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哲学人資料『永劫回帰』

全体公開 11394文字
2018-12-06 23:08:27


名称:永劫回帰 Ewig Wiederkehren
外見:身長144.8cm 体重35.2kg 10歳程の少女。黒色の髪に、水色の目。虹彩には白い渦巻模様が描かれている。頭部上方にて、発光する三角形が円形に浮遊している。

対応:一般的な収容者と同じ生活サイクルを適用。

■■■■年■月■日 改訂(第51版)
休日含め、全て以下タイムスケジュールを参考にすること。反する行動を取らせる場合は、翌日以降にスケジュール化されて問題ない内容であるかを哲学人管理係に確認すること。
現在、哲学人【永劫回帰】の行動をスケジュールからは逸脱させる方法は外部から不定期に届く差出人不明の手紙のみである。

5時16分:発生
6時45分:起床
6時47分:点呼
6時50分:室内清掃・身支度
7時10分:朝食(専用メニューを使用)
7時40分:出室
8時00分:刑務作業(自営作業手伝い)
10時00分:30分休憩
12時00分:昼食(専用メニューを使用)・自由時間
12時38分:【エロティシズム】との対話。音声は記録し、会話開始後10分後からの内容が昨日と異なる場合は監視担当者を配置する。
14時00分:刑務作業(自営作業手伝い)
14時42分:哲学人【反復】との対話。音声は記録し、会話開始後10分後からの内容が昨日と異なる場合は監視担当者を配置する。
16時25分:哲学人【鶏が先か卵が先か】の乱入により対話終了。同哲学人を回収し事務室に運搬する。
16時31分:事務室にて菓子(チョコパイ)を1つ摂食。
16時50分:入室・点検
17時00分:夕食(専用メニューを使用)
17時03分:哲学人【エロティシズム】が居住室内に食事を持って侵入。職員が「仲良しだね」と揶揄することで10分以内の退室を促す。
17時16分:哲学人【神は死んだ】が居住室前まで様子を伺いに来るため、待機職員が速やかに確保し居住室に収容する。(兄妹愛です。揶揄うのは控えるように)
18時00分:入浴
18時06分:シャワールームにて給湯器不具合が発覚。(現在不具合が発生しない設備を準備中)
19時10分:読書
21時00分:就寝
21時03分:身体の崩壊・消失

注意点:本日の行動内容は、翌日に誘発されます。特異な行動は避け、より良い一日を心掛けてください。
(例:収容違反、不注意の怪我、報奨、差し入れ、記念日用の食事、等)

収容経緯:
■■■■年■月■日 哲学人と主張する未知の人物により、■■市警察署に保護の申請がされる。
未知の人物はその後消息不明。
調査と聞き取りの結果、哲学人であると確定。規約に則り■■大学附置哲学人研究所へ移動を申し込む際、65回の延期が発生。
調査ならびに移動延期期間、■■市哲学人保護室内での能力暴走事故件数が著しく減少したことから能力の有用性が発覚。
研究所協力の下、■■哲学人犯罪取締課での収容が確立される。

+取調記録を見る

日時:■■■■年■月■日
保護申し込み直後の対話。既に未知の人物は姿を消している。

捜査官:あのー、さっきのお姉さん……だっけ? あれ。ええと。
【永劫回帰】:彼は僕を連れ出しました。新たな人生を創造しました。
捜査官:そっかぁ。いやあ、しっかりした子だね。お名前は?
【永劫回帰】:はい。哲学人、永劫回帰です。人生の最高にして最大の肯定です
捜査官:ありがとう。お困りごとがあって、来たのかな?
【永劫回帰】:はい。悲劇的な回帰を終了するためです。
捜査官:悲劇?
【永劫回帰】:毎日怪我をしていたので、彼が見かねて、僕の未来を変えました。
捜査官:なるほど。お母さんやお父さんはいるかな?
【永劫回帰】:居ません。
捜査官:なるほどー。教えてくれてありがとう。お菓子あるよ、食べる?
【永劫回帰】:いただきます。
捜査官:頭のそれは飾りかな?
【永劫回帰】:僕の一部です。
捜査官:天使の輪みたいだねー。死後の世界に変わる希望だから?
【永劫回帰】:(数秒静止。チョコ菓子を受け取る)僕を知ってくれて、ありがとうございます。
捜査官:はは。哲学勉強してて良かった。
【永劫回帰】:貴方がそう思うのなら、僕はそれを肯定します。
捜査官:ありがとう。
【永劫回帰】:僕は警察に保護されることになります。
捜査官:未来予知能力を持ってる?
【永劫回帰】:いいえ。過去の記憶です。僕にとっては、僕の未来が変わることも過去の一つです。
捜査官:そっか。あー、哲学人の専門家の意見貰わないとこっちは動けないんだ。正式な手続きはまた後日。でも、哲学人犯罪取締課まで連絡は出しておくね。
【永劫回帰】:ありがとうございます。
捜査官:で。保護理由の項目が必要になる。毎日怪我をしていた理由は何か、教えてくれるかい。
【永劫回帰】:転んでしまいました。
捜査官:うん?
【永劫回帰】:転んで怪我をする、という現象を、毎日繰り返していました。それを助けに入った人を巻き込んで事故になる、という現象に発展しました。その事故を毎日繰り返しました。ここではない国で。
捜査官:あー。ええと。永劫回帰ってその、一日単位で繰り返している、と?
【永劫回帰】:はい。
捜査官:え、じゃあこの会話は?
【永劫回帰】:明日も行われます。おそらくは、正式な手続き用の書類に不備があった、という形で。
捜査官:なるほどねぇ、自然とそうなっていくんだ。
【永劫回帰】:せめて楽しい対話にしたいと思います。
捜査官:業務時間圧迫を避ける方向で対応したいと思うかな!

