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時間跳躍(タイム・パラドックス)とコナミ

全体公開 遊戯王5D's(小波シリーズ) 1 30 5631文字
2022-08-13 17:55:32

未来が変わる瞬間と、コナミ。
遊戯王5D'sアニメ版、そして公式作品「タッグフォース」と「ワールドチャンピオンシップス」シリーズを繋ぐ、ループの物語!

続き→ https://privatter.net/p/9376810
2p目に声真似ボイスドラマ化台本追加しました


パラドックスは血反吐を吐き、無様に地を這っていた。
脚は配線が剥き出しになり、火花を散らしている。やがて機能停止に陥るだろう。友が、ゾーンが与えてくれた身体をこんな所で朽ちさせるのは、あまりにも無念だった。

「歴戦の決闘者どもめ! すまない、ゾーン!」

歴戦の決闘者達に敵わず、デュエルモンスターズの抹殺にも失敗し、パラドックスの手の中に遺されたのは、未来を救えぬ絶望だけだった。
未来を救うために過去を葬る矛盾、今を守るために未来を救わぬ矛盾。
パラドックスも歴戦の決闘者達も、何も変わらない。

「私は、ここで終わるわけには!」

バチ、バチバチ、体から火花が散る。

パラドックスは歴戦の決闘者三人に敗れ、機能停止寸前まで追い込まれた。
ほとんど這うように地べたを舐めながらたどり着いた、時間を超える機能を持ったDホイール。
パラドックスに残された道は一つだった。何としても過去を変えること。未来にただ独り残された最後の一人、Z-ONE、友を、そして未来を救うには、過去を変えねばならぬのだ。

だが。既に機能停止寸前のこの身では、過去や未来に飛んだところで、まもなく機能停止に至るだろう。もう時間はない。
既に人として死んだ身、パラドックスの二度目の死は目前だった。

「くっ!」

パラドックスは手を伸ばした。時間がない。
保険としてアポリアのもとから連れてきた、型落ちの決闘機械 デュエルロボの内部装置に手を伸ばす。やはり時間移動に耐えられなかったその古い機体は、故障していた。だが、無理やり内部バッテリーを取り出せば、あと一度だけ、時間を跳躍することができる。そのための捨て身の保険だった。

問題は、その最後の時間移動に、デュエルに敗北したパラドックスの機体が耐えられないだろうことだった。

「だめだ、間に合わん!」

パラドックスの機体のエネルギーレベルが下がり始めた。駆動炉の回転数が落ちている。人間でいえば心臓が止まりかけているのだ、あと数分も持たない。

「ここで、ここで終わるわけには! 友を絶望の未来に置き去りにして、私だけが逝くわけには!」

パラドックスを打ち果たし、この時代を守った立役者は不動遊星だ。不動遊星さえいなければ、遊城十代と武藤遊戯だけであれば付け入る隙がある。
捨て身で飛べば、『パラドックスと出会う前の不動遊星』を差し違えて殺害すれば。そうすれば。未来は。

だが、パラドックスの計算機 カリキュレーターシステムが告げる。
間に合わない。

「何か何か無いのか、未来を、未来を変える術が!」

既にシャットダウンが始まったパラドックスの視界は、ぐらりと歪んで、暗くなり始めた。

(まずい、意識が……

この意識の落ち方は、覚えがあった。メモリに焼きついた、人間としての記憶の最後だった。
パラドックスは、目前に迫った死を自覚した。

(ゾーン……我が、友よ……すま、ない……

機械の身にも、走馬灯はあるらしかった。

まだ人間だった頃の幸福な幼い日。戦争に巻き込まれた青年時代。絶望から救ってくれた仲間。そして、独り置いて逝ってしまった、友。
死してなお、共に居ると誓った。記憶を使って機械の体でよみがえって、パラドックスが目を開けた瞬間に泣いた、老いた友の皺だらけの指先のぬくもり。友のために飛んだ過去。

そこにいた、友に似た目をした、青い目の過去の英雄。

(絆、だと? そんなものは、まやかしだ……現に……みらい、は……

我らの悲願を討ち滅ぼした憎き男だというのに、パラドックスのメモリには、不動遊星の姿が焼き付いたままだった。

(なぜ、思い出すのだ……不動遊星……奴の瞳は……ゾーン……君に、似ている)


