角としての興味だったんですが、見たおかげで広がった場所はすごい楽しい空間でした。「プリティーリズム」については見終わった後に感想を書いたりもしました。

「プリティーリズムについてのささやかな感想」
https://privatter.net/p/7898667

 もともと抱いていた印象に対して、実際に見てみて初めて分かったことがあります。1つは、「プリパラ」と「プリチャン」は別として、「プリティーリズム」は必ずしも「アイドル」の物語ではないということです。すでに書きましたが、「プリティーリズム」において行われるパフォーマンスはプリズムショーであり、そこに立つのはプリズムスタァです。面白いのは、プリティーシリーズの公式アカウントなどでも、キャラクターのことを指すときに「アイドルやスタァ」などと書かれているところです。徹底されている……
 そしてもう1つは、思いのほかそれほど音楽コンテンツではなかったということです。「プリチャン」はわりと音楽コンテンツっぽいところがありますが、「プリティーリズム」と「プリパラ」はそこまで楽曲が多いわけではない。年に1枚、サントラとセットでボーカルベストが出るくらいです。しかもその楽曲は、楽曲として独立しているというよりもキャラクターたちの物語に深く関与しています。なので私としては楽曲コンテンツというよりも物語や世界観がまずベースとしてあり、それを描くために楽曲が求められたという印象を抱きました。
 ただ、だからといってアニメを実際に見ないと楽曲が分からないのかというとそういうわけでもありません。楽曲単体もすごく良くて、楽曲単体でもおすすめしたくなるものはたくさんあります。ですので楽曲から興味を持つっていうのもぜんぜんアリだと思います……

 というわけでここではあと2曲だけ、プリティーシリーズから楽曲を紹介させてください。「キラッとプリ☆チャン」から1曲と、現在放映中の「ワッチャプリマジ!」から1曲です。

インディビジュアル・ジュエル/リングマリィ
https://open.spotify.com/track/5V8WFlLFPJ70TjUMuLgEFM?si=0dae9f69673b45f0

 金森まりあと黒川すずの2人のユニット、リングマリィによる楽曲「インディビジュアル・ジュエル」です。金森まりあはかわいいものが大好きな女の子で、一方の黒川すずはダンスが得意なかっこいいものが好きな女の子です。この正反対の2人がユニットを組んで歌ったのがこの歌で、違う個性のお互いをリスペクトして歌うこの歌は本当に感動ものです。2人のライブもかわいいとかっこいいの両方があって大好きです。
 金森まりあはかわいいものが大好きで、あらゆるものをかわいいとして肯定してしまうすごい子です。この子の肯定力はハンパなくて、この子の存在に救われたっていう視聴者もけっこう多いんじゃないかという気がしています。私もその1人で、今では金森まりあはプリチャンの一番の推しになりました。で、そんなまりあとすずの2人がユニットを組むエピソードも本当に本当に感動なんですよ…… 楽曲聞くだけだけでもいいって言ったのに、結局アニメ見てほしい~ってなってしまいましたね……
 「プリチャン」は百合の色がたぶんプリティーシリーズの中で一番強くて、中でもこのリングマリィ結成と「インディビジュアルジュエル」が歌われた2期は相当の百合パワーを発揮しています。まりあとすずの2人だけでなく、主人公のみらいと2期新キャラクターのだいあ、そして顔を合わせるたびにケンカをしてしまうえもとあんな。でも1期から最後まで見ることで味わえる百合もあるので、2期だけで良いですよとはちょっと言いづらい手堅さもあります。
 「プリチャン」は今振り返って思うと、友達って何だろうとか、自分と違う相手をリスペクトするにはどうしたらいいだろうっていうことを思わせてくれるすごく良い作品でした。基本的にギャグ路線が強くて楽しく見られるのもポイントです。私はどっちかというとギャグ多めの楽しい作品が好き。

