TRPG DX3rdにおける自PCの龍巳クリフと、もにゃさんのPCの久方菜乃花さんのお話です。全3節構成。
第一節:https://privatter.net/p/9550130
第二節:ここ
第三節:https://privatter.net/p/9556606
@nariheiheTRPG
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第二節 喪ったもの
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目撃情報から仕入れた背格好や服装を頼りに、完全に日が暮れてしまった街中を走り抜ける。一か所でも確認できるところが多くなるように。
UGNのデータベースにアクセスして捜査全体の状況を確認すると、今も総力をあげて逃走したFHを捜索しているようだった。
FHは下手に外に出ず、各々どこかへ潜伏している可能性が高いというのが本部の見解だ。
"レネサプレスト"が最後に逃げて行った方向にあたりを付け、UGN管轄下に入っていない建物を一つ一つ調べ上げる。
それでも、見るべき場所が多すぎる。この方角は"レネサプレスト"の他に逃げたFHはほぼおらず、UGNの捜査も手薄になってしまっている。
候補の極々一部を回っている内に、日付が変わってしまうような状況だ。
「クソ、どこに居るんだよ……!」
可能性がゼロじゃなければ、最後まで諦めるつもりはない。それでも、何か少しでも手掛かりがあれば……。
自分がコンタクトを取れる限りの相手を頼ってみたが、有力な情報を得られることはなかった。
あとどれくらい時間が残されているのだろうか。この際、ジャームでも悪魔でもいい。何か情報が貰えるなら、どんな代償だって支払う。
「なんかねぇのか……!?」
焦燥の中で見上げた空では一面に覆われていた雲がわずかに揺らめき、チラリと一つだけ星が顔を出すところだった。
その時、手元の端末が着信を知らせる。画面を確認すると非通知だった。
一瞬通話に出た方がいいかと逡巡しながら端末を眺めていると、こちらが何もしていないのにも関わらず通話が始まった。
『龍巳クリフだな?』
「なっ、勝手に通話が……!」
『ネットワークに繋がっている機器なら、俺にはこの程度簡単なことだ』
「……誰だ? 俺に一体何の用だ」
『俺は情報屋だ。"電審律"と名乗っている』
その名前を聞いて、クリフがハッと目を見開く。
噂を耳にしたこともあるし、資料で名前を見たこともある。独自のルートで仕入れた情報を、必要としている人物に直接コンタクトを取って取引をする正体不明の情報屋だったはずだ。
常に電子機器を利用して接触を図ってくるにも関わらず、逆探知もIP照合も全く意味がなく、何かしら独自のネットワークへのアクセス方法を持っていると推測される存在。
全く素性の分からない人物ではあるにせよ、その情報が間違っていたことは無いらしい。
そんな人物が今、自分に連絡を寄越してきたということは……。
「情報屋"電審律"!? あんた、まさか……」
『俺は君が欲しい情報を提供することができる。"レネサプレスト"の居場所だ』
やはりそうか。と、クリフの身体が震える。暗中模索していた道筋に、一筋だけ光が見えた気分だった。
「情報をくれ! どこにいるんだ!?」
『値段の交渉が先だ』
「いくらでも払う! 早く!」
まさに僥倖としか言いようがない巡り合わせだが、駆け引きをしている場合ではない。今こうしている間にも刻一刻と菜乃花の命は削がれて行っている。
『随分な意気込みだな。君の全財産と言われても構わないのか?』
「あぁ、構わない」
クリフに一切の迷いはない。また喪わずに済むのなら、自分の財産など天秤の皿にかかりもしない。
真剣な声色は相手に本気だと伝わったのか、通話の相手は"ふむ"と満足そうに呟いた。
『……今君の口座を確認した。この9割も貰えれば情報量としては十分だろう』
「一体どうやって覗き見てんだ……。いや今はそんなことは良い。金額を決めたんなら居場所を教えてくれ」
『情報料は君が目的を完遂できたらで良い。その時に振込先と具体的な金額を連絡する。ただし、未払いとする場合は君自身の情報を使って返済させてもらうのでそのつもりで。……今その端末に位置情報を送った』
クリフの手の中の画面に、とあるビルの位置が表示されたのを確認する。少し離れているが、大きな時間はかからないだろう。
目的地へ走り出しながら、端末の向こう側へ確認するようにクリフは話しかけた。
「本当にここにいるんだな!?」
『あぁ、そのビルは外見は小綺麗に整えられているが、中は無人の廃墟だ。FHの潜伏先の一つとして偽装されている。"レネサプレスト"がそこに入ったのをカメラで捉えた。今もそこにいるようだ』