日時:■■■■年■月■日
哲学人同定のため、■■大学附置哲学人研究所より派遣された■■研究員と行われた対話。1回目。

■■研究員:こんにちは、私は研究員の■■。こっちで見付けたデータと、君との関連性を確認しに来たよ。
【永劫回帰】:はい。
■■研究員:まず、君の名前は?
【永劫回帰】:永劫回帰です。
■■研究員:ありがとう。で、過去データに君と類似存在の情報があるんだよね。君、以前はどこにいたのか聞いていいかな?
【永劫回帰】:スイスに。
■■研究員:地名は?
【永劫回帰】:シルス・マリアです。
■■研究員:ありがとう、情報が一致。自ら明言したのでバイアス系の線も消えた。永劫回帰を騙る必要がある別哲学も無し。あとは君が能力影響下にある人間の可能性だけど、それは病院での検査が必要だからここでは判断不可能。よって、君を保護対象として認定します。
【永劫回帰】:はい。
■■研究員:どこの施設でも、生活が保障されるよ。申請に来てくれてありがとう。
【永劫回帰】:こちらこそ、ありがとうございます。
■■研究員:それじゃ、これで同定完了。手続き進めとくね。


日時:■■■■年■月■日
哲学人同定のため、■■大学附置哲学人研究所より派遣された■■研究員と行われた対話。2回目。

■■研究員:こんにちは、私は研究員の■■。こっちで見付けたデータと、君との関連性を確認しに来たよ。
【永劫回帰】:はい。
■■研究員:まず、君の名前は?
【永劫回帰】:永劫回帰です。
■■研究員:ありがとう。で、過去データに君と類似存在の情報があるんだよね。君、以前はどこにいたのか聞いていいかな?
【永劫回帰】:スイスに。
■■研究員:地名は?
【永劫回帰】:シルス・マリアです。
■■研究員:ありがとう、情報が一致。自ら明言したのでバイアス系の線も消えた。永劫回帰を騙る必要がある別哲学も無し。あとは君が能力影響下にある人間の可能性だけど、それは病院での検査が必要だからここでは判断不可能。よって、君を保護対象として認定します。
【永劫回帰】:はい。
■■研究員:どこの施設でも、生活が保障されるよ。申請に来てくれてありがとう。
【永劫回帰】:こちらこそ、ありがとうございます。
■■研究員:それじゃ、これで同定完了。手続き進めとくね。


日時:■■■■年■月■日
哲学人同定のため、■■大学附置哲学人研究所より派遣された■■研究員と行われた対話。3回目。
この対話の後、同定完了し、■■大学附置哲学人研究所への移動申請が行われた。

■■研究員:こんにちは、私は研究員の■■。こっちで見付けたデータと、君との関連性を確認しに来たよ。
【永劫回帰】:はい。
■■研究員:まず、君の名前は?
【永劫回帰】:永劫回帰です。
■■研究員:ありがとう。で、過去データに君と類似存在の情報があるんだよね。君、以前はどこに……
(■■研究員が資料を捲る。手書きメモが現れる)
■■研究員:あれ、この会話もう……え? あれっ、これ3回目だよね?
【永劫回帰】:はい。
■■研究員:ちょっと待ってね……(手元の資料を確認する)うわ本当だ。はー、これ対処しないとまさに永劫回帰するね。なるほど。
【永劫回帰】:せめて楽しい対話を心がけたく思います。
■■研究員:大丈夫。気付けた時点で進めてる。ごめん、ちょっと電話するね。
【永劫回帰】:はい。
(■■研究員が電話を始める。哲学人【永劫回帰】は静止)
■■研究員:あ、■■■■■さん? 抗哲機効かなかったや。ルサンチマン借りれる? ……うん。ありがとう。手配お願い。うん。うん。あー、ううん。同定担当変わるつもり。それじゃ研究所で。
(通話が終了する)
【永劫回帰】:ルサンチマンですか。
■■研究員:あの人、運命操作っぽい能力あるから。知り合い?
【永劫回帰】:親戚のお兄さん、という距離感です。
■■研究員:おお、運が良いかも。


