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目が覚めたらエツィオに生まれ変わっていたので、家族生存めざします!

全体公開 8008文字
2020-02-18 19:23:53

第11話「ヴィエリにロックオンされました」

Posted by @acbh_dmc4

「それで、結局彼女とはお近づきになったのか」
「ああ。俺と関われば彼女を危険にさらしてしまう。俺は既にアサシンとして活動もしているし、このまま俺に付き合っていけばそれだけで危険だって言うのにああ、なんで断らなかったんだ!」
「けど、俺たちの家族は別に父上と俺たちがアサシンでも平和だ。狙われるようなことはないし、テンプル騎士団に正体を覚らせなければ良いんじゃないか?お前の腕の見せ所だな」

フェデリコが何でもない事の様に言う。
確かに俺たち家族はメディチ銀行で重要なポストに就いているし、そのメディチ家の後ろ盾もあってフィレンツェでの地位も盤石だ。
名声を得ているアウディトーレ家においそれと手出しができないのだろう。俺たち一家を処分するには名分が要る。

「それこそ付き合ってしまえば当面は安全なんじゃないか?ヴェスプッチと言えば、大きな商家だろう?十分俺たちの家にも利点になる」
「けど、彼女は将来他の男と結婚するし
「お前がフィレンツェを追われて去るからだろう?その未来を変える努力をするならもう関係ないじゃないか」
「未来は変えようとは思うけど、アサシンとして活動するなら俺がフィレンツェを離れる事は避けられない。何度も彼女と別れるのは辛いんだ」

そう簡単な話じゃないと己の運命を嘆いて机に突っ伏せば、フェデリコが慰める様に背中を叩いた。

「とにかく、今は暫く彼女の護衛をやり切ってから、理由をつけて別れるしかないだろうな」
腹を括るしかないか」
「受けた以上はな」

大きく溜息をついて肩を落とす。
つくづく彼女は俺にとっての運命のひとなのだろう。
アニムスでの体験もあるが、一目で恋に落ち、いつまでも彼女の傍に居たいと願うのだから。

だが俺とクリスティーナではデズモンド・マイルズに繋がる子孫は残せないという問題もある。
ソフィアについても彼女の事を想うと心が甘く疼くが、正直20も年が離れているのに、また惚れてもらえるかという問題もある。
一度ドゥーチョがソフィアに迫っているのを追い払った事があるが、50代の萎びたおっさんが30代の若い女性に迫る絵面にドン引きしたものだ。
自信家のエツィオが本格的にソフィアとの年齢差を気にしたのは、客観的にその現実を見てからだった。

(第一彼女は今はまだ生まれてすらいない訳でそう考えると改めてとんでもないな

そもそも彼女とは書物庫の鍵を巡って協力関係にあり、彼女の知識欲を満たして助け合っていたから恋に落ちて貰えたのだ。
俺は既に書物庫の鍵を手に入れてしまっているし、俺がコンスタンティノープルに遠征する理由はなくなってしまった。

(相手の女性を変えても俺として生まれる事は出来るだろうか?というか、変えざるおえないような

頭の中でクリスティーナとソフィアの顔が交錯した。


****

「やぁ、クリスティーナ。今日はどちらまで?」
「エツィオ!今日は一緒に買い物に出かけて欲しいの」
「仰せのままに」

仰々しくお辞儀をして彼女をエスコートする。
嬉しそうにはにかんで、俺の手を取るクリスティーナは今日もとても美しかった。
彼女とは暫く護衛をするのみの間柄であると自分に言い聞かせて、何でもない風を装う。
しかしいくつかの店を並んで見て周っていくらもしない内に、早速屈強な男たちが行く手を阻んだ。