 もう1曲は「ワッチャプリマジ!」から、主人公の陽比野まつりとみゃむが歌う「マジ・ワッチャパレード」。




 「ワッチャプリマジ!」は、「魔法つかいプリキュア!」みたいに魔法が実在する別世界があって、その別世界の魔法使いと人間が出会うという世界観になっています。主人公陽比野まつりが人間で、まつりが出会ったのは魔法使いのみゃむ。「プリマジ」の世界でのライブステージは、人間と魔法使い(基本的にはマスコットスタイル)が1組になって行うことになっています。人間がライブを行って会場のボルテージを上げ、魔法の力であるワッチャを集め、コンビの魔法使いが魔法を使って演出をアシストするという感じです。ちなみに「プリマジ」でもライブを行うのは「アイドル」ではなく、「プリマジスタ」と呼ばれます。独自の世界観を貫いていて良いですね。
 上の「マジ・ワッチャパレード」は、主人公のまつりと、そのコンビの魔法使いみゃむが歌う曲です。この「マジ・ワッチャパレード」はクールでかっこよく、そしてかわいい曲になっていてすごく好きです。実はまだフルバージョンが出ていません。プリティーシリーズはCDが出るのがけっこう遅いので、プリマジのアルバムも来年になるだろうなと思っていますが、発売を今から楽しみにしています。
 「プリマジ」からEDM系の楽曲が中心になっていてしかもおしゃれ度がかなり上がっていて、個人的に超ヒットしています。弥生ひなの「Starlight」も低音めちゃ強のEDMですし、ゴシック系の心愛れもんの「こんな世界に告ぐ」はAdoの「うっせぇわ」みたいな心の叫びが感じられて、すごく今の時代を感じられるのも面白いところです。








◆7.Märchen Star/近江彼方(2020年)




 「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」から近江彼方のソロ曲です。ふんわりメルヘンな曲ですごく心が癒されます。虹ヶ咲学園の私の一番の推し(というかラブライブ全体で一番)は上原歩夢なんですが、歌声や楽曲の系統という点では近江彼方がすごく好きです。
 この「Märchen Star」は彼方の曲の中でも、曲調と歌声が特に好きな楽曲です。こういうメルヘンな曲調の楽曲はすごく好きです。歌声については、上の「Eat Sleep Dance」のところでも書きましたが、歌声の感じに加えてたぶん音程が好みの帯域なんじゃないかなという気がしています。ささやく感じの息多めの歌声でしゃくりやビブラートがなくて、それでちょっと音程低めの。
 ところで上の動画のステージ、野外ステージで後ろに高層ビルとかの街並みの夜景が見えてすごく綺麗ですね。こういう遠景の夜景がすごく好きなのでこういうところも刺さってしまいました(この文章を書いている今の話です)。スクスタというかラブライブって野外でのステージを上手く使いますよね。場合によってはステージじゃない場所をステージにしたりして。こういうところはプロのアイドルではない、地域に根差したスクールアイドルという存在の表れなのかもしれないなと思います。

 今年は意外とラブライブシリーズの楽曲を多く聞いた年になったなと思っています。私はどちらかというとラブライブシリーズに関してはうまく入門できなかったという印象を抱いていました。初代も「サンシャイン」もある程度はアニメを見てはいたのですが、私のセンサーがうまくキャッチすることができなかったのか、その世界に入っていくことができませんでした。そういうわけで歌もあまり聞かないまま来てしまいました。
 ですが「虹ヶ咲」はアニメの世界に入っていくことができたんです。たぶん今までのシリーズとはアニメ制作のスタッフが違ったからかもしれませんし、一つのユニットとしてではなくソロで活動するという方針が私に合ったからかもしれません。あるいは「虹ヶ咲」アニメの舞台となったお台場付近は私の好きなスポットだったのでそういう気持ちもあったのかもしれません。アイドルではなく、アイドルをサポートする立場である高咲侑というキャラクターがいたのが良かったのかもしれません。何が決め手だったのかは分からないですが「虹ヶ咲」を見たことで、ラブライブシリーズの中に居場所が得られたような感じがしました。
 「虹ヶ咲」関連では、ED主題歌の「NEO SKY, NEO MAP」、上原歩夢の「Dream with You」、近江彼方の「Butterfly」、ユニットのQU4RTZの「Beautiful Moonlight」「Swinging!」をよく聞きました。QU4RTZは彼方の所属するユニットですからやはり彼方の歌をたくさん聞いていたなという印象です。
 また上でも触れましたが、「虹ヶ咲」は舞台をお台場に設定していて、アニメ放送前に発表された「未来ハーモニー」のアニメMVではレインボーブリッジを中心にしてお台場の各所が美しく登場しています。




