@niziirononanika

名称:ドクサ doxa
外見:183cm 74kg 外見年齢20代後半
分類:独立型
能力:五感により得た認識を歪める。
※特記事項
接触前は以下の言葉を唱えてください。
〝幽霊の正体見たり枯れ尾花〟
解説:当哲学人はタイリクオオカミを好んで真似ている長髪の男性です。
当哲学人の体は一般的な人間と同様の組織であり、着用する衣服は研究所支給のものです。性質を変化させる能力はありません。
しかしながら、当哲学人の外見、発生する音、体臭、接触時の感覚、味は、異なるものを要因としたものとして認識されます。
認識一例
外見:哲学人【イドラ】/哲学人【《常識の》ドクサ】/等身大の人形/古い木/人狼
声:オオカミの鳴き声
足音:検査機器の異音/雨漏りの音/小動物が木を齧る音
拍手:爆竹の炸裂音/家鳴り/足音
呼吸音:ノコギリで木材を切る音/上空を飛行機が飛ぶ音/壁を引っ掻く音
心音:上階の足音/他哲学人の能力発動音
楽器の演奏:動物の鳴き声/CD音源の再生/施設の警報音
体臭:香水/花束/果物/砂糖菓子
髪:実家の飼い犬/ススキ/ブラシ
体表:人間の体/磁器製の人形/温水を入れた水風船/布
粘膜:カエル/濡れたスポンジ/傷口
排泄物:試薬/動物の死体
味:ポテトチップスうすしお(指) ※追加実験は予定されていません。
当哲学人と接触し、多くの誤認識を同時に発生させた場合、本来なら両立しないもの(楽器と花、風の音など)が同一存在であると観測者の知識上で新たに定義されます。その状態が長時間(個人差が大きいが、半日でほぼ確定的発生)続くと、観測者は誤認識により連想した物品本体に対してもその定義を当て嵌め、それが常識であると考えるようになります。
この効果は当哲学人から離れても継続しますが、正しい知識を学び直すことにより修正が可能です。
機械による録画、録音された情報越しに当哲学人を観測する場合、誤認識は発生しません。
当哲学人は人懐こい犬のような性格で、人間を見つけると積極的に交流しようと声を上げます。また、物音を立てたり、手を振って視線を誘導します。その際に対象は高確率で能力に暴露し、当哲学人であると気が付かず接近、より深刻な影響を受けます。
当哲学人と対話中は誤認識による問題はほぼ感じられないため、また当哲学人も他者との関わりを好んでいるため、気が付かないままに日常生活に支障が出るレベルの認識能力に陥ります。
当哲学人は三歳児程度の知能を有しており、簡単な言葉を理解していますが、声帯の形状から人語を発声することができません。
(20■■/■/■追記)他者の声真似という形での発話が可能です。その声は本人が発言したものとして認識されます。また、自身の声真似を聞いた場合、自身がその発言をしたと記憶違いする可能性が非常に高いです。この特性を利用して偽の言質を取得するのはやめてください。絶対に禁止します。
現時点で彼が自分の意思を狼の鳴き声以外で発語している姿は確認されていません。
指示と簡単な対話のために、研究所内専用の通信機能を持つタブレットを所持させています。入力された文字に対し、文字の内容に関する認識の歪みは発生しません。
ただし手書き文字やペイント機能によるイラストはその独特の癖から連想と誤認識を引き起こします。
(20■■/■/■追記)当哲学人に絵本を見せたところ興味を示し、流暢な日本語で朗読を始めました。漢字も正しく読み、意味も理解している模様。
(20■■/■/■追記)毎月16日に聞こえる遠吠えの正体は当哲学人ではありませんでした。
対応:■■大学附置哲学人研究所人型哲学人収容室で生活。実験内外に関わらず、常に映像・音声を撮影する。
毎食は担当研究員が収容室に運び、衣服の着方や食器の使い方、道具の扱い方を補助する。
収容室隣のトイレにてトイレトレーニングを実行中です。業務内容の増大を加味し、おむつ使用に完全移行します。
一日の対面時間は4時間未満とし、接触後は映像・音声記録を基にして認識を正すこと。
イデア界を想起させるあらゆる行動を禁忌とする。
発見経緯:■■■■研究所■■番収容所閉鎖後に資料と共に移転された。それ以前の所在についての記録は移転時に消失したと思われる。
+実験記録01・暴露実験を見る
日時:20■■/■/■■
対象:■■■研究員(■■実験室主任)
知覚内容:哲学人【ドクサ】の外見
誤認識:人狼
その後:命の危機を感じ狼狽。哲学人【ドクサ】が人懐こい性格とわかると落ち着きを取り戻す。