具体的な情報内容に、否が応でも信憑性が感じられる。
どうせなら、少しでも情報を仕入れておきたいと考え、クリフはさらに質問を投げかけた。
「……なぁ、ダメもとで聞くけど、"レネサプレスト"の能力を解除する方法、知ってたりしないか?」
『ふむ……俺も大した情報を持たないし、これはおまけしておこう。"レネサプレスト"自身の意志で解く以外の方法はFH側の資料にも載っていない。もしくは、そいつの息の根を止めれば解除されるだろうとは書いてあったな』
交渉の後、決裂すれば戦闘。非常にシンプルな結論だ。
「そうか……本当に助かった。感謝してもしきれない」
『感謝は必要ない。情報屋と客は情報と代価のみの関係で良い。俺はこれで失礼する』
その言葉を最後に"電審律"との通話は切れた。
雲間から少しずつ星が出始めた夜空の下、一秒でも早くそこに着けるよう、クリフは全力で足を動かした。
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負傷者の搬送手続きが一段落し、玉野椿が病棟の廊下で一息ついた時、ポケットの中で端末が振動するのを感じる。
画面を見ると、とあるビルの情報が病棟を飛び出していった龍巳クリフから送られてきていた。
まさかと思うよりも先に、続けざまに通話の着信がその相手からかかってくる。
「龍巳君? どうしたの? このビルはもしかして……」
『椿さん、今送ったところに"レネサプレスト"がいる。俺も今そこに到着しました』
「本当!? でも、一体どうやって突き止めたの? 確実にそこにいるの?」
『情報屋の"電審律"が接触してきて、そう教えられた』
「"電審律"……なるほどね」
その情報屋の事なら、当然ながら椿も把握していた。UGNもFHもなく平等に取引を持ちかける正体不明の人物だが、その情報が間違っていたことは一度もない。
実績はあるものの無条件で信用できる相手ではない。しかし、今この状況であってはその情報が唯一の頼りなのも確かだ。
「分かったわ。私が回せる限りの人員をそこに送る」
『椿さん、菜乃花の容態は?』
椿は受話器を耳に当てたまま小走りに廊下を移動し、菜乃花の病室を覗き込む。
ベッドの上で、左右から両親に手を握られている菜乃花がいた。まだ息はあるものの、少し目を離した隙に更に衰弱している。
両親も、いきなりの娘の危篤に憔悴している様子が窺えた。
「まだ生きてるわ。あとどれくらい保つのかは分からないけれど」
『了解』
「待って龍巳君、一人で行く気? 罠がある可能性だってゼロじゃない。応援が来るまで待っても――」
『待つって、どれくらい……? その間に菜乃花が助からなくなったら元も子もなくなる』
「分かった。到着まで待たなくていいから、せめてフォローできるようあと10分は……」
そう椿が説得しようとした時、病室内から心拍数の低下を検知した心電図からアラーム音が鳴りだした。
それを聞いた菜乃花の両親も口々に名前を呼んだり、「死なないで」と声をあげる。
それと同時にクリフとの通話は切れる。おそらく、通話の向こう側にも聞こえたのだろうことは容易に予想できた。
「あぁ、もう!」
気持ちは分かるが、万全を期した方がいいのは確かだ。一人では想定外の事態に対応できない可能性も、取り逃してしまう可能性もある。
椿は端末を操作して、素早く現場への応援指示を送る。その後、報告のためUGN日本支部長である霧谷雄吾へとビルの位置情報を送り、続いて通話をかけた。
『はい、こちら霧谷』
「こちら玉野。今送った場所に"レネサプレスト"がいます。龍巳クリフの一名がビルの傍で待機中。既に応援は出しました」
『"レネサプレスト"……。報告は受けています。その人物の影響で久方さんが命の危機にあると』
「えぇ。龍巳君には現場でしばらく待機するように言ってあります。……彼がこちらの指示を無視した事はないので、大丈夫だとは思いたいのですが……」
希望的観測かも知れないが、今は彼が言う事を聞いてくれるのを祈るしかない。
『いえ……龍巳君は、一度だけ命令違反をしたことがあります』
「え?」
『彼の幼馴染がジャーム化判定を受けた時、作戦本部の攻撃指示を無視して彼女を庇おうとしたと……そのような報告書を読んだことがあります』
「……応援部隊を急がせます」
霧谷の言葉に、表情を強張らせた椿が通話を切る。
視線を上げた先では、今も菜乃花の両親が寄り添っていた。
「何事もなく上手くいけば良いのだけれど……」
祈るような呟きの後、椿は再び端末を操作して各所への連絡を取り始めた。