アニメOPでもいろんな場所が取り上げられていましたし、アニメでのソロ曲でも彼方がヴィーナスフォートの教会広場で歌ったり、璃奈がジョイポリスで歌ったり、エマが日本科学未来館が歌ったりしていました。お台場はすごく好きな場所なので、こうやって登場すると超テンションが上がってしまいます。が、ヴィーナスフォートを含むパレットタウン地区は2021年で営業終了し、再開発することが決まっています。そんな…… 「虹ヶ咲」アニメ2期がこれから放送されるというのに…… 2期ではこのあたりのロケーションがどのように扱われることになるのか楽しみです。

 今年は「スーパースター」のアニメ放送もありましたが、個人的には意外なことに、むしろ「サンシャイン」の方の曲をけっこう聞いていたように思います。Aqoursの「Fantastic Departure!」「DREAMY COLOR」「KU-RU-KU-RU Cruller!」、AZALEAの「トリコリコPLEASE!!」「Galaxy HidE and SeeK」「We'll get the next dream!!!」。
 中でも、「KU-RU-KU-RU Cruller!」と「We'll get the next dream!!!」の2曲は強く印象に残っています。どちらも2021年の曲ですが、どちらの曲もコロナの時代が反映されています。






 「KU-RU-KU-RU Cruller!」は80’sな感じのノリノリのディスコサウンドに乗せて「空はつながってるよ/海はつながってるよ」と歌い始めていて、遠くにいてもつながっているし歌も聞こえてくるということを歌ってくれる。「We'll get the next dream!!!」は、AZALEAのライブがコロナで延期になってしまったことの悔しさが強く歌われています。コロナでライブができなかったり、そもそも遠くの人と会えない時代の中で、こんな風に歌ってくれるのはすごく心強いですよね。こうやって時代に合わせてファンやリスナーの気持ちに寄り添うような楽曲を出してくれるコンテンツの強さを感じますし、尊敬の念を抱きます。








◆8.We Remember/KiRaRe(2020年)




 「Re:ステージ!」から1曲です。「Re:ステージ!」はスマホゲームもアニメも触れないまま来てしまったんですが、ところどころ曲は聞いていました。そこで去年の12月に出会ったのがこの曲。たしかアルバムリリース前にこの曲が先行配信されていて、それで聞いたんだと思います。聞いてみたらすぐに刺さってしまって。曲が力強くて聞きごたえがあるだけでなく、何より「会いたい」という思いを直球で伝えてくるところが、コロナで人に会えない状況に寄り添ってくれて刺さってしまったんです。
 私は毎年大学生のときの友達と春にはお花見をして、夏に花火大会に行き、年末には忘年会をして、場合によっては年越しも一緒に過ごすみたいなことをやっていました。が2020年はコロナでその全部が消えたんです。お花見も花火大会も忘年会も。それで友達に全く会えないままの1年になってしまった。去年の12月、毎年やっていた忘年会も今年はないんだよなと思ったとき、こみ上げてきたんです。寂しいって気持ちが。友達に会いたいって気持ちが。そんな気持ちにこの「We Remember」は寄り添ってくれました。まさか「会いたい」って歌う歌に心を慰められる日が来るとは思ってもみませんでしたが、この歌があってくれて本当にうれしかったです。

 この曲は、Re:ステージのライブがコロナで延期になってしまったことをふまえて作られているようです。曲名の「Remember」というのは「覚えている」という意味だけでなく、Re:ステージのファンを指す言葉でもあるようです。コロナでライブは延期になってしまったけど、私たちは覚えている、絶対にまたリメンバーで再会してライブをやる日を手繰り寄せるぞ!という強いメッセージをファンに向けて歌った歌にもなっているということです。すごい……! なんて心強いんだ……!!
 自分の好きなコンテンツのイベントがコロナで延期になったり中止になったりするのは、仕方ないこととはいえすごく悲しいし残念だし悔しいことです。会えないということ自体の寂しさもありますし、これからどうなるんだろうという不安もあります。そういう中で、絶対にまた会うぞ!というメッセージを、作品としてコンテンツの側がファンに向けて発信してくれるというのは、心の支えになるはずです。Re:ステージはそういうことができるコンテンツなんだなあと感動を覚えましたし、尊敬も抱きました。上のラブライブのところでも同様のことを書きました。Re:ステージはそれを2020年のうちにやっていて、私が観測している中ではすごく早かったので、強く強く印象に残りましたし、Re:ステージのことを詳しく知らなくても、楽曲単体でも寄り添ってくれた楽曲として今でも感謝しています。
 私が一番自分の居場所としているのはアイマスですが、アイマスは2020年が15周年で、その企画を進めることがメインだったのでこういうメッセージがなく、Re:ステージの「We Remember」を聞いて尊敬の念を抱くとともにけっこううらやましさも感じていました。