何の用だ?」
「さぁ、自分の胸に聞いてみるんだな!おい、やっちまえ!」

クリスティーナに下がるように言い、襲い掛かる暴漢に対峙する。
屈強な男たちは確かに体はよく鍛えられているようだが、如何せん動きが遅い。
振り下ろされる野太い腕を易々と避けて、よろけた隙に思い切り蹴りを見舞う。
図体のでかい重い身体は俺の蹴りを喰らって大きく態勢を崩して転がっていった。
残りの男たちにも同じように軽いジャブとキックを顔面を狙って繰り出す。
意外と派手に転がる男たちに睨みを利かせれば、何故か震えあがってよろけながら逃げ出していった。
余りに呆気なすぎて思わず呆けてしまう程だ。
だが、報復に人数を揃えてまた待ち伏せされるだろうか。これは益々クリスティーナを一人にはしておけない。
ヴィエリは結構しつこい男だし

「クリスティーナ。俺、パッツィと話をしに行く。君の護衛には他のアサ知り合いを紹介するから」
「で、でもあの方が聞くとは思えないわ」
「そうだなだが、一応説得してみる。パッツィの反応を見ておいた方が対策を取りやすいだろうから」

クリスティーナは心配そうに俺を見つめたが、俺は彼女を安心させるために笑みを見せると、諦めて頷いてくれた。


フェデリコにクリスティーナを頼み、俺はヴィエリを探して奴が現れそうな場所を見て周った。
当てもなく歩き回るのは建設的ではないので、見知った顔の盗賊達に手伝ってもらい、直ぐに居場所が分かった。
ヴィエリは取り巻きを引き連れ、随分と荒れた様子で街を練り歩いていた。
何事か取り巻き達に怒鳴りつけて、またその取り巻き達がヴィエリを宥めようとしている。
相変わらずの高慢な態度に、俺から歩み寄ってやる必要はあるのかと内心でため息を吐いた。

ヴィエリとは敵対したままでも一向にかまわないが、もしかしたら父上たちを罠にはめようとする事を未然に防げるかもしれない。
望みが薄くとも、出来ることは全てやっておくに限る。

ヴィエリの前へと歩み寄り、真剣な顔で奴に対峙する。
ヴィエリは身構えたようだが、俺は敵意はないと両手を上げて示した。

「パッツィ、ちょっと二人で話せないか?今日は拳は無しで頼みたい」
「話したいなら自らその状況を作って見せるんだな!おい!お前達!アイツを殺せ!」

取り巻きにそう命令をするが、どうやら暴漢がやられたことを既に知っているようで、狼狽えて俺とヴィエリを交互に見やった。
怒り心頭で取り巻き達を嗾けるヴィエリに、やれやれとため息を吐き、無謀にも殴り掛かられる前に、取り巻き達の幾人かに得意の蹴り技と腹に重い一発をくれてやり、地に沈めた。
蜘蛛の子を散らす様に取り巻き達がヴィエリを残して逃げ去っていく。
ヴィエリもそれに続こうとしたが、俺は襟首を掴んで引き留めると、根気よく話しかけた。

「この間の様に暴力はなしだ。俺はお前に拳を上げたりしない。だから話を聞いてくれ」
「嘘だ!俺に報復しようというのだろう!その手には乗らないぞ!」

思わずお前じゃあるまいし、と喉まで出かかったが、なんとか抑えてヴィエリと話をしようとしたが、どうにも暴れて話せる状態にならない。
無暗に殴り掛かられなければ、とりあえずは話せるかとも思ったが、無理やり抑え込むのでは結局不満を募らせるだけだ。
仕方がなくヴィエリを開放すると、走って相当の距離を開けられてからこちらを振り返った。

「今度は頭数を揃えて話し合いにきてやる!首を洗って待っていろ!」
「パッツィ。本当にただ話をしたいだけなんだがなぁ殴り合いとかそういうのは無しで話そう。お互い冷静になった方が良い」

下手に出れば、ヴィエリは少しだけ逡巡した後何を思ったのか、機嫌よく笑みを見せて俺の方に近づいて来た。

「そうか、お前俺の勢力下に加わりたいんだな?まぁお前を部下にしてやっても良い。多少は腕に自信があるようだから用心棒にしてやる」
「いや、勢力とかそういうのに興味はない。ああ、そういえば自己紹介がまだだったか?俺はエツィオ・アウディトーレ。よろしく」
「アウディトーレ?パッツィ家の敵じゃないか!」
「まぁ、今は家の事は良いじゃないか。俺自身は敵対するつもりはないし、お互いの誤解とかまぁ、どうなるにせよちょっと話をしよう」