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その男は、ほとんど物のない殺風景な建物の三階で、明かりもつけずに椅子に浅く座り込みながら退屈そうにスマホを弄っていた。
偽装されたこのビルの中には娯楽らしい娯楽がない。話し相手もおらず、やる事と言えば身体を揺らして椅子をキシキシと鳴らしながら適当に目の前の液晶に指を滑らせるくらいだ。
UGN側の捜査も、大物を捕らえるためにこことは全く別方向へ展開しているだろう。少し特殊ではあるものの、大した力も持たない自分のような木っ端など歯牙にもかからない。
正直なところ、さっさと移動したいのも山々だが、先刻送られてきた"マスターマインド"からの「能力を解除するな」「絶対に捕まるな」という旨の指令があっては万が一の事態も避けたい。
背格好や今の服装は割れているので、外でUGNに出くわす可能性もゼロではない。ほとぼりが冷めるまでここで過ごしておくのが得策だろう。
窓にはブラインドすら用意されていない上に、収まりが悪いのか風で小刻みにガタガタと音を立てている。外から見えないように距離を取った位置取りに座りながら、男は大きくあくびをした。
そんな時、カチャリ。と、窓が震える音とは明らかに違う音をその男は耳にし、スマホに落としていた視線をドアへと跳ね上げる。
その目に飛び込んできたのは、開かれた扉と、月明かりを受けこちらを向く赤髪の人影だった。
窓を背にしたその人物の顔は暗がりで見えない。
右手に持った両手剣や燃えるような頭髪が、月が放つ銀の光を反射している。同じく銀に染められた室内の一角で、その人物は口を開いた。
「"レネサプレスト"だな」
その瞬間、鮮烈な炎が立ち昇り、青年と両手剣を取り巻く。
周囲を包み込んでいた銀色の月光は、そこに小さな太陽が生まれたかのように金色の炎光に塗り替えられ、殺風景な室内全体を照り付けだす。
金の光を照らし返すその龍巳クリフの瞳には、明確な敵意が宿っていた。
「クソがっ! なんでここが見つかってんだよ!」
男は悪態をつきながら椅子から飛び退くように立ち上がるも、それ以上どこに行くこともできない。
逃げようにも、扉も窓もクリフの方が距離が近い。いくら逃げ足に自信はあっても、後ろには壁のみの状態ではどうしようもなかった。
「菜乃花にかけた能力を解け」
クリフが詰め寄りながら要求を口にする。それに対して男は追い込まれながらも意地の悪い笑みを浮かべた。
「はっ、解くわけがねぇだろボケが。んな事したら俺が"マスターマインド"に殺されんだよ」
「そうか」
クリフは短く呟くと、両手剣を構えて足に力を込める。一気に距離を詰めるつもりだと男も理解した。
それに対して"レネサプレスト"は自身から影のような手腕を4本飛ばし、多重攻撃を仕掛ける。この攻撃さえ当たれば、昼のあの追手にしたように能力を封じる事ができる。
しかしながら、その手腕は前評判通りに俊敏さも精緻さも持ち合わせていない。いくら4本あろうとも、クリフの妨げになりはしない。
燃え盛る両手剣を片手で軽々と振るい、刹那の内に手腕をなんなく切り落とす。そのタイミングで、男は懐からサイレンサー付きの拳銃を取り出しクリフへ向けて続けざまに二発弾丸を放った。
クリフは空いている左手の甲で、顔面に迫ってくる二発の銃弾を受け止める。キュマイラの能力で硬質化した鱗に覆われた腕はあっさりとその弾丸を弾き、かすり傷一つ付く気配はなかった。
それを見た男は狼狽えたように後ずさり、壁に背を付ける。
「おいまさかお前、UGNの"赤壁"か!? なんだってお前が俺なんかの所に来る!? てめぇみたいなのはもっと上の奴らの相手だろうが!」
男の喚きをよそに、クリフは最後の一歩を踏みこみながら両手剣を持った片手を振りかぶる。
彼我の戦闘能力差は圧倒的で、既に一瞬の後に決着が付こうとしている。
その時だった。
両手剣が、いきなりその重量を増したかのように、ガクンと重くなった。
身体や剣が纏っていた炎も、突然強風に吹き飛ばされたかのように消え失せた。
炎光に塗りつぶされていた室内が、再び月光に支配され、物静かで殺風景な様相を取り戻す。
「なっ!?」
振りかぶっていた姿勢を維持できずに、たたらを踏みながら転んでしまうのをこらえる。
なんとか体勢を立て直しながら、剣を両手で持とうとしたところで、クリフは剣が重くなったのではなく、自分の身体から力が失われていることに気付く。
同時に、周囲の空間から異様な雰囲気を感じた。
「ヒ、ヒヒヒ……」
歯を剥いて不気味な笑いを浮かべる"レネサプレスト"から、クリフは距離を取る。
既にクリフの中で結論は出ていた。自分は"レネサプレスト"の能力を受けたのだと、周囲から伝わる感覚が教えてくれている。