5分経過後、隣室に移動。哲学人【ドクサ】の姿が見えない状況で人狼のイラストを確認したところ、正しく認識した。イラストと哲学人【ドクサ】を結びつけた認識は行わない。また、哲学人【ドクサ】の写真については長髪の成人男性であると回答。
再び哲学人【ドクサ】と対面。哲学人【ドクサ】自身を人狼であると認識するものの、対面しながら確認した人狼イラストや哲学人【ドクサ】写真への認識は正常なままであった。写真への認識と対面の認識が異なることに違和感を覚えている。
日時:20■■/■/■■
対象:■■研究員
知覚内容:哲学人【ドクサ】の外見。彼が叩いて音を鳴らしていたテーブルと、その音。
誤認識:哲学人【ドクサ】を陶器製の人形。テーブルを楽器、叩く音を演奏と認識。総じて、自動演奏する機械と考えた。
その後:異常なし。実験後1週間程、■■研究員が時折テーブルを軽く叩く仕草が複数回見られたが、これに関しては「あの演奏が素晴らしかったので」と照れたように話しています。■■研究員は即興音楽を好みます。
日時:20■■/■/■■
対象:■■■研究員
知覚内容:哲学人【ドクサ】の声
誤認識:風の音
その後:異常なし。翌日再実験を行う。
日時:20■■/■/■■
対象:■■■研究員(二度目の暴露)
知覚内容:哲学人【ドクサ】の声
誤認識:狼の遠吠えであり、風の音
その後:聞き取り調査によると、狼の遠吠えと風の音が同時に聞こえたのではなく『二つの音は同義の音である』と認識していた。実際の狼の遠吠えを聞かせたところ、それを風の音とは認識しなかったが、哲学人【ドクサ】の声に対する認識と実際の音への認識が異なることに違和感を覚えている様子だった。
翌日再実験を行う。
日時:20■■/■/■■
対象:■■■研究員(三度目の暴露)
知覚内容:哲学人【ドクサ】の声
誤認識:狼の遠吠えであり風の音であり鳥の鳴き声。
その後:前回の実験と同じ。誤認識の種類が増えていくものと思われる。上限を調べるため、認識を正さずに複数回の暴露実験を行う。
日時:20■■/■/■■
対象:■■■研究員(十度目の暴露)
知覚内容:哲学人【ドクサ】の声
誤認識:狼、風、鳥、楽器、■■研究員の声など八種類の音。
その後:聞き取り調査を行っている最中、窓から入る風の音に対し「窓の外に狼がいる」と発言。また、誤認識の中にあった■■研究員が室内に立ち入ると、彼のこともまた狼や風、楽器であると発言しました。
その思い込みは強く、■■■研究員自身は誤認識であると自覚していない様子。その代わりに記憶と知識の矛盾による強い恐怖と混乱を感じている。
今回の暴露時間は3時間。
その後■■■研究員は■■■病院にて治療を受け、六ヶ月で認識を正すことに成功し復帰。
(20■■/■/■追記)復帰後の■■■研究員が、■■研究員に対し「何故尻尾がないんだ?」との発言をしました。
また、研究所の隙間風を聞き、「仕事場に楽器を持ち込むな」と他の職員を注意しながら窓を閉める様子も確認されています。
日常生活に支障はありませんが、これからは哲学人【ドクサ】の能力への暴露時間に制限を設けます。
+実験記録02・クロステスト関連を見る
日時:20■■/■/■■
対象:■■研究員(哲学人【イドラ】の担当職員)
知覚内容:哲学人【ドクサ】の外見
誤認識:哲学人【イドラ】
その後:哲学人【イドラ】を実験室へ送る最中であったため、また、哲学人【イドラ】が曖昧な返答を行ったため、彼に分身などの増殖能力があると思い込み上層部へ連絡を行いました。その後哲学人繁殖学研究班数名による聴取と検査、三日に及ぶ議論の末、思い込みであると判定されました。
誤認識以後の行動は哲学人【イドラ】の能力によるものと考えられています。
コメント:「あのアホ犬と一緒にすんじゃねぇ」-哲学人【イドラ】
日時:20■■/■/■■
対象:哲学人【イドラ】
知覚内容:五感全て不明
誤認識:視覚、聴覚を犬。嗅覚を人。触覚を羽毛。味覚を人。不明
その後:日常生活に一切の支障はなく、哲学人【ドクサ】についての情報も正しく発言できています。また、他の哲学人らの発言から彼らは研究所に所属する以前からの知人同士です。近しい意味を持つ哲学的用語であることから、互いの能力の影響を受けない、もしくは既に受けた後であると考えられます。後の聞き取り調査中、哲学人【イドラ】から「あいつメスじゃねーのかよ!?」との発言がありました。能力による誤認識なのか、彼の体付きから自然に間違えていたのかは不明です。
コメント:「だからイドラを実験参加させんのやめろつったじゃん」-■■■■■■■研究員
日時:20■■/■/■■