急に気色ばむヴィエリを宥めつつ、何とか話をしようと努力する。
正直これと友人関係になってもメリット無さそうとか思ってしまうが、今際のヴィエリの遺言と牧師の手紙を思い出すとそう無碍にも出来ない。

「立ち話もなんだしあ、あそこ座ろう」

ベンチを指さして、とりあえずヴィエリの腕を掴んで目的の場所まで移動する。
一先ず座って隣をトントンと叩いて座るように声を掛ければ、渋々従って俺の隣に座った。

「この間の事を恨みに思っているんだろうけど、俺としてはお前ともめ事を起こしたい訳じゃない」
「もめ事を起こしたい訳じゃない?!俺をあんな風に殴っておいて、よく言えたものだな!」
「殴り掛かられたら反撃くらいするだろ?一方的だったのはちょっと悪かったかなーとは思ってるよ」
「うっ!煩い!やっぱりお前は鼻持ちならない野郎だ!いい子ぶりやがって!俺を見下してるのか?!」
「見下してなんかないよ。でも、やっぱりやり方とかなんか悩んでるとかなら力に、なる……

なんか言っていてサブイボが立って来たそもそも俺はコイツをどうしたいんだ
友人になった所でコイツの家はどっぷりテンプル騎士団にはまっているんだから最終的には敵になる。
下手に情を掛ければ、結局敵になった時にもっと拗れるんじゃなかろうか。
思わず最後の対峙でヴィエリが「友人だと思っていたのに!」と悲壮感満載で追い詰められる様を想像して顔を顰めた。

「なんだその嫌そうな顔は!馬鹿にしているのか?!」
「いや違うんだ!なんか間違えたなと思って!俺も本当は別にお前と友達になりたい訳じゃないし」
「!!ばっ馬鹿にしているだろう!もういい決闘だ!」
「決闘しても良いけど、相手にならないだろ?人数集めるならこっちだっていや、フィレンツェに戻ってきたばっかりで友達とかいないな
お前一対一とか絶対守んないだろ?じゃあ嫌だ」

俺が無下に断ると、ヴィエリは何か言い返そうとして何も思い浮かばないのか、口をパクパクと開閉させて怒りで顔を真っ赤にしていた。
やっぱりヴィエリと和解とか止めておこう。
こいつん家はどうあっても敵だし。
寧ろアニムスで体験したように、互いに嫌い合っていた方が躊躇なく安らかに眠らせてやれる。

「そういえばお前、あのくそ虫みたいなアウディトーレの家の者だと言ったが、見た事ない顔だ。家族から疎まれて追い出されていたのか?」
まぁ、色々あって家からは出てたよ」

殆どヴィエリの話を聞き流して適当に答えると、微妙な沈黙の後、ヴィエリが俺の肩を励ます様に優しく叩いた。
何事かと振り返れば、酷く嬉しそうな顔で俺を見ていた。

「お前が素直に頼むなら、俺様が面倒見てやらなくもないんだぜ?」
「いや、いい。また暫くしたらフィレンツェを離れるし」
ヴェスプッチも一緒にか?」
「彼女はここに残るよ。ああ、それで彼女の事だが、無理強いするな。確かにあれだけの美人は気後れして声かける男が少ないから言ったもん勝ちってのはあるけど、あれじゃあ落ちるもんも落ちない。力づくでモノにしたって虚しくなるだけだ。パートナーにするならやっぱり互いを想い合えた方が幸せだろう?」
「し、知った風な口を!よそ者のくせにっ!」
「俺だって生粋のフィレンツェ人だ。お前にも女兄妹とかいるなら素直に聞いてみろよ。家族ともよく話し合ってみたら、好転するかもしれない」