思い当たるものは一つしかない。この、空間そのものに干渉し、操作するその力は……。
「オルクス……!」
「ヒヒャハ! ご名答! このビルには俺の因子を丹念に刷り込んでんのさ! 俺にだって時間かけりゃできんだよ! んで、発動さえしちまえばこの空間の中にいるやつは全員俺の能力の餌食だ」
どうやら、"レネサプレスト"の能力はウロボロスだけではなかったらしい。
クリフは自分の身体を見下ろす。今この身体は、何の異能も持たない普通の人間と同程度になっているということだ。
日々トレーニングを重ねているお陰で、一般的な身体能力よりは上だろうが、それだけだ。
「これは俺の切り札なんだよ。とっておきのな」
まずい、とクリフは男の方を向く。
このままでは逃げられてしまう。今の状態では逃走を食い止める事も、追いすがる事もとてもできない。
そうなったら、菜乃花を助けることのできる可能性は、今度こそ完全に潰える。焦りが思考を支配していく。
それでも、なんとか男を取り押さえようと一歩前に踏み出そうとした。
「本当の隠し玉だからよ、この力は俺以外の誰も知らねぇ。世界で俺以外、知ってちゃいけねぇんだよ。だから……」
"レネサプレスト"は、勝ち誇った笑みと共にクリフへ銃口を向けた。
「わりぃが死んでくれや、"赤壁"」
「っ!」
引き金が握り込まれるのと同時に、クリフは身体を捻った。
サイレンサーの間の抜けたような音と共に、一瞬前まで頭があった場所に銃弾が到達する。
「ぐぁっ――!」
急所への被弾は避けたものの、その弾丸は左肩に命中し、クリフはのけ反った。
「オラオラオラァ!」
男が続けざまに3発追い打ちをかける。それに対しクリフは両手剣を正面にかざして急所への被弾を防ぐ。
2発は剣にぶつかりあらぬ方向へ跳ね返って行ったが。最後の一発は右の太腿を浅く抉り取っていき、鋭い痛みが走った。
「チィ、しぶてぇ奴だな」
男は悪態を付きながら、弾倉を開いて薬莢を捨てだす。撃った弾は計6発。どうやら弾切れになったらしい。
新しい弾を懐から取り出して再装填をし出した"レネサプレスト"は、影の手腕でこちらを牽制することも忘れていない。
(ここに居るのはまずい!)
クリフは咄嗟に判断し、開け放たれたままの扉から部屋を飛び出る。痛みの中動く事自体には慣れているのが幸いして、身体は素早く動いた。
"レネサプレスト"も「待ちやがれ!」と怒鳴り、弾を装填しながらすぐに後を追いかけてくる。
どうにか遮蔽のあるところへ行きたかったが、この殺風景なビルでは簡単な調度品しか置かれていない。
廊下は一直線に続いている。走り切る前に、こちらを追う"レネサプレスト"のリロードは終わり、背後から銃撃を受けてしまうだろう事は容易に想像できた。
廊下の途中で扉を開け中に入ると、また同じような殺風景な部屋だった。
しかしすぐ横に掃除用具入れのロッカーがあるのが目に入り、咄嗟に手をかけ扉の前に横倒しにした。
ガタン、という大きな音が鳴ると共に鍵をかけ、クリフも扉が突き破られないよう身体を使って押さえる。
「おい! 開けやがれ! お前も、普段殺してるパンピーみてぇに殺ってやるからよォ!」
楽しそうな声と共に、通常の人間では不可能な間隔と勢いで扉越しに衝撃が伝わってくる。影の手腕も使って攻撃しているのが分かった。
力が弱いとは言え、相手はオーヴァードだ。この扉が破られるのは時間の問題だろう。
クリフは自らの左肩と、右太腿を見やる。普段であればあっさりと塞がるこの傷も、今はただただ真っ赤な血を垂れ流すのみ。
なんとか持っているこの両手剣も、右手だけで振る事も、負傷している左腕も使って両手で振る事もできはしない。
こんな状態で、この"レネサプレスト"に勝つことができるとは到底思えない。
ふと、部屋にある窓が目に入った。
ここは三階だ。飛び降りても何とか死ぬことはなく一旦退くことはできるんじゃないかと、一瞬クリフは考えを巡らせる。
そんな自分を自覚して、クリフはハッと頭を左右に振った。
(今俺は、何を考えた?)
逃げる余裕が、一体どこにある?
自分は何のためにここへ来た? 何のために"レネサプレスト"を倒しに来た?
こうしている今この瞬間にも、菜乃花の命は尽き果ててしまう可能性だってある。
肩や足どころではない、もっと、もっと命の根源深くを危機に晒された菜乃花が、今もあのベッドで横たわっている。
「また、喪って、いいのかよ。龍巳クリフ……!」
扉から伝わる衝撃が激しさを増す。今更迷っている時間も、考えている時間も、残されているわけがない。
――生きてたいよ。死にたく、ないよ
そう言う菜乃花の顔が脳裏に浮かび、ギリッと歯を軋ませた。
(何が、"能力を抑える"だ……!)
