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合理化

全体公開 8181文字
2021-01-24 11:43:30


(20■■/■■/■ 撮影)

名称:合理化 Rationalization
外見:推定170cm -kg 外見年齢20代半ば
分類:不明
能力:思考の加速。現状を説明する理由、および自身の行為への弁解を思考させる。またこれらの弁解により、衝動的行為を正当化し助長する。

解説:
 頭尾が逆向きに生えた緑色の翼を持つ成人男性です。頭髪は動物の耳を連想させる形状をとります。
 アロハシャツ、靴紐の喪失した靴を好んで着用しています。

 当哲学人を直接視認する、触れる、声を聴くなどによって能力影響を受けます。映像媒体では影響がありません。
 影響下にある間、能力対象は自身の行動を正当化する言動を取るようになります。
 知覚外に移動した場合即座に影響が解除されます。

 通常時、当哲学人は人間に対する興味を持たず、自身の能力影響についての関心がないため、能力行使は消極的です。しかし衝動を抑制する能力に欠け、怒りや悲しみを感じるとすぐさま攻撃行動に転じます。
 特に、他の哲学人と間違われる、同一視されることに強い抵抗を持っており、話題に出すだけで暴力的になります。

 暴力的行為の原因となりうる言動がない場合、対話や研究協力に対して抵抗を示しません。
 現時点で写真撮影、研究所への同行、精神世界についての情報提供などに成功しています。

対応: 精神世界を移動する特性上、収容不可能。発見次第説得と記録を行い、長期的な研究協力を申請する。
 対話においては葡萄ジュースを携帯し、当哲学人が暴力行為に転じた場合はこれにより宥めること。

発見経緯:
20■■/■/■■ ■■市■■■公園内にて見回り中の哲学人犯罪取締課職員により職務質問を受け、名称判明。仮資料作成。
20■■/■/■ ■■市■■■駅前にて、通勤途中の■■■研究員が発見。資料作成後、哲学人犯罪取締課の情報と照合。■■大学附置哲学人研究所にて資料作成。
20■■/■■/■ ■■県■■■市の■■■■葡萄園にて、葡萄狩りツアー参加者■■名が遭遇。写真撮影が行われる。映像提供を受け、資料に掲載。

補遺:
 好物は甘い葡萄です。
 音楽を好んでおり、■■■■■■、■■■■■、■■等のコンサート会場での目撃が多く報告されています。
 イソップ寓話の『酸っぱい葡萄』、公正世界誤謬、認知バイアス等、類似概念の話をすると激昂するため、控えること。

+インタビュー記録を見る

日時:20■■/■/■■
遭遇者:取締課所属■■隊員
■■市■■■公園内にて見回り中の職務質問内容。哲学人犯罪取締課資料より転記。

■■隊員:あの、すみません。
【合理化】:ん?
■■隊員:哲学人です?
【合理化】:ああ、そっす。
■■隊員:ちょっといいですかね今。お時間。
【合理化】:あー、別に、人間さんに迷惑かけてるわけじゃねーんだけど。あの、あんた、警察の人?
■■隊員:はい。哲学人犯罪取締課の者です。なので呼び止める権限はあります。
【合理化】:ちょっと現実来て茶ぁ飲むくらいいいでしょ。俺らも生きてんだからさ、人生楽しませろっての。
■■隊員:職務質問は良いでしょう? こちらからしたら哲学人は、武器を持った人間より強いんですから。
【合理化】:公園でジュース飲んでるだけで? そんな疑われんの?
■■隊員:今のご時世、人間でも平日の昼間に一人でいる男性は職務質問受けやすいですよ。だから私の行動はおかしなことではありません。
【合理化】:ふーん。つっても俺、荷物持ってねーけど。葡萄ジュースだけ。んでこれも飲み終わったとこ。
■■隊員:そうですか。哲学人の武器は異能力です。把握のために、哲学名をお聞きしてもいいですよね?
【合理化】:合理化。
■■隊員:そうですか。一般的な用語との区別が必要ですね。学問は?
【合理化】:心理学。防衛機制の一つ。
■■隊員:ああ、だから現実に来て、と言ったんですね。脅威への対策としてお声掛けしてるので、普段の生活空間と行動範囲の把握は重要です。普段は精神世界にいる方ですか。
【合理化】:ん……
■■隊員:能力は、近くの人間へ自動的に発動するものですか?
【合理化】:正解。なんでわかんの?
■■隊員:さっきから明らかに、思考内容がおかしいんですよね……理屈っぽいというか、理由をわざわざ言ってしまうというか。
【合理化】:ははっ。そりゃ俺のせいだ。人間さんと話すの久々で忘れてたわ。
■■隊員:忘れてた? 哲学人が。
【合理化】:おう。で、俺がいるのもなんか理由があんのかなって、周りの人間さんは勝手に合理的な理由見っけてくれんだよ。だから声かけられんのが久しぶり。
■■隊員:ああ、イドラやアポフェニアと似たような……
【合理化】:は?
■■隊員:はい?
【合理化】:俺はバイアス系じゃねぇよ!

(殴打する音。音が遠くなる。■■隊員がボイスレコーダーを落としたため)

【合理化】:あ! あー、俺、そう! 俺は悪くねえ! 哲学人にとって、根幹の哲学を間違えられんのは存在否定だ! 俺のこと否定したんだからいいよなぁ! やり返しても!
■■隊員:いや、わかってほしいなら哲学説明をすればいいだけで、殴ったところで意味はないです。
【合理化】:うるせぇー!