◆9.Beautiful World/Ray(2020年)




 「ラピスリライツ」の伝説的ユニットRayの歌う「Beautiful World」です。聞くたびに心が湧き立ちます。MVも最高に美しい。2020年2021年のイノタクの楽曲の中ではこの「Beautiful World」が一番好きです。この曲も今年を通して繰り返し聞きました。

 「ラピスリライツ」は魔法があるファンタジー世界が舞台です。この世界では人間は魔獣との戦争状態にあり、魔獣から人間の暮らしを守るために必要になる魔力をアイドルがステージ(オルケストラ)を行うことで集めるという設定になっています。「Beautiful World」を歌うRayは、主人公ティアラの姉が所属していたユニットで、今は解散していますが数々の功績を残して伝説となっている存在です。

 もともと「ラピスリライツ」は曲から入って、それからアニメを放送終了後の一挙放送で見ました。ファンタジー世界観で魔法とアイドルというコンセプトは面白いですし、キャラクターもみんな魅力的です。私としては、何よりも曲が刺さってしまいました。中でも主人公ティアラが属するユニットのLiGHTSが歌う「Your Lights」は宇宙ソングとして本当に素晴らしい楽曲になっています。




 この宇宙規模の世界観とキラキラ感、曲の高揚感と祝祭感は本当に素晴らしくて、私は一気に心をわしづかみにされました。「まだみんな生まれたて 星座の欠片なんだね」とか「星雲のカーテンが/開幕待ってる/舞台は天の川」とかもう本当に最高。こういう宇宙ソングが大好きなんです。
 この宇宙ソングのセンスがイノタクの作る宇宙ソングとけっこう通じてるって感じていたんですよね。たとえば「スクメロ」の「サテライト・ラブ」。




 こういう宇宙ソングが好きだし、宇宙ソングが好きだからイノタクの作る曲が好きっていうのがありました。で、そしたらラピスリライツに曲を提供するって話が飛び込んできたわけです! もうそのときの嬉しさといったら……
 それで公開された曲が「Beautiful World」でした。結果的には宇宙ソングではなかったのですが、美しいMVとともに、イノタクが得意とする高揚感と祝祭感が満載のすごい曲が公開されて、すごい興奮したのを覚えています。
 MVの映像は東京と横浜の夜の風景になっています。ファンタジー世界のアイドルの曲になぜ東京や横浜の映像を合わせているのかは分からないですが、夜の東京や横浜の景色は個人的には大好きなのでそれも刺さってしまいました。映像の中に飛び回っている5色の光が、おそらくRayのメンバーそれぞれなんだろうと思います。こうやって東京や横浜の映像が重ねられることで、この歌が歌う「ビューティフル・ワールド」や「僕らの世界」が、「ラピスリライツ」の世界だけでなく、私たちが住むこの世界のことのようにも聞こえてきます。そこにもこの曲が強く刺さるポイントがあると思っていて、MVの中に映る街の中には人がほとんどいないんですよね。真夜中だから人がいないのかもしれませんが、私としてはどうしてもコロナの緊急事態宣言で人がいなくなった街の姿を重ねてみてしまう。そういう街の姿に対して、「ビューティフル・ワールド」と歌うわけです。
 といっても、この「ビューティフル・ワールド」という言葉は、人がいない街の美しさということを歌っているわけではないと私は考えています。それはこの歌が同時に「喜び 悲しみ 想いあうこと/すべてを/すべてを 奇跡と名付けて」と歌っているからです。この「ビューティフル・ワールド」という言葉の中には、「喜び」だけでなく「悲しみ」もある。そういうものも含めて、「すべて」を「奇跡と名付け」、「僕らの世界はこんなに美しい」と歌うわけです。なのでこの「美しい」は、普通の美の基準を超えた水準にあります。これは「すべて」に対して向けられる言葉であり、いわば世界の存在そのものを「美しい」と受け止めるようなものです。すごい……
 この歌の高揚感と祝祭感は、ドロップからサビにかけてすごい展開を見せていますが、上に貼ったYouTubeのMVのすぐ後の箇所ですさまじいほどにまで進んでいきます。「幻想めいた夢の先を想像してる」「想像はいまどうしようもなく膨張してく」「想像はいま音速を超え/膨張してく/上昇してく」「想像はいまもう僕を超え/膨張してく/上昇してく/想像はほら本当になる/君を照らす/君を照らす」マジでこの箇所ヤバすぎ。想像がどんどん膨れ上がっていって、「音速」を超えて「僕」を超えていく。そしてそれは「本当」になる! その高揚感と祝祭感といったらすさまじく、聞いていてワクワクして胸がどんどん高鳴っていきます。すごすぎる…… ありがとうイノタク……