今、絶対に、この男を打ち倒さなければならない。
力を抑えられている限り、勝つ術はない。どうしても今、勝たなければならないのなら……。
(抑えられないくらい、暴れさせてやれば良いだけだ)
なんだったか、以前一度だけUGNのRCトレーニングで、レネゲイドを自らの意志で活性化させる訓練を受けたことがあったはずだ。
あの時は自分には縁のないことだと思って、一回きりで終わらせ特に気にもしなかった。
あれは、あの行為の名前は、確か……。
「――ジェネシフト」
記憶の糸を手繰り寄せ、それを……ジェネシフトを行う。
体内のレネゲイドがざわつくのを感じる。しかし、能力が表に現れる気配はない。
ならば、もう一度……。
ジェネシフト。更にレネゲイドが活性するのを知覚する。だが、身体に変化はない。
ジェネシフト。身体の奥深くで、自分というものが僅かに侵食され始めたのを感じる。
ジェネシフト。ざわざわとした感覚が胸までせり上がる。
ジェネシフト。腕が、脚が、末端までレネゲイドに侵される。
ジェネシフト。頭までレネゲイドのざわめきが響く。
ジェネシフト。飽和しそうになったレネゲイドが、行き場を求めて身体の中を暴れまわり始めた。
ジェネシフト。もうよせ、引き返せと、自分の経験が自分自身に警鐘を鳴らす。それでも、まだ力は発現しない。
ジェネシフト。全てを無視して、濃度を上げる。
ジェネシフト。本能が、魂が、これ以上を拒む。戻れなくなると、取り返しがつかなくなると訴えかけてくる。
まだ足りないのに、自分の全てが、強引に動きを止めようとする。
一人歩きする意志を後ろへ引っ張り戻そうと、その他全てが叫び、訴える。
それでも、戻った先に、何が残されているのか。
――それに、まだやることがあるだろ
いつか、あの日の監獄で、自分と同じように失いかけていた少女にかけた言葉が頭の中で反響する。
――さっきの口ぶりだと、まだ村人は死んじゃいない
ジェネシフト。
――止まったままなら、まだ動き出せるんだよ
ジェネシフト。
――まだ失ってないんなら、死に物狂いで取り戻す努力をしろ
ジェネシフト。
――失ってからじゃ、遅い
(喪ってからじゃ、何もかもが遅い!!)
ジェネシフト。ジェネシフト。ジェネシフト。ジェネシフト。ジェネシフト。
バギャ! という大きな音と共に、押さえられていた扉の鍵がひしゃげ飛び開け放たれた。
その向こうには、目を血走らせ、歯を剥きだしにして荒い息を付く"レネサプレスト"の姿がある。
窓から銀の月光が差し込む室内で、二人は対峙した。
「へ……っへへ。てこずらせるんじゃねえよ。すぐに殺してやる」
男はこちらを向いて俯くクリフへと銃口と影の手腕を向け、最後の攻撃を行おうと力を加える。
その様子を、クリフは顔を上げ見据える。強い意志と決意を固めた瞳が男を捉えた。
同時に、クリフの足元から炎が立ち昇る。その炎は身体を包み、右手に持つ両手剣を包み、室内を再び金色の炎光に塗り替えた。
「なっ!? てめぇ!」
狼狽した"レネサプレスト"が頭部めがけて銃を放つ。クリフは避ける素振りも見せず、額を鱗で覆って弾き返した。
同時に、銃撃などお構いなしとばかりに床を蹴って一足飛びに距離を詰め、片手に持った両手剣を"レネサプレスト"目掛けて突き出す。
「がぁっ!」
胴に突き刺した勢いそのままに壁へぶつけ、剣ごと敵を縫い付ける。
男は苦悶と憤怒の入り混じったような表情で、クリフを睨みつけた。
「ぐぁっ……てめぇ……! 一体どんだけ"アゲ"やがった……!?」
クリフは答えない。
強い光を宿した目で敵を見る。視線でさえも敵をそこに貼り付けようとせんばかりに真っすぐに見据える。
「クソがぁ! そこまでやるバカが居るかよ!? 何でそこまで……!」
「なんで……?」
相手の言葉を反芻する。
「まだ、喪ってないからだ……!」
自分がここに"在る"限り、まだ手を伸ばせる限り、何としてでも喪いはしない。
この手が届く距離にあるのに二度も喪うような自分を、絶対に認めはしない。
例えそれが運命だったとしても、刃を向け、牙を剝き、捻じ曲げて見せる。
自分の全てを賭してでも、二度と手のひらから零れ落ちようとする珠玉を手放しはしない。
それが、自分の"在り方"だ。
あいつに約束した、恥ずかしくない"在り方"なのだから。
万感の決意をその表情に、その瞳に滲ませるクリフに、"レネサプレスト"は下卑た嘲笑を向ける。
「ヒッ、ヒヒヒ……てめぇが何守りたいのか知らねぇが……ぐふっ、そこまで行っちまったらもう終わりだ……ただのなんも分からねぇバケモンに……成り下がるだけだ」