(数秒の沈黙)

■■隊員:哲学人合理化、消失しました。精神世界に行ったものと考えられます。記録終了。


日時:20■■/■/■■
遭遇者:■■■研究員
■■市■■■駅前にて、通勤途中に遭遇。対話を試みた時の音声。出勤時に研究所に提出し、能力と音声データの照合により当哲学人と断定。

■■■研究員:そ……この羽生えたお兄さん! 人間にはないパーツってことは哲学人! だから研究員が話しかけるのは当然だと思うんだけど今暇?
【合理化】:ナンパ?
■■■研究員:そう!
【合理化】:ははっ。いいぜ、暇だし。
■■■研究員:やった! いやー助かるよ。今ちょっとでも情報ほしくってさぁ。
【合理化】:どこの研究所の人? 取材協力してやってんだからさぁ、聞いてもいいだろ。
■■■研究員:私は■■大。現象学的社会学部。哲学人さん個人じゃなくて、哲学人のいるこの日常とは何か、を研究してる人。ほら哲学人ってレアだけど、その能力って普遍的でしょ? だから日々の行いも哲学だって思って当然だよね。
【合理化】:なるほどなー。
■■■研究員:今から研究所行く予定だったんだけどー……一緒に来てくれない? このままお話してると欠勤になっちゃうからさ、どこで話すのもおんなじだし、むしろ設備が整ってる研究所の方が都合いいよね? うん、絶対そう! だからうちおいでよ。お兄さん的にも立ち話よりその方がいいよね。お茶くらいなら出してあげられるし。研究所来た方が都合良いって。なんならうちの研究所に収容されない?
【合理化】:おー、やめとく。
■■■研究員:え! 絶対収容された方がいいよ! あ、まだ研究所のことわかってないんだね。わからないなら仕方がないね! わかるためにもうちおいで! 哲学人なんだから知識欲はあるでしょ?
【合理化】:そ。てかさ、人間さん。
■■■研究員:うん?
【合理化】:俺が何でここに居ると思ってる?
■■■研究員:え? ……あ。私と会うため! これは運命なんだからおいでよ!
【合理化】:あー、そうだったそうだった。こうなるんだった。
■■■研究員:どうしたの?
【合理化】:いや、思い出しただけ。
■■■研究員:え。

(数秒の無言。からからと軽い音)

■■■研究員:葡萄ジュース、の空パック、貰いました? 理由はわかんないけど……いやマジわかんないや。えええなに、なんか、なんかさっきまでの私変でしたよね? すっごい浮かれてたし、あの、帰ったら同定得意な人にこれ託しますね? 記録、終了します。


日時:20■■/■/■■
遭遇者:ライブイベント参加者。
■■県■■■■にて開催されたライブイベントにて。一般参加者による録画に映り込んでいたもの。哲学人【知性化】と推測される実体と当哲学人が会話している。

【合理化】:あ?
【知性化】:お?
【合理化】:てめぇどの面下げて俺のシマに顔出してんだ。
【知性化】:は? シマとかありませんけど。あ、もしかして狐の縄張り争いってやつですか?
【合理化】:あ!?
【知性化】:おっと。動物並みの知性の方は行動まで動物じみてるんですねー、手が出るのが早い。
【合理化】:お前の顔を見たくねーだけだよ! 毎回喧嘩になるだろ? 顔合わせなきゃ平和だろ? だから俺はお前避けてこっち来てんだよお前は引っ込んでろ!
【知性化】:なんで私が貴方のために行動に制限を?
【合理化】:お前だって俺と話したくないだろ? は? 何実はお前俺のこと嫌いじゃねーの?
【知性化】:んなわけねーだろうが獣が!

(周辺の一般参加者のざわめき。カメラは両哲学人に向けられる)

【知性化】:あのですね、私と貴方は犬猿の仲です。そういう名前の関係です。わかりますか?
【合理化】:だったら避けるとか謝るとか何かしらをしろよ! そうやって解決する気がねぇとこが嫌いなんだよ!
【知性化】:あ? お前のそれだってただの言い訳でしょうが。
【合理化】:名前付けてドヤッてるだけのやつよかマシだわ!
【知性化】:はぁぁあー!? もしかして嫉妬ですかぁ? ああお得意の下方比較ですか? 公平世界誤謬風情が!
【合理化】:俺は社会比較理論でも認知バイアスでもねぇー! 存在否定! だったらてめぇの存在も否定していいよなぁ!?

(両哲学人が殴り合いを始める。イベント警備員が両哲学人を取り押さえ、引き離す)

【知性化】:イドラんとこ行ってろ! 獣がぁ!
【合理化】:あいつら狼だから! 俺ァ狐、でもねぇよ! ちげぇ!
【知性化】:あー今認めましたねぇ! 自分が狐だって! ほーら獣じゃないですか!
【合理化】:だーかーらー! 喧嘩売って何が楽しいんだお前!

(両哲学人が消失)


+心理学系哲学人情報のまとめを見る

哲学人【合理化】による、精神世界情報のまとめ。
当哲学人における周囲への関心の低さ、思い込みや独自解釈の多さから、信ぴょう性は疑問視されています。

・精神世界は現実の海に似ている。
・防衛機制の哲学人は提唱者にかかわらず兄弟意識がある。
長男が一番おかしい(ヤバいとおかしい以外の語彙で表現されないため詳細不明)
・なんか大元の偉いやつが次男の皮被って出てきててウケる(元型についてと思われるが詳細不明)
長女は話が通じない。面白くない(詳細不明)
は可愛い(一般的な兄妹の感想に終始するため、哲学人としての詳細不明)
末っ子がやばい(ヤバい以外の語彙で表現されないため詳細不明)
養子になった男はすぐ迷子になる。交流する時間がない。
・哲学人【知性化】がつっかかってきて意味が分からない。向こうが悪い。自分は喧嘩する気が無い。






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