◆10.First Step/長瀬麻奈(2020年)




 最後は「IDOLY PRIDE」から長瀬麻奈の歌う「First Step」です。前回もそうでしたが、今回もこの曲のことを書きたくてこの文章を書くことを決めました。この文章がいつ公開になるのかはまだ分からないですが、この文章を書き始めたのは12月21日です。頭から順番に書いてきて、ここまでたどり着きました。

 この曲を最初に知ったのは、去年(2020年)の11月だったようです(ツイッターで検索しました)。YouTubeで偶然、田中秀和作編曲の曲があることを知って聞いてみたのが最初です。「IDOLY PRIDE」というコンテンツが始動することは知っていたんですが、ミュージックレインが主体だったということも知っていたので、ミュージックレイン所属ではないはずの神田沙也加さんが演じるアイドルはどんな存在なんだろうということは疑問に思っていました。疑問に思っていたんですが、そんな疑問を吹き飛ばすほどのすごい良い曲で。聞いてすぐに好きになりました。田中秀和さんの作る楽曲が華やかで美しく、さらに歌い上げる神田沙也加さんの歌声と表現力の素晴らしさに惹かれて、何回も何回も聞きました。
 神田沙也加さんは、もともとミュージカルで活躍しているらしいということは知っていたんですが、その演技や歌唱のことは「アナと雪の女王」のことで実際に知りました。たまたま映画館で吹き替えを見たんですが、神田沙也加さんの声と演技と歌が本当に素晴らしくて、演じていたアナのことをすごく好きになりました。アナ本当にかわいかったですよね。明るくて優しくて。
 で、この「First Step」でまた神田沙也加さんの歌の素晴らしさを実感することになったわけです。なんだかこの文章は歌声の話ばっかりしてる気がしますが、本当に素晴らしくて…… 特にこの歌の出だし部分の「心から好き、と思えるものに」の「心から」の部分の発音の美しさは何度聞いても感嘆してしまいます。上で書いたようなタイプの歌声のほかに、発音がはっきりしていてのびやかな歌声が好きだという風にもずっと思っていたんですが、この神田沙也加さんの歌声はその好みにドンピシャっていう感じだったんです。
 長瀬麻奈の楽曲では「星の海の記憶」も本当に素晴らしいですよね。




 ずっと疑問だった長瀬麻奈の位置づけは、アニメを見て知ることになりますが、それはそれは驚きでした。まさか事故ですでに亡くなっていた人だったなんて…… そして幽霊としてアイドルのマネージャーをする主人公のもとに現れているなんて……
 で、それを知って改めて「First Step」を聞いたりMVを見たりすると、ああ……ってなるんですよね…… 知ってて聞くと分かるような伏線が散りばめられている。「First Step」というタイトルも、アイドルとして活動していく最初の一歩というわけで、この歌全体がこれからの希望と予感に満ちている…… なんという…… MVの中の窓の外が空想世界になっているのも思わせぶりっていう感じですし、最後に窓の外が現実の桜の風景になって、そこで初めてこっちに振り向くっていうのもすごく刹那的な感じで…… もうそうやって聞いたり見たりしていると、間奏部分の静けさが本当に本当に愛おしくなってしまうんですよね。ここで時間が止まってくれと叫びたくなるかのような……