「勘違いすんな」
剣を引き抜く。"レネサプレスト"の姿勢が砕ける前に、クリフは両手剣を振りかぶった。
「俺は死ぬつもりも……帰らないつもりもねぇ」
遺される側の気持ちは、嫌というほど味わってきた。
自分を庇い、死を受け入れた者へ伝えたいことも伝えられず、行き場を失った感情を抱え続けた。
その苦しさを知っている。それを自分の手で誰かに与えるような事は、絶対にしない。
どれほど生き残る希望が薄くとも、生きてみせる。
どれほど帰路が長く遠くとも、帰ってみせる。
それが、自分が誰かを、自分と引き換えに救った責任だ。
それが、クリフが時を重ね、その身で得てきた事から導き出した答えだ。
剣を振り下ろす。致命の一撃を入れられた男は、ドッ、と床に倒れ伏した。
命が終わるその刹那にさえ、その男はクリフを嘲笑する顔を崩さない。
「は……はは……どんな御託ならべ……ようが……俺が死んで能力解けたら……てめぇは……終わりだ……あばよ……」
ガクリと男の顔が力なく地に落ちる。
それと同時に、周囲を包み込んでいた異様な感覚もなくなっていく。"レネサプレスト"の力が消えていく。
身体を取り巻く、異能を抑え込んでいた未知の力が離散していく。
「これで……」
菜乃花は助かるのか。クリフがそう口にしようとした時だった。
メリッ、グリュッ、という不快な音と共に、かつてない速度でクリフの両腕に鱗が積層され始めた。
それに反応する前に、全身から炎が噴き出し、狂ったように肥大し、暴れまわり、室内を埋め尽くす。
「あ"っ……グ、ガ……あああああアアアアア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"!?」
同時にクリフに襲い掛かってきたのは、今まで感じたことのない程のレネゲイドの侵食。
理性を食いちぎり、自分というものを侵し尽くそうとする激感の奔流だった。
これほどの感覚はクリフにとって、初めての覚醒を経験した時以来、いや、それさえも生易しいと思えるほどの、とてつもない狂気の嵐。
鱗の形成は瞬く間に両腕から拡大し、液体が染み渡るかのように全身を覆い尽くす。
その間も炎の激しさは増す一方で、厚すぎるほどの鱗がなければクリフ自身が焼き切れていたかもしれない程だ。
今までクリフ自身を助けていた力が、今は全く制御ができない。
限界を超えて焚き付けたレネゲイドは、抑えを失った今悪夢のように暴れまわり、その主を食い破ろうとしている。
それでも、クリフは片手で顔を抑えながら、その言葉を口にする。
「ぎァ、グッ……帰……ルんだよ……俺はァ……!」
決意したのだ。
どれ程可能性が低くとも、どれだけその道が遠くとも、絶対に帰るのだと。
自分と同じ思いを何がなんでもさせるものかと。
クリフは散り散りになろうとする理性を力づくで繋ぎとめる。
レネゲイドの奔流に流され、消し去られようとする自分自身を必死にかき集める。
人、景色、思い出。様々なものがクリフの脳裏に浮かび、ちらつき、巡る。
それらを含んだ思考が、思想が、夢想が、レネゲイドに侵され千々に散逸し高速で切り替わっていく。
クリフは日常を結びつける楔が嵐に飛ばされてしまわないよう、死に物狂いで押さえつけた。
ふと、揺さぶられる理性の中に亜麻色の髪の少女の笑顔が浮かび上がる。
それは見慣れた顔でも、髪型や服装がいつもとは違う、もう会うことはないだろう存在。
"もう一生会えなくてもいいから、クリフくんに生きていて欲しい"と言ってくれた、生きる約束を交わした相手だ。
最近増えた、新しい生きる理由を思い出して、自分を奮い立たせる。
世界さえも越えて出会った彼女と、生きろと約束してきたのだ。
自分がここで終わってしまえば、別の世界で生きる彼女はその事すらも知ることができないまま、彼女自身の道を歩んでいくことになる。
彼女に自らの世界を歩ませる覚悟を持たせた自分が、道半ばで倒れるような不義理を、する訳にはいかない。
脳内の景色が切り替わっていく中、そんな彼女の笑顔の代わりに現れたのは、病室のベッドに横たわり儚げな微笑みを浮かべる同じ顔をした少女の姿だった。
「菜……ノカ……どウナッた……」
そうだ、菜乃花は果たして助かったのか。それを確かめなければと、クリフは朧気に考える。
しかし、うずくまった身体は意志の通りに動かない。少しでも、嵐が収まるのを耐え忍ぶしかない。
獣のような唸り声を押し殺しながら、クリフは身を蝕む狂気の奔流に流されぬよう歯を食いしばった。