決闘機械 デュエルロボのバッテリーを取り出して、指先だけがコードにかかって。
ビリ、と漏電が指を刺激した瞬間、パラドックスの脳裏に、天啓が閃いた。


……な」


パラドックスは、落ちかけていた瞼を見開いて
その天啓に、打ち震えた。



絆と未来を説いた、不動遊星の言葉が
パラドックスの脳裏に蘇った。





……もしや」




不動遊星。未来から過去に飛び、時代の滅びを回避した男。
パラドックスの知る限り、唯一、たった一人、未来を変えた男だった。





……っ!!!」



パラドックスは、その天啓に、全ての機能をオーバーヒートさせ、腕の駆動炉を動かした。





我らは、滅びの未来の原因となる存在を、討ち滅ぼすことばかりを考えてきた。
戦争で滅びた時代を生き残り、しかし、滅びに抗い切れず、無念の内に散った自分たちは、何度繰り返しても、滅びを回避することに失敗してきた。


だが、あの男は。
不動遊星は、ただ一度きりの時間跳躍で
望む未来を、掴み取って見せたのだ。





再び、時間を超えられるチャンスは、一度きり。
未来を変えられるのは、一度きりだ。




ここには、パラドックスの他に、古いデュエルロボがもう一体。



「っ……!! 命令式を……!!」



オーバーヒートしたパラドックスの命はあとわずかだった。
古い決闘機械 デュエルロボを時間跳躍装置に設置して、命令式のコマンドを呼び出す。

あと数秒。目を閉じた決闘機械 デュエルロボに入れられる命令は、ひとつが限界だった。



……見せてみろ。歴戦の決闘者達よ。未来が変えられるというのなら、変えてみせろ!!」



祈るように、叫んだ。



パラドックスは、破損したボディを庇いながら、起動ボタンに、手を、伸ばした。

未来に渡れるのは一人だけ。
古いデュエルロボに下した命令は、ひとつ。



「不動遊星を、助けろ!」



安全カバーのプラスチックが、叩き割られる。
赤い起動ボタンに、拳が叩き付けられた。


その瞬間、世界がぐにゃりと歪んだ。


時空の狭間で、機体 ボディを翻弄された、古い決闘機械 デュエルロボのシステムが、起動する。


────インストール コードネーム573番。起動します。


デュエルロボは、時間を超え
瓦礫の山で、目を覚ました。


2×××年、統一前のサテライトで。
未来からのデュエルロボ、573番はこうして生まれた。


やがて、世界を大きく揺るがす
決闘者、コナミはこうして生まれた。


決闘機械 デュエルロボ、コナミの誕生】


それは、水面に投げ込まれた一投の小石だった。
それは、砂漠に放たれた、一葉の蝶だった。


それは、やがて波紋を広げ、世界を救い、
それは、やがて羽ばたいて、世界を滅ぼす。


バタフライ・エフェクト。
タイムパラドックスのわずかなズレが、未来を大きく揺るがすこと。

『不動遊星を助ける』

その命令式を、忘れた機能の奥底に、根付かせたまま。
自分をデュエルロボだと忘れた決闘者は、雨の中、ある青年に拾われる。

それが、運命の変化の始まりだった。

『なあ、遊星、ジャック、クロウ! 面白えヤツ拾ったぜ! 見ろよ!」

始まりは、統一前のサテライトで。

最も名を馳せたチーム。
チームサティスファクションの、五人目として。




▼ループ一回目(WCS2009スターダストアクセラレーター)

『記憶喪失の一回目、ラリーに拾われた人間として』

▼ループ二回目(WCS2010 リバースオブアルカディア)

『洗脳された二回目、ディバインに目を付けられたチーム満足の五人目として』
https://privatter.net/p/9376810

▼ループ三回目(タッグフォース4)

『狂った三回目、ダークシグナーとシグナー両方に味方する裏切り者として』

▼ループ四回目(タッグフォース5、6、SP)

『使命を思い出した四回目、未来を変える決闘機械 デュエルロボとして』

▼ループn回目(激突!デュエルカーニバル)

『絆を結んだn回目、時空を超えネオドミノを旅立つ永遠の仲間として』
https://privatter.net/p/11125471





◇ ◇ ◇パラドックス台本◇ ◇ ◇

◼︎登場人物 ①パラドックス
      ②不動遊星(回想でひと言のみ)
      ③コナミ/決闘ロボ(台詞なし)

◇ ◇ ◇

シーン⑴ タイムリープ前

◼︎場所
童実町のどこかのビルの影(遊戯・十代・遊星が戦った広場の近く)