 アニメの関連では、「song for you」が非常に印象的でした。「song for you」は長瀬麻奈の歌うはずだった歌ですが、生前は収録がされず、長瀬麻奈が歌唱する音源は残されていません。ですがその歌を、川咲さくらとさくらが所属するユニットサニーピースが歌って世に出すことになります。
 この川咲さくら、実は心臓移植手術を受けた人物です。そのドナーとなった人物はなんと、長瀬麻奈だったのです。さくらは心臓移植を受けてから歌を歌い始め、アイドルを目指すようになります。その歌声はかつての伝説的アイドル長瀬麻奈のものとそっくりだということで話題になりました。さくらは長瀬麻奈の心臓と歌声によってアイドルとして導かれてきたわけですが、最終的には長瀬麻奈の歌声ではなく、自分なりの歌声で歌うことを決意します。ですがその前に、長瀬麻奈が歌うはずだった「song for you」を最後に長瀬麻奈の歌声で歌うことにしたのでした。これを決めるとき、幽霊の麻奈とさくらとの間でやりとりがあったんですが、2人のプライド(!)がぶつかり合って高階に登っていくようなやりとりになっていて、すごく印象に残っています。




 「IDOLY PRIDE」は、伝説的存在の長瀬麻奈の意思を受け継いだり、長瀬麻奈のあまりの輝かしさが生み出している呪縛から解き放たれたりと、そういった部分にフォーカスを当てて物語を描いていました。川咲さくらが「song for you」を歌ったのはその象徴です。
 ところでこの「song for you」、物語世界的にも現実的にも、世に出た最初の「song for you」だったわけですが、「サニーピースver.」って書いてあるんですよね。その後、長瀬麻奈の妹の琴乃が歌ったものも配信されましたが、これにも「琴乃ver.」と書かれていました。世に出た最初の「song for you」はサニーピースが歌ったものでしたが、あくまでもオリジナルは長瀬麻奈のものであるということがここから読み取れて、それも個人的にすごく好きなところです。存在しないオリジナル曲のカバー……
 で、最初に聞いたこのさくらが歌うサニーピースver.、本当に長瀬麻奈の歌声に似ているんですよね…… 長瀬麻奈が歌ったらこんな風なんだろうなって思わされる。さくらの歌声が長瀬麻奈に似ているというのは作中で何度も聞かれていましたが、単なる設定で終わらず実際にこうして聞かされると実感をともなって理解することができます。
 作中世界では長瀬麻奈の歌は収録されていませんでしたが、幸運なことに私たちは長瀬麻奈の歌う「song for you」を聞くことができます。




 初めて「song for you」を聞く方には、ぜひともさくらの歌う「song for you」を先に聞いてほしいと思います。先に長瀬麻奈の歌を聞いてしまうと、さくらの歌を聞いたときに似ているかどうか答え合わせをするようになってしまうはずですから…… 存在しないオリジナルに思いを馳せながら、もしかしたらこんな風だったかもしれないというのを、さくらが歌うサニーピースver.から感じてみてほしいのです。
 存在しないオリジナル音源に対するカバー曲であるさくらが歌う「song for you」が初めて世に出たものであるのに、そこに「サニーピースver.」と書くのは、長瀬麻奈へ捧げられたオマージュであり、その歌を受け継ぐという意志の表れであるだろうと思います。歌っていた人がいなくなってしまっても、歌う人がいるかぎり歌は残るからです。

 最初この記事を書き始めたとき、最後に「First Step」と長瀬麻奈の話をしようということは決めていたものの、どこまで話をするかは迷いがありました。はっきり言って落ち込んでいたし、長瀬麻奈と「IDOLY PRIDE」以外の歌を聞くことができないような状態になっていたのです。ですが、こうやって振り返ってみて少し気持ちが落ち着いてきました。
 神田沙也加さんの訃報を今でもちゃんと受け止め切れているとは言いがたいのですが、それでもこうして文章に書くことができるところまでは来られています。神田沙也加さんのファンだったというわけではありませんでしたが、「アナと雪の女王」のアナ、「IDOLY PRIDE」の長瀬麻奈の、声と演技と歌はとても好きでした。神田沙也加さん、今まで素敵な声を聞かせてくださって本当にありがとうございました。









 今回も最後に、ここで紹介した10曲+αをSpotifyでまとめたプレイリストのリンクを添付しておきます。

https://open.spotify.com/playlist/5WVIcriktotmjmxE48K4sw?si=530d81bfe78343ef

 ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。どうか良いクリスマスと新年をお迎えくださいね。










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