励ます様に肩を叩く。
しかし気に入らなかったのか、直ぐに俺の腕を叩き落として、怒りに足音を立ててその場から去っていった。



****




「おいエツィオ!またフィレンツェから追い出されるかもしれないだろうが、俺様の部下を紹介してやる!」
朝から元気だな。どういう風の吹きまわしだ?」
「べっ別にお前の為に紹介するとかそういうんじゃないからな!ここフィレンツェでどうすれば平穏に過ごせるか教えといてやる!じゃないと俺に不愉快な思いをさせて、とんでもない目に合うかもしれないからな!感謝しろ!」

これはあれか500年後のジャパンの文化でいう「TSU N DE RE」って奴だろうか
うわぁ、要らないっていうか、マジで朝っぱらからアネッタに叩き起こされたんだけどお友達?が来ていますよとか言われて
友達じゃないしっていうか、フェデリコが物凄い目で俺の事見てんだけど違うから。断じて違うから。友達とかじゃないから。

家族と話は出来たのか?」
「その事についても話がある。とりあえず俺についてこい」
「おい、人気のないところに誘い込んでボコボコにしようってんじゃないだろうな?」
「お前相手に俺様がそんな卑怯な事すると思うのか?まったく、どれだけ疑り深いんだお前は!」

ヴィエリの取り巻き達が互いに目配せして物凄い顔しているけど、これは信じても良いものだろうか。
まぁ、囲まれたところでここに居る取り巻きはどの者も満足に戦えるようには見えないが。
やれやれと頭を振り、一応付き合ってやる事にする。

「俺、今起きたばかりで飯もまだなんだけど
「仕方ない。じゃあフィレンツェで一番美味い店に連れてってやる。感謝しろ!」

ふんぞり返って得意げにするヴィエリは、まったく精神年齢が10歳以下で止まってしまっているように見える。
一先ずぼさぼさの髪を整え、シャツにベストを羽織ってズボンをベルトで確り止めてから外へ出た。
その間、フェデリコがヴィエリを揶揄い倒していたようで、強引に腕を引かれてさっさとアウディトーレ邸から引っ張り出されてしまった。
心配そうにクラウディアが顔を覗かせたので、引き摺られながら兄妹に行ってくると手を振る。
しかしクラウディアは何故だか挙動不審でフェデリコの陰に隠れてしまった。
そんな妹を見て、ヴィエリが何やら誤解をしたらしく、また可哀想な者でも見る様な目で俺を見て、励ましてきた。
フェデリコ曰く、俺の宣言通り素敵なお兄様になって帰って来たから、ずっとドギマギしているだけらしいが、それを俺が家族と不仲だと信じて疑わないヴィエリに確信を与えてしまったようだ。
全くの見当違いなんだがまぁ、いいか。

この間もフェデリコに連れて行ってもらった食堂に、ヴィエリに得意げに案内され、一先ず朝食を摂る。
良く分からないが、ヴィエリが奢る気満々のようで、恩着せがましく心配するなだの好きなだけ料理を頼めだの言ってきたが、丁重にお断りして適当に注文した。

「俺様が奢ってやろうというのに辞意するなんて謙虚な奴だ。大体は喜んであれこれ頼むのに」
「お前、そんな損得ありの人間関係なんて止めろよ。大人になったらその方が楽なこともあるけど、若い内はもっと自由に人を選べるんだから」
「お前、説教くさい牧師みたいな事を言うな」

ヴィエリが死んだ後に読んだ牧師の手紙を思い出す。
かなり親身にヴィエリの事を想ってフランチェスコへと手紙を宛てたというのに、結局それは報われなかったのだ。
恐らく父親が行う非道な行いを日頃見て育って、同じような事しかできなかったのだろう。
昔っから横柄な態度が嫌いで、いちいち絡んでくるのが鬱陶しかったけど、今日みたいに仲良く(?)しようと尋ねてくる辺り、本気で俺と友達になりたいとか思っていたのかもな。
あまり興味のない、ヴィエリの自慢話を右から左に聞き流し、たまに突っ込みを入れながら食事を済ます。
余計な自慢話の合間に、妹と少し話をしたという事を照れ臭そうに話しているのを見て、俺は目を瞠った。