対象:■■■■■■■研究員
知覚内容:哲学人【ドクサ】の外見
誤認識:不明。事前に資料を読んでいたことと性格上の傾向から、外見への誤認識は起きていない可能性があります。
その後:■■■■■■■研究員が担当職員の忠告を無視し哲学人【ドクサ】へ『哲学としてのドクサの役割とエピステーメーへの繋がり、プラトン哲学におけるイデアに到達する方法』について語り始めたため■■研究補助の手により制止されました。
哲学人【ドクサ】が彼の話を理解したかは不明です。
コメント:「こいつも駄目だ!」-■■研究員
+■■■■研究所■■番収容所引継ぎ資料
■■■■/■/■ ■■■■研究所■■番収容所では、全職員■■■名、哲学人■■名ならびに全研究データの消滅が確認されました。
こちらはその後の調査にて、哲学人【イデア】の収容室内にて発見された録音記録の複製の書き起こしです。
該当記録は最新の録音機材で録音し直し、保存を続けてください。最初期の録音機材は劣化、摩耗を避けるため■■■■室で保管してください。
現在、■■大学附置哲学人研究所では当資料を基にした、安全なイデア界の到達研究を進めています。
+書き起こしを閲覧する
4:35
(複数の人間のざわめき。機械の駆動音)
(男が呼びかける声)
(ざわめきが治まり、複数名による言葉の繰り返しに変わる。言葉の内容は不明)
(合唱の声が続く)
4:45
(合唱の声が続く)
4:50
(合唱の声が続く)
(何かが軋む音。金属製の扉が開く音に酷似している)
(合唱の声が乱れる。男女複数の悲鳴が合唱に混ざり始める)
(強い風の音。悲鳴の割合が増大する)
(合唱の声がほぼ消失)
(男の笑い声。これは最初に呼びかけを行った声と思われる)
(風の音。悲鳴。男の笑い声)
(音が歪み、引き延ばされたように間延びする)
未知の声:おしまいです。
(金属を叩いたような轟音)
(全ての音が消失)
4:55
(足音。衣擦れの音。音が近寄る)
未知の声:おや。残ったものがありましたか。
5:00
未知の声:おはようございます。扉は閉めました。
未知の声:名を明かしておきましょう。わたくしはエピステーメー。真理に人々を導く者です。
未知の声:それと……こちらは研究施設でしたね。であれば、この資料も、この場所も、同じくわたくしたちを研究する者達に引き継がれるのでしょう。そう期待して、全てを語っておきましょう。
未知の声:わたくしはこの研究所にて保護されていた哲学人です。能力はただ、貴方達の理性を強化し、認識を強化し、真理に近付けることである、としました。だから少々、お手伝いをしていただけなのですが。悪用されましたね。
未知の声:真理の先にあるものを、知っていた男が紛れ込んでおりました。わたくしの真の能力はただの知性の底上げでは終わらない。もっと先、真理の先、扉の先、神々であり全てが揃った土地、天界へ人間を導くというものでした。それを強要されてしまった。
未知の声:そして皆、死にました。
(ため息の音)
未知の声:天界に行って、帰ってくることはありません。
未知の声:わたくしは、真理の扉の番犬でした。昔であれば、誰かが真理の扉を開けたとしても、人間をそう簡単に通さなかったのですよ。けれど見てください、皆、簡単に扉の向こうへ渡ってしまわれて。そう、わたくしは扉を守るという仕事を失っているのです。
未知の声:イデア様はわたくしから仕事を取り上げ、そして今は褒めてくれることもない。
未知の声:だから、扉を隠し。人間の居るこの地上にまで降りて来たというのに。今度は扉を開けるよう強要されるなんて。ああ、なんと嘆かわしい。
(ため息の音)
未知の声:さて。わたくしのままでは都合が悪い、と学びました。もう一段階、愚かになりましょう。知性など失ってしまいましょう。そうなればもはや、エピステーメーの名を名乗る資格も無くなります。
未知の声:次のわたくしは考えることがありません。名前は、ドクサ。わたくしが番犬の任をいただく前の名に戻ります。その間に貴方達人間は、真理など目指すことを止め、わたくしという死の扉を作り替える手段でも考えていただければ、喜ばしい。
未知の声:エピステーメーに対し、知の枠組みと。ドクサに対し、定説と。新しい意味を付けてくださったときのように。
未知の声:狼が犬に進化したように。
未知の声:期待もできない身で待っていますよ。
(オオカミの鳴き声。哲学人【ドクサ】のものと思われる)
(オオカミの鳴き声。困惑を表している)
5:05
(オオカミの鳴き声。仲間を呼ぶ際に使われるもの)
(足音が遠ざかる)