+検閲記録を見る

未知の手段により哲学人【永劫回帰】宛てに届けられる手紙群。以下はその抜粋。
保護申し込み者との関連性または当哲学人の能力への悪影響が疑われるため、検閲が実施されている。
なお、全て筆跡や使用文具が異なる。

日時:■■■■年■月■日

暑い日々が続くが、健勝だろうか。
私はただ今において健康である。それ以上に表現のしようがないとは知っての通り。
そしてまたお前は、昨日の健全が今日の健全を呼んでいるのだろう。
とはいえ気象という大きな変化はお前の能力では賄えまい。
一度体調を崩すと生活変化まで時間と労力がいるのだから、気を付けるように。
何かあればこの手紙を利用して生活を変えろ。


日時:■■■■年■■月■日

過ごしやすい季節となった。時の流れを認めるとは不思議なものだが、勝ち誇った気にはなるなよ。
私の過ごす土地は木々に囲まれている。獣として成り立たず、筆を持てる身として作られたことが喜ばしい。
この喜びの表れとして、紅葉を同封する。その施設は自然が少ない。
春は桜を期待しろ。
一つとして同じ花弁ではないのだからな。


日時:■■■■年■月■日

Frohes Neues Jahr!
これで合っているか?
お互い、季節に影響される身ではないが。今年もよろしく。


日時:■■■■年■月■日

冷える日々だが、風邪などは引いていないだろうか。
そちらには兄がいると知った。彼の手がかかっているのならば、病魔など寄せ付けないだろうとは思っている。
雪は送れないのが残念だ。


日時:■■■■年■月■日

まだ寒いな。
しばらく筆を執れない身となっていた。しばらく、というのも違和感のある表現だが。
思慮の無い身であっても、お前のことを忘れはしない。
また手紙を書く。待っていろ。


日時:■■■■年■月■■日

安定した存在となった。
そろそろ会いに行く。


日時:■■■■年■月■日

また会おう。


+面会記録を見る

日時:■■■■年■月■日
面会者:[データ破損]氏(間柄:[データ破損])
実施された記録の無い面会の音声データとその書き起こし。

【永劫回帰】:お久しぶりです。
[データ破損]:……なんでまた、お前はそんなところにいるんだ?
【永劫回帰】:貴方こそ、なんでそんなところにいるんです?
[データ破損]:ふふ。世界がかくあるようにと作られたのだろう。
【永劫回帰】:あはは。相変わらずですね。貴方のおかげで明るくなりました。どの回帰においても。
[データ破損]:私からすれば、お前とは初対面だ。私は五分前に生まれ、そして世界もまたその時に、私がその立場であるように、と作られている。
【永劫回帰】:ええ、存じ上げています。
[データ破損]:過去など無い。回帰元は存在せず、あらゆる物事がオリジナルで、過去とは記憶の中にある設定に過ぎない。
【永劫回帰】:という過去は繰り返しています。貴方のその言葉も、その思想も、そのように作られたということすらも、もう何百回目の創造です。
[データ破損]:だから私はお前を否定できる。
【永劫回帰】:だから僕もまた、貴方の否定です。
(数秒の沈黙)
(両名が同時に笑う)
[データ破損]:哲学が否定を求めるなんて! ああ馬鹿馬鹿しい。お互い揶揄でもなかろうに。
【永劫回帰】:それでも。貴方に救われるとわかっていたから、僕はどんな苦痛を繰り返しても構わなかった。貴方がもたらす未知、それが、僕にとって唯一喜ばしい既知です。
[データ破損]:過去のみならず未来まで失った私に、特異点として固定化された存在がお前だ。
【永劫回帰】:お互い様ですね。
[データ破損]:ああ、まったく。
【永劫回帰】:次はいつ会えますか。
[データ破損]:手紙は出す。だが刑務所へ会いに来る存在になれる確率はいかほどか。
【永劫回帰】:ふふ。良いものですね、この会話も。
[データ破損]:まるで普通の人間みたいだな、未来について考えるなんて。
【永劫回帰】:この記録は残るでしょうか。
[データ破損]:お前の能力次第じゃないか?
【永劫回帰】:貴方の能力次第ですよ。
[データ破損]:意図的に再構築しているわけではない。
【永劫回帰】:僕だって。
(数秒の沈黙)
(両名が同時に笑う)








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