※下記、すべてパラドックスのセリフ
※映画超融合で、パラドックスが三人に敗北した直後の話。パラ、何とか逃げ去った所。

「かはっ」※血反吐
※パラ、地を這う
※脚は配線が剥き出し、火花を散らしている

「歴戦の決闘者どもめ! すまない、ゾーン!」

「デュエルモンスターズの抹殺は失敗……遺されたのは、未来を救えぬ絶望だけ、か……
「ははなんと無様な

「(ハァハァ)機能停止が近いゾーンがくれた体をこんな所で、朽ちさせるなど……! こんなっこんな無念なことが!」

「くっ
「私は、ここで終わるわけには!」

「何か、何か方法があるはずだ、未来を変える方法が!」
「そうだ破滅の未来に取り残された友を、未来を救うには!何としても過去を変えねばならんのだ!」

※バチ、バチバチ、体から火花が散る。

「そうだ……バッテリーをアポリアのもとから連れてきたデュエルロボの、内部バッテリーを使えば!最後にもう一度だけ、時間移動ができるかもしれん!」

「はぁ、はぁ時間を超える機能を持った、Dホイールこれで、もう一度……いや、この体では、移動にもう耐えられん」
「機能停止まであと少し
「くっ!」

「既に人として死んだ身、命など惜しくはない!」
「この時代を守ったのは、不動遊星……ヤツさえいなければ!こうなれば、刺し違えてでも!」

「かはっ

「駆動炉の回転数が落ちている……まずい、あと数分も持たん……!」

※エラー音

「だめだ、間に合わん!」
「嫌だ、ここで、終わるわけには! 友を絶望の未来に置き去りにして、私だけが逝くわけには!」
「何か何か無いのか、未来を、未来を変える方法は!」

※シャットダウン開始
※視界、ぐらりと歪んで、暗くなり始める。

(まずい、意識が……

(ゾーン……我が、友よ……すま、ない……

(走馬灯? 機械の身にも、走馬灯があるのか……ああ、幸福だった幼い頃戦争に巻き込まれた若き日

(絶望から救ってくれた仲間……独りで置いて来てしまった、友)

(死してなお、共にいると誓ったのに機械の体で、目を開けた瞬間、泣いた老いた友皺だらけの指のぬくもりああ、ゾーン、すまない

(友のために、飛んだ過去。そこにいた、青い目の、過去の英雄。不動、遊星

※回想:遊星のセリフ
遊星「パラドックス!これがオレたちの、未来を繋ぐ絆の力だ!」

(絆、だと? そんなものは、まやかしだ……現に……みらい、は……

(我らの悲願を邪魔した憎き男だというのに、なぜ、私のメモリには、ヤツの姿が焼き付いたままなのだ

(なぜ、思い出す……? 不動遊星……奴の瞳は……ああ、ゾーン……君に、似ている)



※パラドックス、ハッと目を覚ます

「(ハッ)……もしや」



(不動遊星。時間を超え、滅びを回避した男。未来を変えたデュエリスト!)

……っ!!!」
※パラ、起き上がる


(そうだ、我らは、滅びの原因を、消すことばかり考えてきた。何度繰り返しても、我らは滅びの回避に失敗してきた……だが、あの男は。不動遊星は、たった一度のタイムスリップで、望む未来を、掴み取ってみせた……!)

(時間を超えるチャンスは、これが最後。未来を変えられるのは、一度きり!)

(ここには、私の他に、古いデュエルロボが、もう一体!)

※パラ、希望を見つけた

「デュエルロボをタイムスリップ装置に設置!起動!」
「っ……!! 命令式を……!!」

※コマンドを呼び出す


「オーバーヒートも長くはもたない!あと数秒デュエルロボに入れられる命令は、ひとつが限界……!」



……見せてみろ。歴戦の決闘者達よ。未来が変えられるというのなら、変えてみせろ!!」

※パラ、起動ボタンに、手を伸ばす

「時間を渡れるのは一人だけ。デュエルロボ573(ゴーナナサン)、キサマに下す命令は、ひとつ!」


「不動遊星を、助けろ!」

※起動ボタンに、拳を叩きつける。


※時間移動装置、起動
※デュエルロボの乗ったDホイール、消える

※パラ、安堵。死に際

「未来頼んだぞ

※希望を託して、パラ、気を失う


◇ ◇ ◇

シーン⑵ タイムリープ後

※パラ、気絶してまもなく、頭上に気配を感じ、顔を上げる

「お前、は……
「私が、未来にやった、デュエルロボ……? 時間の無限ループを超えて、戻ってきたのか……?」
「かはっ」※血反吐
「未来、は変わったか?」

※コナミ、こくんと頷く

「そう、か……」※パラ、安堵

※パラ、目を閉じ、機能停止

「ああ、ゾーン、ようやく、君の、もと、へ

※完全停止




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