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その建物は、一歩足を踏み入れた瞬間に身体を震え上がらせるほどのレネゲイド物質で満ちていた。
発生源と思われる上階へと進むと、更にその濃度と気温が上がっていく。
明らかな異常事態だ。応援部隊の表情に緊張の色が強くなっていく。
先に突入したと思われる龍巳クリフは無事なのだろうかと、不安を募らせながら彼らが三階への階段を上りきると、廊下に一人の男が倒れ伏しているのが見えた。
傷の状態から遠目からでも遺体だと分かる。駆け寄りながら確認すると、外見の特徴からその遺体が"レネサプレスト"であることはすぐに判別できた。
だが本当の問題は、そのすぐそばの開け放たれた扉から漏れ出る真っ赤な炎と、高濃度のレネゲイド物質だ。
一体、この部屋の中に何があるのか迅速に確認しなければならない。
部隊員全てが扉の前まで到達したことを確認し、部隊長が慎重に中を覗き込む。
「なん、だ……こいつは……!?」
そこには、一体の赤龍が苦しそうに呻きながらうずくまっていた。
全身は爬虫類のような鱗に覆われ、それが積層し体積を増したその身体は人間よりも二回りは大きい。
身体の至る所から炎が噴き出し、室内を火の海と変えている。
背中には両生類の水かきを思わせるような翼が広がり、鋭い爪を携えた手には一振りの両手剣が握られていた。
人間にとっては取り回すのも難しいほど大きく重量感のあるその剣も、龍の手の中にある今となってはともすれば小振りだという印象を抱きかねない。
「誰だ、お前は!?」
部隊長がその異形に向かって叫ぶ。
しかし、応援部隊からしてみてもここに居るべき人物は"レネサプレスト"を除けば一人しか心当たりがない。
炎、鱗、両手剣。それら全ての特徴が、推定される人物―――龍巳クリフと一致する。
「ア"ァ……」
ようやくこちらに気付いたのか、龍がその首をもたげて扉から中を覗く部隊員を見る。
その龍が放つレネゲイド物質の濃度と、狂ったようにうねる炎の強さは尋常ではない。力が暴走している様子からも、誰もがその頭に一つの答えを浮かび上がらせる。
「龍巳クリフ……ジャーム化したのか」
「っ! ア"ぁ"……ウ"あ"あ"ア"ア"ァ"ぁ"ァ"……!」
部隊員の誰かが、彼らの考えを代表するように呆然と口にする。
それを聞いた赤龍はビクリと震えると、片手で頭を押さえて唸り声を上げだした。
その様子を見た部隊は警戒して戦闘態勢に入るが、炎の勢いが凄まじく部屋の中に突入できない状態だ。
「俺……ハ…………じゃナい……」
「な、なんだ! 何を言っている!?」
「おレは、マダ……ジャーむじゃナイ……!」
「なっ……!」
龍の瞳に、一瞬強い意志が宿ったかのように強く光を湛え、真っすぐに応援部隊を見据える。
それに部隊員たちが驚く間もなく、赤龍は頭を押さえながら仰け反るように立ち上がった。
一瞬浮かび上がった意志の光は、また陽炎の中に隠れるように見えなくなっていた。
「ギッ……がああああアアアアァァァ!」
龍が大きく後ろへ飛びのいた。その先にあるガラスを窓枠ごと破壊し、燃え盛る龍はその身を外に投げ出す。
周囲に開けた空間を得た翼は大きく羽ばたき、落ちようとしていた身体をグンと空中に持ち上げる。
高速で夜空を駆けていく龍を室内の粉砕された窓から目で追いながら、応援部隊長は焦るように端末から報告を始めた。
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心臓の鼓動を、体内で感じる。
ついさっき完全に失くしたと思っていた体温が、生命が、自分の中で息づいているのを知覚する。
そして何より、知覚しているという事を知覚できる"自分"が、さっき完全に手放したと思っていた自我が、ここにあると分かる。
ゆっくりと目を見開くと、確かに意識を手放す前に見た天井が目に入ってきた。
「わたし……生きてる……?」
口に出して実感する。自分は生きている。つい先ほどまでこの身体を苛んでいた病魔は、今は完全に鳴りを潜めていた。
代わりに、今までずっと沈黙して応えることがなかったレネゲイドが身体の中で存在を主張している。
菜乃花は起き上がろうとしてみると、まるで当たり前であるかのようにあっさりと身体が持ち上がった。
まるでそこに理不尽な事など何もなかったかのように、すっかりといつもの調子を取り戻しているのを感じて、なんだか困惑したような、拍子抜けしたような心持ちになってしまう。