「そうか。それじゃあ女心の何たるかをたっぷり教えて貰えたわけか」
「だが、妹の話には全く納得できない。男は奴隷じゃないってのに、やれ言う事を聞けだ謙れだ!俺様を何だと思っているんだ」
「あんまり過ぎる要求は確かにうんざりするがただ、美人の我が儘にはなんでも聞いてやりたくなるだろう?そういう余裕を持った気持ちで女性に接すればモテると思うぞ」
「な、なるほど

ヴィエリと取り巻き達と女性にモテるにはどうすれば良いかを散々質問攻めにされ、一応俺としての持論を話して聞かせる。
どうもヴィエリ一行は残念な者達ばかりが寄せ集まっているらしく、俺が話す内容がどんなに一般的な事でも目からハムを取り去ったように大げさに頷き聞いていた。

「お前のクリスティーナに対する口説き方は悪いお手本のようなものだ。彼女に対して焦る気持ちは分かるが、まずは相手を対等に扱わないと誰だって振り向いてなんかくれないぞ?」
「じゃ、じゃあどうすれば良いというんだ!俺は下手に出るなんてしたことがない!」
「うーん、いきなりは難しいしボロも出るもんな。身近な人間で試して、なるべく普通に接する事が出来るようにしろ。
その前にクリスティーナには謝罪した方が良いな。今度からは付き纏ったり、嫌な事は言わないようにするって」
「つ、付き纏ってなんかない!!」
「お前はそう思ってても相手は違うんだ。丁寧な謝罪をして最初は手紙とかで軽く謝って 、それから直接心を入れ替えますって宣言するんだ。で、まずは友達になってもらう」
「俺がなりたいのは友達なんかじゃ
「毛虫みたいに嫌われたままよりは、友達になれたら物凄いステップアップだろ。俺は順をおえって言ってるんだ」

俺の指摘に歯ぎしりして、だが素直に聞いているヴィエリを不思議な気持ちで見つめる。
案外矯正できるのではないかと思っていると、不意に肩をポンと叩かれた。
後ろを向くと、面白いものでも見る様にフェデリコが俺たちを見下ろしていた。

「長いこと帰ってこないから、リンチされてんじゃないかと思って来てみれば、面白い事をやっているんだな。
俺も混ぜてもらいたいが、父上がお前を呼んでいてな。この場はバトンタッチしてやろうか?恋愛指南は俺も得意だ」

ウインクをして俺にこの場を譲れと言うので、なんとなく拗れそうな予感を感じつつ、ヴィエリにはこれで失礼すると断ってから席を立った。
先程の恋愛指南が得意だと宣ったフェデリコに取り巻きの一部が質問をして、何故だが講義が続行になった。
ヴィエリは仏頂面のまま俺について店を出ると、暫く無言で二人並んで歩いた。

クリスティーナには話をしてみる」
「その前に手紙を書いた方が良い」
「て、手紙か。手紙を書いたら見せるから意見を聞かせろ」
「見てやっても良いけどさ、頼む立場なんだから命令するなよ。そういう所だぞ」
「じゃあなんて言えばいいんだ!」
「普通に意見を聞かせて欲しいで良いだろ?先は長そうだな」

アウディトーレ邸の前までくると、ヴィエリが躊躇するように歩みが遅くなった。
ここでさよならかなと思い、挨拶でもしようと向き合えば、ヴィエリから怒ったように話し始めた。

「明日も、む、迎えにきてやる!だから意見をき、聞かせて欲しい」
ああ。でも今日みたいに朝っぱらからは止めてくれ。それと、家の仕事とかがあったら相手してやれないから、その時は使いを出すよ」
「わかった。じゃあ、明日」

弛む口許をモゴモゴさせて、俺に挨拶をして去っていく。
その後ろ姿を見送って、また一つ何かを変えられるような気がした。



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