「久方さん! 目が覚めたのね」
その声に菜乃花が横を向くと、椿がベッドに歩み寄って来ていた。
「椿教官、私、助かったんですか? お父さんとお母さんは……?」
「ご両親は一旦退室してもらってるわ。あなたが助かったことは分かってるから大丈夫よ。それより体の調子は? 自分のことや周囲のことは分かる? 記憶に問題はない? 2分ほど心肺停止状態だったから、万一にも後遺症があるといけないわ」
「だ、大丈夫です! 身体も頭も、すっごい元気です!」
心肺停止というワードにどぎまぎとしながらも、菜乃花ははっきりとした口調で答える。
本当に自分は助かったのだ。しかしまだ、一番気になる事が聞けていない。菜乃花は椿に向き直った。
「クリフくんが、"レネサプレスト"に能力を解除させたんですよね?」
「えぇ、そうよ。彼が倒してくれたの。もう少し久方さんの心肺停止状態が長く続いていたら手遅れになっていたと思うから、本当にギリギリだったわね」
やっぱりそうなんだ、と菜乃花は顔を綻ばせる。
完全に生きることを諦めていた自分の命さえも、彼は救ってしまった。
本当にどこまでも強くて、なんでもできてしまう。また憧れの感情が強くなってしまった。
「やっぱりクリフくんはすごいなぁ!」
自分の事のように嬉しくなってしまい、思ったよりも弾んだ声が口から出てくる。
命の恩人になってしまったのだ。目一杯、ありがとうとお礼を言わなければ。
菜乃花はにこにこと笑顔を浮かべていると、目の前の椿の顔が苦々しいものになっていることに気が付く。
どうしたのだろう。何か良くない事でもあったのだろうか。そういえば、今は対FHの作戦の真っ最中だ。それに関係することだろうか。
「椿教官?」
「久方さん、落ち着いて聞いて。龍巳君は今……」
椿がそこまで言いかけた時、突如椿が持っている通信機から焦ったような声が聞こえてきた。
『椿教官! こちらに向かってきています!』
菜乃花が何の事だろうと思う間もなく、次の瞬間夜闇に染まっていた窓の外から、強い光が差し込んできた。
街灯やビル群の光とは明らかに質の違う眩い光に、菜乃花は反射的にそちらへ振り向く。
その目に映ったのは、窓枠に収まった景色の中、豪火を纏いながら羽ばたく赤龍だった。
それは空中に留まり、外からこちらを見下ろしている。
何となく、菜乃花はその龍と目が合ったような気がした。
見たこともない異形が突然現れ、自分を見ていると思えるような状況にあっても、菜乃花はなぜかその存在に危機感を持たなかった。
代わりに、なんだか安心できるような、それでいて心躍るような、そんな感覚が胸に浮かび上がった。
これは……日常的に自分が感じていたものだ。
椿が窓に手をついて、夜空に浮かび上がる赤龍に声を張り上げる。
「くっ……落ち着いて! いつも教えているみたいに、体内を意識してレネゲイドを抑えて!」
「……クリフくん?」
菜乃花が深く考える前に、その名前が口をついて出る。
その呼びかけが聞こえたのか、龍は少しだけ噴出させる炎の勢いを弱めた。
「……ク"オ"オ"オ"ォ"ォ"ァァァァ」
しかし、すぐに獣のような雄叫びを上げると、激しく翼をはためかせて瞬時に窓枠から消え去って行った。
椿が身を乗り出してみると、かなりの速度で飛んで行っているのか、その姿はみるみる内に小さくなっていく。
ひとまず、何の被害も出なかったことに息をつく椿に、菜乃花は慌てるように声をかけた。
「つ、つ、椿教官! 今のは、今のは……!」
ついさっき自分の胸中に浮かんだ、なんとなくの答えが現実になって欲しくなくて、その先を言う事ができない。
言い淀んでいると、傍らの机に置かれていた自分の端末が震え、着信を示す。
今回の対FHテロ防止の作戦用端末だ。ここから作戦の状況や、作戦本部からの新しい司令などを見ることができる。なにか、作戦に関するものが届いたということだろう。
恐る恐る、震える手でその端末を取る。その目に、新しい通達が、その内容が飛び込んできた。
『本作戦に参加していた"赤壁"が暴走。"レネサプレスト"との戦闘によるものと思われる。測定されたレネゲイド物質量から、ジャーム化している可能性が極めて高い。手の空いている人員は、"赤壁"の身柄を確保できれば、冷凍保存を行うこと。捕縛が難しい場合はその無力化に生死は問わない』
第三節「赤色の龍と亜麻色の少女」 ( https://privatter.net/p/9556606 ) に続く